【完全解説】特別永住者の帰化申請は簡単?比較的許可されやすい理由と注意点
目次
1.特別永住者とは?帰化申請との関係
「特別永住者」とは、主に戦前から日本に居住していた旧植民地出身者やその子孫など、歴史的経緯に基づいて特別な在留資格を持つ外国人を指します。
(参考:出入国在留管理庁『特別永住者について』)
特別永住者は、一般の永住者と異なり、
- 在留期限がなく更新が不要
- 強制退去や再入国の条件が緩やか
など、日本での生活基盤がすでに確立している点が特徴です。
そのため、法務局での帰化申請においても、
「すでに日本社会に深く根差している存在」として審査上の評価が高い傾向があります。
2.特別永住者の帰化が「比較的許可されやすい」と言われる理由
(1)日本での生活年数が十分に長い
通常、帰化申請には「引き続き5年以上日本に居住していること」が必要です(国籍法第5条1項1号)。
しかし、特別永住者の場合は、多くが出生からずっと日本に住んでいるため、この条件は事実上クリア済みです。
(2)素行・納税状況が安定している
永住者と同様に、日本社会で長年生活しているため、納税・年金・社会保険の加入歴なども整っているケースが多く、審査上の信頼度が高いです。
(3)生計条件が緩やか
特別永住者の帰化では、生活の安定性が求められるものの、親族の扶養や配偶者の収入でも認められる例が多く、実務上ハードルが低めです。
(4)「帰化を希望する理由」が明確
特別永住者が帰化を希望する場合、
- 日本で生まれ育ったため国籍を一致させたい
- 子どもの将来のため日本国籍を取得したい
といった自然な理由が多く、法務局も理解を示しやすい傾向にあります。
3.帰化申請に必要な条件(一般永住者との違い)
| 条件 | 一般の外国人 | 特別永住者 |
|---|---|---|
| 住所要件 | 5年以上日本在住 | 原則クリア済み |
| 能力要件 | 成人であること | 同様 |
| 素行要件 | 納税・法令遵守 | 同様 |
| 生計要件 | 安定した収入・生活 | 緩やかに判断される |
| 重国籍禁止 | 原則日本国籍を選択 | 同様 |
| 思想要件 | 憲法尊重義務 | 同様 |
このように、特別永住者の場合、住所要件と生計要件の実務的ハードルが低いため、結果として「簡単」と評価されるのです。
4.特別永住者の帰化申請で注意すべきポイント
(1)在日韓国・朝鮮籍の場合の戸籍書類
韓国籍や朝鮮籍の方の場合、本国書類(家族関係証明書、基本証明書など)を取り寄せる必要があります。
特に本国書類の翻訳を求められるため、行政書士への依頼が推奨されます。
(2)年金や税金の未納がある場合
「特別永住者=優遇」というわけではなく、税金や年金の滞納があると不許可になるケースがあります。
帰化申請前に、市区町村の税務課で納税状況を確認しておくことが大切です。
(3)交通違反や軽微な犯罪歴
過去に交通違反(スピード違反・飲酒運転など)が多い場合も、素行要件で不利になることがあります。
申請前に反省文の提出や再発防止を示す姿勢が求められます。
5.帰化申請に必要な書類一覧
| 書類名 | 提出先・発行元 |
|---|---|
| 帰化許可申請書 | 法務局(所定用紙) |
| 履歴書・経歴書 | 申請者本人作成 |
| 理由書 | 帰化を希望する理由を明記 |
| 身分関係証明書(特別永住者証明書) | 市区町村 |
| 本国の身分関係書類 | 韓国・台湾など本国発行 |
| 住民票 | 市役所 |
| 納税証明書(市民税・都道府県民税) | 市役所・都道府県 |
| 年金加入証明書 | 日本年金機構 |
| 在職証明書・源泉徴収票 | 勤務先 |
| 課税・所得証明書 | 市区町村役場 |
※法務局により追加書類を求められることがあります。
6.審査期間と流れ
(1)相談予約・面談
最寄りの法務局に事前予約し、申請内容や書類を確認。
(2)書類提出
正式な申請は本人が法務局に出向いて提出する必要があります。
(3)調査・面談
審査官による素行調査・面接・在職確認などが実施されます。
(4)結果通知
通常、特別永住者の帰化審査は8か月〜1年程度。
他の外国人より早い傾向があります。
7.よくある質問Q&A
Q1:特別永住者の帰化申請は100%許可されますか?
A:いいえ。税金の未納や虚偽申請などがあると不許可になります。
ただし、誠実に生活している方であれば許可率は非常に高いです。
Q2:特別永住者の子どもは自動的に日本国籍を取得しますか?
A:取得しません。親が日本人でない場合、出生時に日本国籍は付与されないため、別途帰化申請が必要です。
Q3:申請時に行政書士のサポートは必要ですか?
A:必須ではありませんが、書類作成の負担軽減や不許可リスク回避のため、行政書士への依頼が推奨されます。
8.まとめ:特別永住者の帰化は「簡単」だが油断は禁物
特別永住者の帰化申請は、
- 日本居住年数
- 生活基盤の安定
- 社会的信頼
がすでに備わっているため、他の外国人に比べて圧倒的に有利です。
ただし、税金・年金・交通違反・申告漏れなどの素行要件を軽視すると、不許可になることも。
「簡単」といわれるからこそ、正確な準備と誠実な申請が大切です。
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