永住申請は難しい?審査基準・不許可理由・成功率を徹底解説


1.永住申請は本当に難しい?

 永住申請(在留資格「永住者」への変更)は、日本で長期的に安定して生活し、法令を守りながら社会的・経済的に自立している外国人に対して認められるものです。
 しかし、「長く日本に住んでいるから簡単に永住が取れる」というわけではありません。実際には、不許可になるケースも多く、申請難易度は高めです。

 永住許可の審査は、入国管理局(出入国在留管理庁)が「素行要件」「独立生計要件」「国益要件」の3つを基準に総合的に判断します。
 つまり、収入や税金、年金、社会保険の状況、家族構成、職業、居住年数、素行履歴などを総合的に見られるため、書類準備や説明の一つでも不十分だと不許可になることがあります。

 したがって、「難しい」というよりは、非常に厳格で慎重に審査されるというのが正確な表現です。


2.永住許可の主な審査基準とは

(1)素行要件

 日本の法令を遵守し、社会的秩序を乱していないことが求められます。
 具体的には、以下のような項目がチェックされます。

  • 過去に交通違反・軽微な犯罪歴がないか
  • 税金(所得税・住民税)の未納がないか
  • 社会保険料・年金をきちんと納付しているか
  • 虚偽申請などを行っていないか

 **1~2回の軽微な交通違反(スピード違反など)**は許可に影響しないこともありますが、**複数回ある場合や重大な違反(酒気帯び運転など)**はマイナス評価になります。


(2)独立生計要件

 申請者本人または配偶者の収入により、将来にわたって安定した生活ができることが条件です。
 判断は「世帯単位」で行われ、主に以下が審査対象です。

  • 年収が概ね300万円以上(扶養家族がいる場合は加算)
  • 安定した就労・経営実績
  • 預貯金・資産状況
  • 配偶者の収入を含めた生計能力

 特に近年は、納税・年金の納付状況が厳しく確認されています。
 納付証明書や課税証明書を3年分提出し、滞納がないことを証明する必要があります。


(3)国益要件

 最後に、その者の永住が日本国の利益になるか否か審査されます。「永住者」として社会的にふさわしい人物かどうかを総合判断します。
 ここでは、次のような要素が考慮されます。

  • 在留期間が原則10年以上(配偶者や高度人材は短縮あり)
  • 在留資格の更新履歴が安定している
  • 公共の負担にならない
  • 家族構成・日本との定着性

 つまり、「この人に永住を与えても問題ない」と判断できるだけの信用性と安定性が求められるということです。


3.不許可になりやすいケースとその理由

以下のようなケースでは不許可になる傾向があります。

不許可理由具体的な例
税金・年金の未納住民税や国民年金が一部未納
収入の不安定転職直後、フリーランスで収入が変動
在留期間の短さ日本滞在が10年未満、配偶者ビザで3年未満
素行面の問題複数の交通違反、軽犯罪歴
虚偽申請収入や家族情報を実際より良く記載

 特に近年、税金と年金の納付状況が厳格に審査されており、滞納や未加入があると一発不許可になるケースもあります。


4.永住申請を有利に進めるための5つのポイント

  1. 税金・年金・社会保険料の完納を確認
     申請前にすべての納付を済ませ、証明書を取得しましょう。
  2. 収入証明を5年分以上準備
     課税証明書や源泉徴収票など、安定した所得を示す書類を提出します。
  3. 住民票・世帯構成を整える
     家族の住所や婚姻関係が一貫しているか確認しましょう。
  4. 転職・離職直後の申請は避ける
     少なくとも半年~1年は安定して勤務している状態で申請するのが望ましいです。
  5. 専門家に相談して事前チェックを受ける
     行政書士など専門家が申請内容をチェックすることで、不許可リスクを大幅に減らせます。

5.永住申請で必要となる主な書類一覧

  • 永住許可申請書
  • 理由書(任意)
  • 在留カード・旅券
  • 写真(縦4cm×横3cm)
  • 住民票・課税(非課税)証明書・納税証明書
  • 源泉徴収票または確定申告書
  • 雇用証明書または在職証明書
  • 年金加入記録(ねんきん定期便等)
  • 住民税・国民年金・健康保険の納付状況証明
  • 身元保証書

6.永住申請が不許可になった場合の再申請方法

 永住申請が不許可になった場合でも、再申請は可能です。
 ただし、同じ内容で再申請しても許可されることはほぼありません。
 まずは不許可理由を確認し、改善した上で再申請する必要があります。

再申請までの流れ

  1. 不許可通知を受け取る
  2. 行政書士を通じて「不許可理由の聴取」を行う
  3. 改善点(納税・年金・安定収入など)を整える
  4. 必要書類を更新して再申請

7.永住申請に関するよくあるQ&A

Q1. 日本人の配偶者でも永住申請は難しいですか?
→ 条件は緩和されますが、「婚姻期間3年以上+日本滞在1年以上」が必要です。税金・年金未納があると不許可になります。

Q2. 永住申請中に転職しても大丈夫?
→ 転職直後は安定性に欠けるため、申請は避けるのが無難です。

Q3. フリーランスでも永住できますか?
→ できますが、収入の安定性を証明する確定申告書類・通帳記録などが必要です。

Q4. 年金を未加入だった場合、遡って加入できますか?
→ 加入はできますが、過去分を全て納付しても直近の納付状況が重要です。


8.専門家に依頼するメリット

 永住申請は一見「書類提出だけ」に見えますが、実際は書類内容の整合性や説明の論理性が非常に重視されます。
 行政書士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

  • 不許可リスクを事前に回避
  • 理由書や提出書類の最適化
  • 入管対応・聴取のサポート
  • 再申請時の改善指導

 実務経験豊富な行政書士によるサポートで、許可率を大きく向上させることができます。


9.まとめ:永住申請は「準備で決まる」

 永住申請は確かに難易度が高いですが、正しく準備し、審査基準を理解して申請すれば十分に許可される可能性があります。
 重要なのは、「長く住んでいる」だけでなく、「社会的に信用される生活をしていること」を書類で明確に示すことです。

 税金・年金・収入の安定、そして法令遵守――この3点を揃えることが、永住取得への最短ルートです。


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参考資料

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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法