【完全ガイド】フランス人配偶者の永住権取得|配偶者ビザから永住許可までの条件・必要書類・手続き

外国人が日本で安定的に生活するうえで「永住権(永住許可)」の取得は大きな目標の一つです。
特に、フランス人の配偶者として日本に在留している方は、配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」)から永住申請が可能であり、他の在留資格よりも条件が緩和されています。

本記事では、入管法・法務省ガイドラインに基づき、フランス人配偶者が永住権を取得するための条件・必要書類・申請の流れ・審査のポイントをわかりやすく解説します。


1.フランス人配偶者の永住申請とは

永住許可とは、日本に在留期限を設けず、安定的に居住できる資格「永住者」を得る手続きです。
出入国在留管理庁によれば、永住許可を受けた方は在留期間の更新が不要となり、職業・居住地の制限もなくなります。
(参照:出入国在留管理庁「永住許可申請」

フランス人の配偶者が対象となるのは、以下の在留資格を持つ方です。

  • 在留資格「日本人の配偶者等」
  • 在留資格「永住者の配偶者等」

これらの資格をもとに、一定期間日本で婚姻生活を継続している場合、永住権の申請が可能です。


2.永住申請のメリット

永住許可を得ると、以下のような利点があります。

  • 在留期間の更新が不要になる
  • 就職・転職が自由にできる
  • 住宅ローンや信用審査が通りやすくなる
  • 子どもが日本で安定した環境で育てられる
  • 離婚・配偶者死亡後も日本に居住可能(永住者資格維持)

特に、フランス人配偶者の場合、「ビザ更新の手間から解放されたい」「長期的に日本で働きたい」「家族と安心して暮らしたい」という理由で申請される方が多くいらっしゃいます。


3.永住申請の主な条件(要件)

フランス人配偶者が永住許可を申請する場合、一般的な外国人の「10年在留要件」が大幅に緩和されています。

(1)婚姻期間と在留期間

  • 結婚してから3年以上の婚姻生活が継続していること
  • かつ、日本に1年以上継続して在留していること

日本での実際の同居が確認されることが重要です。
別居・長期出国が多い場合は「実体のある婚姻」と認められないことがあります。

(2)素行要件

  • 犯罪歴・交通違反・資格外活動などの違反がないこと
  • 日本の法律・ルールを守って生活していること

審査では、警察庁・入管・税務署の情報が照会されます。

(3)生計要件(収入・納税)

  • 申請人本人または配偶者に安定した収入があること
  • 納税・社会保険料を滞納していないこと(過去3〜5年分)

一般的には、世帯年収300万円以上が目安とされますが、家族構成・家賃等により個別判断されます。
年金や健康保険の未加入・未納があると、永住許可が難しくなる傾向にあります。

(4)在留状況

  • 現在の在留資格が「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」であること
  • 在留期間が「最長の期間(3年または5年)」であることが望ましい

在留カード更新の際に「1年」しか認められていない場合は、まずは婚姻実態・収入を整えてからの申請がおすすめです。

(5)国益適合要件

永住を認めることが「日本の国益に適する」と判断されること。
社会的信用・安定した生活・地域活動・日本語能力なども評価対象です。


4.必要書類一覧

出入国在留管理庁に提出する主な書類は次の通りです。

書類名備考
永住許可申請書入管窓口または公式サイトから入手
写真(縦4cm×横3cm)6か月以内撮影
在留カード・パスポート原本提示・コピー提出
戸籍謄本(配偶者が日本人の場合)婚姻の実態確認用
住民票(同居を確認できるもの)世帯全員分
納税証明書・課税証明書(3年分)所得・納税状況を確認
源泉徴収票または確定申告書収入証明として提出
年金・健康保険料の納付証明書未納がないことを証明
身元保証書日本人配偶者または勤務先上司等
理由書(任意)日本での生活状況・永住希望理由を記載
婚姻実態資料写真・メッセージ履歴・送金記録など

※必要書類は各地方入管で若干異なるため、事前確認が必要です。


5.申請の流れと審査期間

  1. 書類準備(1〜2か月)
     婚姻関係・収入・納税・在留履歴を整理します。
  2. 入管への申請提出
     申請人本人または行政書士が、管轄の入管窓口へ提出。
  3. 審査(平均6〜8か月)
     審査では、婚姻の真実性・納税履歴・在留実績が重点的に確認されます。
  4. 結果通知・永住許可書換え
     許可後は在留カードが「永住者」に切り替わります。

申請中も現在のビザが有効であれば日本での生活・就労は継続可能です。
(不許可の場合も理由通知を受け、再申請が可能です。)


6.フランス人配偶者に特有の注意点

(1)フランス側書類の準備

  • フランスの「婚姻証明書(Acte de Mariage)」を取得し、日本語翻訳を添付
  • フランス側の収入証明・税証明がある場合、ユーロ→円換算で提出可能
  • 外国語書類には翻訳者の署名を付けることが望ましい

(2)出国・滞在実績の管理

  • 永住許可前の1年間は引き続き日本に在留している必要があります。
  • 長期帰国やフランス滞在が多い場合は「在留の継続性」が疑われるため注意。

(3)日本語能力・社会適応のアピール

  • 日本語検定(JLPT)や地域活動への参加記録はプラス評価。
  • 日本での雇用・地域ボランティア・子どもの学校関係活動なども有効です。

7.永住許可後のポイント

永住者になった後も、以下の義務を守る必要があります。

  • 引き続き日本に住む(1年以上の海外滞在で資格喪失の可能性)
  • 税金・年金・健康保険の納付を継続
  • 住民登録・住所変更の届出

永住者資格は更新不要ですが、カード自体の有効期限(7年)更新が必要です。


8.よくある質問(Q&A)

Q1:結婚して2年しか経っていませんが永住申請できますか?
→ 原則は「婚姻3年以上+日本滞在1年以上」が必要です。要件を満たしてからの申請をおすすめします。

Q2:年金を未納にしていた期間があります。許可されませんか?
→ 未納期間があると不許可となります。証明書を添付しましょう。

Q3:離婚しても永住者資格は失われますか?
→ 原則として永住許可後に離婚しても資格は維持されます。ただし、長期海外滞在には注意が必要です。

Q4:審査期間中にフランスへ帰国しても大丈夫ですか?
→ 数週間程度の一時帰国なら問題ありませんが、長期滞在は「継続居住」とみなされない可能性があります。


まとめ

フランス人配偶者が日本で永住権を取得するためには、
婚姻の実態・安定した生活・納税状況を明確に示すことが重要です。
要件を満たせば、一般の外国人よりも短期間で永住許可が得られる特例があるため、早めに準備を進めましょう。


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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
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「専門分野」
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