フランス人配偶者の帰化申請に必要な要件と準備|配偶者特別帰化(簡易帰化)も解説【完全ガイド】

外国人配偶者として日本に長く暮らしているフランス人の方にとって、「帰化申請(日本国籍取得)」は大きな一歩です。特に日本人と結婚している場合、「配偶者特別帰化(簡易帰化)」という制度により、通常よりも短期間・簡易な条件で日本国籍を取得できる可能性があります。
本記事では、フランス人配偶者が日本国籍を取得するための要件・必要書類・審査の流れ・注意点を、行政書士監修のもとで徹底解説します。


1.フランス人配偶者が日本国籍を取得するには?

フランス人が日本の国籍を取得するには、**「帰化申請」を行う必要があります。帰化申請とは、法務大臣の許可を受けて日本国籍を取得する手続きであり、主に入国管理局ではなく法務局(国籍課)**が窓口になります。

フランス人配偶者の場合、一般の外国人よりも条件が緩和される「配偶者特別帰化(簡易帰化)」の対象となります。これは日本人と婚姻関係にある外国人が日本で安定した生活を送っている場合に、特例的に要件が軽減される制度です。


2.帰化申請と「配偶者特別帰化(簡易帰化)」の違い

(1)通常の帰化申請(一般帰化)

通常の帰化申請では、以下のような厳しい条件を満たす必要があります。

  • 引き続き5年以上日本に住んでいること
  • 20歳以上で本国法により行為能力を有すること
  • 素行が善良であること(犯罪・交通違反歴が少ないこと)
  • 生計を維持できる収入があること
  • 日本国籍を取得後に二重国籍とならないこと(フランス国籍の離脱)

(2)日本人配偶者の特別帰化(簡易帰化)

一方、フランス人が日本人と結婚している場合には、次のように条件が大幅に緩和されます。

要件通常の帰化配偶者特別帰化(簡易帰化)
在日年数5年以上結婚して3年以上かつ日本に1年以上居住
素行善良要件必要同様に必要
生計要件安定収入同様に必要(夫婦の合算収入で可)
日本語能力日常会話レベル(概ねN3〜N4程度)同様
国籍離脱フランス国籍を原則離脱同様

つまり、結婚期間が3年以上日本で1年以上生活している場合には、通常よりも早く申請できるのが特徴です。


3.フランス人配偶者の帰化申請に必要な要件

(1)婚姻の実態

婚姻が単なる形式的なものでなく、実際に同居し、婚姻生活を営んでいることが重要です。
入管や法務局では、配偶者ビザと同様に「実態性」を重視します。

  • 同居していることを示す住民票
  • 結婚写真やLINE履歴、共同生活の証拠
  • 結婚後の生活歴(家計、住所変遷)

これらの提出を求められることもあります。

(2)素行善良要件

フランス人配偶者であっても、交通違反・軽犯罪・税金や年金の未納がある場合は注意が必要です。
特に次のような点が審査で見られます。

  • 納税義務(所得税・住民税)の履行状況
  • 社会保険料・年金の納付状況
  • 前科・前歴の有無(フランス・日本双方)

(3)生計要件

日本で安定した生活を送るための経済力があることが求められます。
夫婦の合算で年収300万円以上が目安ですが、家族構成や地域によって異なります。
自営業者・会社員・主婦(主夫)のいずれでも構いませんが、扶養関係・家計の安定性が重視されます。

(4)日本語能力

日本語能力試験(JLPT)でいうとN3レベルが目安です。日常会話ができ、申請書の内容を理解できる程度であれば問題ありません。面談でも日本語での簡単な質問が行われます。


4.必要書類一覧とフランス語書類の翻訳について

フランス人配偶者が帰化申請を行う際には、日本語訳付きのフランス文書を提出する必要があります。

主な必要書類一覧(本人・日本人配偶者)

本人(フランス人)関係

  • パスポート(写し)
  • 在留カード
  • 出生証明書(フランス発行・公証翻訳付き)
  • 婚姻証明書(フランス・日本双方)
  • フランス国籍証明書またはパスポート
  • 住民票(マイナンバー省略)
  • 納税証明書・課税証明書
  • 年金加入記録・社会保険証写し
  • 在職証明書または収入証明書
  • フランス本国の犯罪経歴証明書(Casier judiciaire)

日本人配偶者関係

  • 戸籍謄本
  • 納税証明書
  • 在職証明書・源泉徴収票
  • 住民票

その他

  • 家計の状況がわかる資料(通帳コピー、家計簿など)
  • 夫婦の写真
  • 理由書(帰化の動機を記載)

フランス語書類の翻訳

法務局へ提出する書類はすべて日本語訳が必要です。
翻訳は本人でも可能ですが、専門家に依頼すると正確かつ信頼性が高まります。


5.帰化申請の流れ(法務局への申請から許可まで)

  1. 法務局での事前相談(予約制)
     まず居住地を管轄する法務局の国籍課に相談します。
     担当官が要件確認・必要書類の説明を行います。
  2. 書類準備期間(1〜3か月)
     フランスから書類を取り寄せたり、翻訳する時間がかかるため余裕を持ちましょう。
  3. 正式申請(法務局窓口)
     本人が直接出向いて申請書を提出します。委任・郵送は不可です。
  4. 面談・調査
     法務局担当官との面談が行われ、日本語能力や婚姻生活の実態が確認されます。
     場合によっては家庭訪問もあります。
  5. 審査期間(約6か月〜1年)
     通常の帰化よりもやや短い傾向にありますが、平均で8〜10か月程度です。
  6. 許可・官報告示
     帰化許可が下りると官報に掲載されます。その後、市区町村役場で日本国籍の戸籍登録手続きを行います。

6.不許可になりやすいケースと注意点

  • 税金や年金の未納がある
  • 婚姻実態が薄く、別居している
  • フランス本国の犯罪経歴に問題がある
  • 面談時に日本語がほとんど話せない
  • 動機書が形式的で、日本社会への定着意思が弱い

特に、年金・税金の滞納は重大なマイナスポイントです。配偶者ビザ更新にも影響しますので、帰化申請前に必ず整えておきましょう。


7.よくある質問(Q&A)

Q1.フランス国籍は残せますか?
A.日本では二重国籍を原則認めていません。帰化許可後は、フランス政府に国籍離脱手続きを行う必要があります。

Q2.帰化後に離婚したらどうなりますか?
A.帰化後は日本国民として扱われるため、離婚しても国籍が取り消されることはありません。

Q3.フランスの出生証明書はどこで取得できますか?
A.フランスの市役所またはフランス大使館で発行できます。

Q4.帰化申請は行政書士に依頼した方がいいですか?
A.書類が多く翻訳も必要なため、専門行政書士に依頼することでスムーズに進められます。


8.まとめ:フランス人配偶者は「簡易帰化」で早めの申請が可能

フランス人配偶者は、日本人と結婚して3年以上・日本在住1年以上であれば、特別帰化制度により早期申請が可能です。
ただし、婚姻の実態・納税・日本語力など、基礎的な要件を満たすことが前提となります。
特にフランスの公文書や翻訳には時間がかかるため、早めの準備が重要です。


参考リンク

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 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
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 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
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