【完全解説】納税証明書と課税証明書の違い|配偶者ビザ申請での使い方と注意点
目次
1.納税証明書と課税証明書の違い
配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」)の申請でよく混同されるのが、「納税証明書」と「課税証明書」です。
名前は似ていますが、実はまったく別の目的で発行される証明書です。
▶ 納税証明書とは
納税証明書とは、「税金を納めた事実」を証明する書類です。
つまり、「あなたが課された税金をちゃんと納めたかどうか」を示します。
主な内容:
- 納付済みの税額
- 未納・滞納の有無
- 対象年度
納税証明書は、納税義務をきちんと果たしていることを示す証拠として、ビザ審査では「生計要件」や「素行要件」を判断する資料になります。
▶ 課税証明書とは
一方の課税証明書は、「前年の所得額と課税額(税金の計算結果)」を証明する書類です。
「収入の多さ」や「所得税・住民税の課税状況」を確認するために使われます。
主な内容:
- 前年の所得金額
- 所得控除の内容
- 住民税の課税額
- 所得の種類(給与・事業・年金など)
つまり、課税証明書=収入証明書の役割を果たします。
▶ 違いを表で比較
| 項目 | 納税証明書 | 課税証明書 |
|---|---|---|
| 証明内容 | 税金を納めたかどうか | 所得額と課税額 |
| 発行目的 | 納税状況の確認 | 収入・課税状況の確認 |
| 審査の目的 | 滞納の有無確認 | 生計の安定性確認 |
| 発行場所 | 市区町村役場 | 市区町村役場 |
| 配偶者ビザでの提出 | 必須(滞納確認) | 必須(収入確認) |
配偶者ビザの申請では、両方とも重要な書類です。どちらか一方だけでは不十分な場合があります。
2.配偶者ビザ申請で必要なのはどちら?
▶ 基本は「課税証明書」と「納税証明書」の両方提出
日本人配偶者や永住者配偶者がビザ申請者を扶養する場合、入管庁は次の2点を確認します。
- 収入の安定性(=課税証明書)
- 納税義務の履行(=納税証明書)
したがって、どちらもセットで提出するのが原則です。
▶ 日本人配偶者が無職の場合
配偶者(日本人)が現在無職の場合でも、前年の所得があるなら課税証明書を提出します。
もし前年所得が「0円」で課税されていない場合は、「非課税証明書」を発行して提出します。
「非課税証明書」=前年の所得が課税基準以下であったことを証明するもの。
また、過去に未納がある場合には、追加で納税証明書を出して滞納解消を示すことも有効です。
▶ 永住者の配偶者ビザの場合
「永住者の配偶者等」ビザでは、扶養者(永住者)側の納税履歴が特に重視されます。
永住者は日本での定住意思と納税義務の履行が当然とされるため、未納があると不許可リスクが高まります。
3.納税証明書・課税証明書の入手方法
▶ 発行場所
どちらも、**居住地の市区町村役場(税務課・市民税課)**で発行します。
郵送・マイナンバーカードによるオンライン申請も可能です。
▶ 必要なもの
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
- 手数料(1通あたり200~300円前後)
- 委任状(代理人が請求する場合)
▶ 発行年度の選び方
入管は直近1年度分を求めることが多いです。
ただし、永住者の配偶者ビザや更新申請では3年分を求められるケースもあります。
4.申請時に提出する際の注意点
▶ 1.発行自治体が異なる場合の注意
転居を繰り返している場合は、各居住地の自治体から取得が必要です。
「転出前の市役所に納税証明を依頼」するケースもよくあります。
▶ 2.提出前に未納がないか確認
住民税や国民年金・国民健康保険料の未納があると審査で不利になります。
特に配偶者ビザでは「生計の安定性」が問われるため、未納がある場合は事前に完納しましょう。
▶ 3.確定申告者の場合
自営業・フリーランス配偶者の場合は、
市区町村発行の課税証明書に加え、**税務署発行の所得税納税証明書(その1・その2)**も添付するとより信頼性が高まります。
5.配偶者ビザ審査で重視される「納税状況」
▶ (1)生計維持能力の判断材料
入管庁は配偶者ビザ審査で「夫婦の生計が成り立つか」を重視します。
課税証明書はその判断の基礎資料となり、年収200万円以上が一つの目安です。
▶ (2)素行要件(納税義務の履行)
納税の滞納や未払いがあると、「日本の法制度を尊重していない」と見なされることがあります。
特に永住者の配偶者や永住申請では、納税義務の履行は非常に重要な評価項目です。
▶ (3)補足資料で信頼性アップ
もし収入が低い場合でも、以下の書類を補足することで審査をカバーできます:
- 貯金通帳の写し(残高証明)
- 親族からの支援誓約書
- 雇用内定通知書・雇用契約書
これらを添付することで、「生活に支障がないこと」を立証できます。
6.よくあるQ&A
Q1. 納税証明書と課税証明書、どちらか一方で足りますか?
→ 原則、両方提出が必要です。
課税証明書だけでは「滞納がない」ことを証明できません。
Q2. 無職の配偶者でも課税証明書を出す必要がありますか?
→ はい。課税額が「0円」でも「非課税証明書」を出して、前年所得がないことを証明します。
Q3. 国民年金や健康保険料の未納も影響しますか?
→ 影響します。税金以外にも社会保険料の未納が多い場合は、誠実性を疑われるリスクがあります。
Q4. 自営業の場合、どの納税証明書を提出しますか?
→ 市区町村の「課税証明書」に加え、**税務署発行の「所得税納税証明書(その2)」**も提出すると安心です。
7.まとめ:ビザ申請では「課税+納税」のダブル提出が基本!
配偶者ビザ申請では、
- 課税証明書 → 収入状況の確認
- 納税証明書 → 納税状況の確認
この2つがそろって、初めて「生計が安定しており、義務も果たしている」と評価されます。
審査官は書類を通じて、夫婦の生活実態や社会的信用性を判断します。
そのため、最新年度の証明書を正確に提出し、未納があれば完納してから申請することが重要です。
関連記事
- 専業主婦(主夫)世帯の配偶者ビザは不利?生計要件の考え方を徹底解説
- 【住民税未納と配偶者ビザ申請】徹底解説|未納があっても許可される?行政書士が詳しく解説!
- 【完全解説】年金未納・滞納がある場合でも配偶者ビザ申請できる?審査への影響と対策【日本人の配偶者等】
参考リンク
無料相談
| まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。 |
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

