専業主婦(主夫)世帯の配偶者ビザは不利?生計要件の考え方を徹底解説
目次
1.配偶者ビザの基本要件とは
在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人と外国人の真実の婚姻関係に基づいて日本での生活を認めるビザです。
この在留資格が許可されるためには、主に次の3要件が審査されます。
- 婚姻の真実性(偽装結婚でないこと)
- 生計の安定性(経済的基盤があること)
- 素行の良好性(犯罪歴や税金未納がないこと)
このうち、専業主婦(主夫)世帯が最も注意すべきなのは、2つ目の「生計要件」です。
2.生計要件とは何か?
「生計要件」とは、日本で夫婦として生活していける経済力があるかどうかを判断する基準です。
入管庁は、次の点を総合的に見て判断します。
- 主たる収入者の職業・勤務先・勤続年数
- 年収の水準(おおむね年200万円以上が一応の目安)
- 税金・社会保険の納付状況
- 預貯金や家族からの支援状況
専業主婦(主夫)で申請者本人に収入がない場合でも、日本人配偶者(または永住者配偶者)の収入で安定した生活が可能であれば、許可されます。
3.専業主婦(主夫)世帯の配偶者ビザは不利なのか
結論から言うと、専業主婦(主夫)であること自体は不利ではありません。
しかし、「家計の主な支え手」が無職の場合、入管は次の点を厳しくチェックします。
- 世帯の収入源が明確か
- 定職に就いているか、継続性のある収入か
- 公的支援(生活保護等)に頼っていないか
つまり、「誰がどのように生計を立てるのか」を明確に説明できることが重要です。
一方で、申請時に日本人配偶者が専業主婦(主夫)で、外国人側に安定収入がある場合は、申請人本人の収入でも審査が行われます。
4.生計要件を満たすための3つのポイント
(1)安定した収入源を証明する
給与明細や源泉徴収票、確定申告書、雇用契約書など、**「今後も継続的に収入がある」**ことを証明する書類を提出します。
(2)家族の支援を明記する
親族から経済的援助を受けている場合、「援助誓約書」や「振込履歴」、「支援者の収入証明書」などを添付することで補強できます。
(3)貯金残高を補足資料として提出
預金残高証明書を添えることで、短期的な生計の安定性を裏付けられます。
5.無職・専業主婦(主夫)のケース別解説
ケース①:日本人配偶者が無職で、外国人が働いている場合
→ 外国人側の安定収入が確認できれば許可の可能性は十分あります。
「配偶者が無職=不許可」ではなく、「生計が成り立っているか」が焦点です。
ケース②:日本人配偶者が求職中の場合
→ 内定通知書や職業安定所の紹介状、就職予定日などを提出し、今後の収入見込みを明示します。
ケース③:一時的な休職・育児休業中
→ 休職証明書や復職予定日、雇用契約の継続性を示す資料を添付しましょう。
6.配偶者がアルバイト・パート勤務の場合の注意点
アルバイトやパート勤務でも、一定の収入と安定性があれば許可は可能です。
ただし、審査では以下が重視されます。
- 収入が継続的にあるか(雇用契約期間)
- 週の労働時間と勤務先の安定性
- 年収が一定水準(おおむね150~200万円以上)に達しているか
短期的・不安定な収入のみだと不許可リスクが上がります。
そのため、補足的に貯金証明や支援者誓約を添えるのが効果的です。
7.年金・住民税未納がある場合の影響
生計要件の一環として、社会的信用も審査対象になります。
年金や住民税を未納・滞納している場合、「社会的義務を果たしていない」と判断される可能性があります。
未納がある場合は、申請前に納付・分納計画を立てることが重要です。
8.書類で信用を高める方法(提出書類のポイント)
- 住民税課税(非課税)証明書
- 納税証明書(市区町村または税務署発行)
- 源泉徴収票または確定申告書
- 預金残高証明書
- 雇用契約書・給与明細(直近3か月分)
これらを揃えることで、**「安定した生活基盤がある」**ことを具体的に示せます。
9.不許可を避けるための実務的アドバイス
- 「無収入=不許可」ではないが、説明責任が重要
- 家族支援を得ている場合は必ず誓約書・証明書を添付
- 申請理由書で「今後の生活設計」を明確にする
- 税・保険の未納がある場合は納付証明を準備
- 書類不足よりも「説明不足」で不許可になるケースが多い
10.よくある質問(Q&A)
Q1. 専業主婦でも配偶者ビザは許可されますか?
A. はい。専業主婦(主夫)であること自体は不利ではありません。配偶者または家族に安定収入があれば問題ありません。
Q2. 配偶者が無職でも、親から支援を受けていれば許可されますか?
A. 可能です。「援助誓約書」と「支援者の収入証明書」を添付することで許可の可能性が高まります。
Q3. 年金・税金を未納していても許可されますか?
A. 原則としてマイナス要因になります。納付または分納中であることを証明できれば、考慮されることがあります。
Q4. 無職の期間が長いと不許可になりますか?
A. 長期に及ぶ場合は「今後の就労見込み」や「貯金証明」などの補足資料でリスクを下げられます。
11.まとめ
専業主婦(主夫)世帯だからといって、配偶者ビザが不利になるわけではありません。
重要なのは、
- 誰が収入を得ているのか
- その収入がどの程度安定しているのか
- 社会的義務を果たしているか(税・保険)
この3点を明確に説明し、書類で裏付けることが審査通過の鍵です。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

