ホールやキッチンで働ける就労ビザ一覧|飲食業で合法的に働くための条件と注意点

はじめに:飲食業界で働くための在留資格を正しく理解しよう

外国人が日本の飲食店で働く場合、「どのビザ(在留資格)ならホールスタッフやキッチンスタッフとして働けるのか?」という点は非常に重要です。
誤った在留資格で就労すると「不法就労」とみなされるリスクもあります。

この記事では、

  • 飲食店のホール・キッチン業務で働ける就労ビザの種類
  • 各ビザの取得要件・在留期間・注意点
  • 不許可になりやすいケース
    までを、行政書士監修のもとでわかりやすく解説します。

1.ホール・キッチンで働ける主な就労ビザとは?

日本の飲食業界で外国人が働ける主な就労ビザは、次の3種類です。

ビザ名対象業務主な対象者
特定技能1号(外食業)ホール・キッチン全般飲食業での実務経験者、技能試験合格者
技能ビザ外国料理専門の料理人料理経験10年以上の専門シェフ
特定活動46号留学生が卒業後に外食業で就職する場合日本の大学卒業者

これらの在留資格以外(例:技術・人文知識・国際業務ビザなど)では、ホール業務・調理補助といった単純作業は就労対象外です。
誤って申請すると
不許可のリスク**が高いため注意しましょう。


2.【特定技能(外食業)】ホール・キッチン業務の王道ビザ

特定技能1号(外食業)とは?

「特定技能1号」は、2019年4月に創設された新しい就労ビザ制度です。
外食業分野では、調理・接客・洗い場など幅広い業務を行うことができます。

対象となる業務

  • 調理(日本食・洋食・中華などジャンル不問)
  • ホールでの接客
  • 食器洗い・レジ・清掃など付随業務

取得要件

  • 外食業技能試験に合格していること
  • 日本語能力試験(JLPT N4以上)または国際交流基金日本語テスト(A2レベル)合格
  • 適切な雇用契約を結んでいること
  • 受入機関(飲食店)が出入国在留管理庁に登録されていること

在留期間

1年・6か月・4か月ごとの更新制(最長5年まで)

特徴

  • 未経験でも試験合格で申請可能
  • ホール・キッチン両方で働ける
  • 一定条件を満たせば「特定技能2号」へ移行可(無期限就労も可能)

3.【技能ビザ】料理人として働く専門職の在留資格

「技能」ビザは、外国料理専門の料理人として働くための資格です。

対象となる業務

  • フランス料理、中華料理、インド料理など「外国料理」に属する専門調理
  • 長年の経験と技能が求められる職種

取得要件

  • 10年以上の実務経験(学歴+職歴で可)
  • 外国料理の専門性が日本人では代替困難であること
  • 料理人として正規雇用契約を結ぶこと

在留期間

1年・3年・5年など(更新可能)

注意点

  • 一般的な居酒屋・和食チェーンでは認められにくい
  • 「外国料理の専門性」が明確である必要あり

4.【特定活動46号】留学生が飲食店で就職できる例外ルート

2019年に導入された「特定活動46号」は、留学生が日本で学んだ知識を活かして就職できる特例です。

対象となる人

  • 日本の大学・大学院・専門学校を卒業した留学生
  • 日本語検定N1合格者
  • 外国語力を活かした接客・販売業務などに従事する者

対象となる業務

  • 外国人観光客対応の接客(英語・中国語・韓国語など)
  • メニュー翻訳、SNS運用、外国語スタッフ指導など

単純なホール業務のみでは認められず、「外国語運用」や「企画的要素」があることが条件です。

注意点

  • 飲食業で働く場合、外国語接客やマーケティング要素が必要
  • 単なるアルバイト的な接客業務では不許可となる

5.留学ビザ・家族滞在ビザとの違い

ビザの種類就労制限主な働き方
留学ビザ資格外活動許可があれば週28時間以内可パート・アルバイト
家族滞在ビザ資格外活動許可で週28時間以内可パート・アルバイト
特定技能・技能・特定活動フルタイム勤務可能正社員として就労可

フルタイムで働くには、**就労ビザ(特定技能・技能など)**が必須です。
アルバイトの延長で就労ビザを申請するケースでは、不許可になりやすい点に注意しましょう。


6.飲食業の就労ビザでよくある不許可事例

  • ホールスタッフのみの雇用契約(単純労働と判断される)
  • 雇用主が「登録支援機関」ではない
  • 労働条件通知書が不備(給与・勤務内容の不一致)
  • 技能試験合格証明書が提出されていない

特定技能ビザは実務書類の整合性が非常に重視されるため、専門家のサポートが推奨されます。


7.ビザ申請の流れと必要書類

申請の流れ

  1. 雇用契約の締結
  2. 技能試験・日本語試験の合格証取得
  3. 受入機関による支援計画作成
  4. 在留資格認定証明書の申請(地方入管局)
  5. 日本入国・在留カード発行

必要書類(特定技能外食業の場合)

  • 技能試験合格証明書
  • 日本語能力試験合格証
  • 雇用契約書
  • 支援計画書
  • 登録支援機関の届出書類
  • 給与明細・就業規則(雇用側提出分)

8.専門家に相談するメリット

就労ビザ申請は、**「業務内容」と「在留資格の該当性」**を正確に整理する必要があります。
行政書士などの専門家に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  • 不許可リスクの早期発見
  • 必要書類の整備・翻訳対応
  • 出入国在留管理庁への説明文作成
  • 更新や転職時のフォロー

9.よくある質問(Q&A)

Q1:アルバイトから特定技能に変更できますか?
A:はい。技能試験と日本語試験に合格し、受入企業が登録支援機関として認可を受けていれば可能です。

Q2:飲食店チェーンでも申請できますか?
A:可能です。ただし、本社が支援計画を実施できる体制を整えている必要があります。

Q3:特定技能2号への移行はいつできますか?
A:外食業は2024年から特定技能2号の対象となっています。一定の実務経験と評価試験合格で、永住に近い長期滞在が可能です。


10.まとめ:正しいビザ選択で安定した就労を

働き方最適なビザ
一般的なホール・キッチンスタッフ特定技能1号(外食業)
外国料理専門の料理人技能ビザ
留学生が語学力を活かして接客特定活動46号

飲食業は人手不足の分野として特定技能のニーズが非常に高まっています。
将来的に永住やキャリアアップを目指す方も、正しい在留資格の選択と適切な支援体制が重要です。


参考リンク


関連記事

無料相談

まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。
  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法