【留学生のインターンシップ】資格外活動許可は必要?包括許可・個別許可の違いと実務対応を完全解説
目次
1.外国人留学生が日本でインターンを行うための在留資格とは?
日本の大学・専門学校に通う外国人留学生は、在留資格「留学」で滞在しています。
この在留資格は学業専念が前提であり、原則として就労は認められていません。
しかし、学業に支障のない範囲で、アルバイトやインターンシップなどを行うための特別な制度として、
**「資格外活動許可」**が設けられています。
インターンシップは教育的意義がある一方で、報酬が支払われる場合や、実務に従事する場合は「就労」と判断されるため、必ず入管の許可が必要になります。
2.「資格外活動許可」とは?包括許可と個別許可の違い
資格外活動許可とは、本来の在留資格で認められていない活動を、入管が特別に認める制度です。
この許可には、**「包括許可(一般許可)」と「個別許可(特定許可)」**の2種類があります。
種類 | 内容 | 対象 | 例 |
---|---|---|---|
包括許可 | 週28時間以内の範囲で一般的なアルバイトを行うことができる一律許可 | すべての留学生 | コンビニ・飲食店・塾講師など |
個別許可 | 特定の企業・期間・内容を指定して許可される個別許可 | 報酬付きの学外インターンなど | 有給インターン、企業実務型研修など |
3.インターンで資格外活動許可が必要なケース・不要なケース
インターンシップにおける資格外活動許可の要否は、報酬の有無と教育課程との関連性によって異なります。
ケース | 報酬の有無 | 教育課程との関係 | 許可の要否 |
---|---|---|---|
① 無給・大学の単位認定あり | 無 | 授業の一環 | 不要 |
② 無給・単位認定なし(短期体験型) | 無 | 教育目的が明確 | 原則不要(要確認) |
③ 有給・報酬あり | 有 | 任意参加(学外) | 個別許可が必要 |
④ 長期(3か月以上)・実務型 | 有 | 実質的な就労 | 個別許可または特定活動9号ビザ |
ポイント
「報酬を受ける」「企業の実務に従事する」インターンは、包括許可の対象外。
必ず個別の資格外活動許可を申請する必要があります。
4.有給インターンは個別許可が必要?
多くの留学生が持っている包括許可(在留カード裏に「資格外活動許可あり」と記載)は、
一般的なアルバイト用であり、企業での実務型インターンは対象外です。
包括許可で認められる例
- コンビニ、飲食店などの一般アルバイト
- 学内での補助業務(図書館・カフェなど)
包括許可では認められない例
- 有給の企業インターンシップ(実務中心)
- 大学の単位認定がない学外研修
- 企業が独自で実施する職場体験で報酬を支給するもの
このような活動を行う場合は、入管に**「個別資格外活動許可」**を申請し、
活動期間・場所・内容を特定して許可を得る必要があります。
5.資格外活動許可(個別許可)の申請方法
(1)申請先
在学先を管轄する地方出入国在留管理局
(2)必要書類
- 資格外活動許可申請書(特定内容記載)
- 在学証明書・成績証明書
- インターンシップ計画書または契約書
- 受入企業の概要資料(登記簿・パンフレット等)
- 指導教員または学校の推薦書
(3)審査期間
約1〜3週間(内容によっては長引く場合あり)
(4)許可期間
通常、インターン期間に限定して発行されます。
(5)注意点
- 許可証が交付される前に就労を開始してはいけません。
- 就労時間は週28時間以内(長期休暇中は1日8時間以内)です。
- 許可内容を超えた場合は不法就労になります。
6.企業側の注意点と不法就労リスク
企業が外国人留学生をインターンとして受け入れる場合も、
在留資格・許可内容の確認義務があります。
企業のチェックリスト
- 在留カードで「留学」資格を確認
- 資格外活動許可証または許可印を確認
- 就労時間(週28時間)を厳守
- 活動内容が教育目的に沿っているか確認
- 労働基準法・最低賃金法の遵守
不法就労助長罪に注意
資格外活動許可のない留学生を働かせた企業は、
**入管法第73条の2「不法就労助長罪」**に問われるおそれがあります。
罰則は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と非常に重いです。
7.よくある質問(Q&A)
Q1:インターンが1日だけでも許可が必要ですか?
A:報酬を受け取る場合は必要です。 短期でも「労働」に該当します。
Q2:交通費だけの支給は報酬になりますか?
A:実費相当額のみの交通費であれば報酬に当たりませんが、
定額支給や実費を超える場合は「手当」とみなされ、許可が必要です。
Q3:資格外活動許可を申請中にインターンを始めてもいいですか?
A:ダメです。 許可証が発行されてからでなければ活動できません。
Q4:大学を介さない企業主催のインターンは?
A:報酬がなくても、実務内容が伴う場合は個別許可が必要になる可能性が高いです。
Q5:長期有給インターンを行いたい場合は?
A:「特定活動(9号)」の在留資格に変更することも可能です。
大学・企業・入管に相談しながら進めましょう。
8.まとめ:有給・実務型インターンは「個別許可」が必須!
区分 | 許可の種類 | 要点 |
---|---|---|
無給・単位認定あり | 不要 | 教育課程内の活動 |
無給・単位認定なし(短期体験) | 不要(要確認) | 教育目的が明確 |
有給・報酬あり | 個別許可必要 | 実質的な就労に該当 |
長期・実務中心インターン | 特定活動9号または個別許可 | 包括許可では不可 |
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参考リンク
まとめポイント
- 資格外活動許可には「包括」と「個別」がある
- 有給インターンは包括許可ではなく個別許可が必要
- 許可前の活動開始はNG(不法就労扱い)
- 企業にも「不法就労助長罪」のリスク
- 長期・実務型は「特定活動9号」ビザも検討可能
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |