【インターンシップビザ(特定活動9号)完全ガイド】許可要件・必要書類・申請の流れを徹底解説
目次
1.インターンシップビザとは?
「インターンシップビザ」とは、正式名称を**「在留資格:特定活動(9号)」**といい、
外国人学生が日本で実務体験(インターンシップ)を行うために必要となる在留資格です。
この制度は、大学などの教育機関に在籍する外国人学生が、日本企業などで一定期間、実際の業務を体験することを目的としています。
ただし、「報酬の有無」や「実習の目的」によって、在留資格の種類や申請方法が異なるため注意が必要です。
2.インターンシップの種類(有給・無給・単位取得)
インターンシップには主に以下の3つのパターンがあります。
種類 | 報酬の有無 | 対応する在留資格 | 主な対象者 |
---|---|---|---|
学校の単位取得を伴う無給インターン | 無給 | 留学ビザのまま可 | 大学・専門学校生 |
単位取得を伴わない有給インターン | 有給 | 特定活動(9号) | 海外大学の学生など |
単位取得を伴わない無給インターン | 無給 | 短期滞在 or 文化活動 | 海外の学生・短期実習 |
つまり、「報酬が発生するか」「教育課程に含まれるか」によって、ビザの種類が変わります。
有給・単位なしの場合は、必ず『特定活動(9号)』を申請する必要があります。
3.特定活動9号(インターンシップ)の許可要件
(1)申請できる人の条件
特定活動9号ビザを取得できるのは、次のような学生です。
- 外国の大学に在籍している学生
- 日本の教育機関と提携して実習を行う学生
- 日本企業での研修・体験が教育課程の一環であることが明確な場合
(2)実習内容の条件
入管庁では、実習内容について次のように定めています。
- 実務内容が教育目的に即していること
- 受入企業の業務内容が、学生の専攻と関連していること
- 労働力の代替として実施されていないこと
- 実習計画書で目的・期間・内容が具体的に示されていること
(3)報酬・滞在期間の条件
- 有給の場合は「報酬額」が適正であること(最低賃金以上)
- 滞在期間は原則1年以内
- 実習終了後に帰国予定であること(永住・就労目的ではない)
これらを満たさないと、入管で「労働目的」と判断され、不許可になる可能性があります。
4.インターンシップビザの申請に必要な書類一覧
申請人と受入企業がそれぞれ準備する書類が必要です。
【申請人側(学生本人)】
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)1枚
- パスポート・在留カード(写し)
- 在学証明書(原本)
- 成績証明書(原本)
- 実習計画書
- 推薦状(大学または教育機関から)
- 履歴書
【受入企業側】
- 会社概要書(パンフレットなど)
- 登記事項証明書
- 直近の決算書または確定申告書
- 実習受入計画書
- 雇用契約書または受入同意書(報酬がある場合)
- 受入責任者の身分証明書
ポイント:
実習が大学の単位認定対象である場合は、大学からの「推薦状」や「単位認定証明書」が非常に重要です。
5.申請から許可までの流れ
- 受入企業・大学との実習内容の合意
↓ - 必要書類の作成・準備
↓ - 地方出入国在留管理局に申請
↓ - 審査(通常1〜3か月程度)
↓ - 許可・在留カード交付
↓ - 実習開始
※滞在期間は最長1年まで。延長を希望する場合は更新手続きが必要です。
6.不許可になりやすいケースと注意点
インターンシップビザは、「教育目的」が明確でないと厳しく審査されます。
以下のようなケースは不許可となるリスクが高いです。
- 実習内容が単純労働(例:清掃、接客など)
- 実習報酬が異常に高額・低額
- 実習先企業が実態のない会社
- 実習目的が不明確または大学と無関係
- 実習後の帰国意思が疑われる場合
実務的アドバイス:
「教育目的」「帰国意思」「企業の実体性」の3点が、審査の最大の焦点です。
7.大学・受入企業が注意すべき点
大学や企業側も、次のような点に注意しなければなりません。
- 実習内容と学生の専攻の関連性を明確に示す
- 労働契約ではなく「教育目的の実習」であることを証明する
- 監督体制・報告体制を整備する
- トラブル防止のための誓約書・同意書を作成する
大学と企業の連携が弱い場合、入管は「教育目的の裏付けがない」と判断することがあります。
8.よくある質問(Q&A)
Q1.海外大学に在籍していて、日本の大学と提携していません。申請できますか?
→ 可能です。ただし、インターンシップの目的が明確で、受入企業が適切な支援体制を整えている必要があります。
Q2.有給インターンの場合、時給はいくらまで許可されますか?
→ 日本の最低賃金以上であれば問題ありませんが、過度な報酬は「労働目的」と判断されるリスクがあります。
Q3.ビザ申請期間はどのくらいかかりますか?
→ 通常は1〜3か月程度。繁忙期(4〜6月)は長くかかることもあります。
Q4.滞在中にアルバイトはできますか?
→ 原則として、インターン活動以外の労働は認められません。「資格外活動許可」も付与されません。
Q5.インターン後に就労ビザへ変更できますか?
→ 実習先企業で内定を得た場合は「技術・人文知識・国際業務ビザ」などへ変更可能です。
9.関連リンク・参考資料
参考資料
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まとめ
インターンシップビザ(特定活動9号)は、単なる「就業体験」ではなく、教育の一環としての実務体験を目的としています。
そのため、大学との連携・実習計画の明確化・企業の適正性が重要な審査ポイントです。
適切な準備を行えば、海外大学の学生でも日本企業で貴重な経験を積むことが可能です。
不明点や書類作成に不安がある場合は、ビザ専門の行政書士に相談することをおすすめします。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |