【永住許可/独立生計要件】非課税の場合の審査への影響を徹底解説|許可のポイントと対策【完全ガイド】


1.永住申請の「独立生計要件」とは?

永住許可申請の3大要件の一つが「独立生計要件」です。
出入国在留管理庁はこの要件を次のように定めています。

「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」
(出入国管理及び難民認定法施行規則第22条2項)

つまり、申請人およびその家族が、日本国内で安定的に生活できる経済基盤を持っているかどうかが審査されます。

審査で確認される主なポイント

  • 課税・納税記録(住民税・所得税)
  • 世帯全体の収入状況
  • 勤続年数・雇用形態・職種の安定性
  • 扶養家族の有無
  • 貯蓄・資産の有無

このうち特に重要なのが、「課税証明書・納税証明書」の内容です。
非課税である場合、この証明書の「課税額」がゼロとなるため、慎重に説明が必要となります。


2.非課税世帯でも永住申請は可能か?

結論から言えば、「非課税でも永住申請は不可能ではありません」。
しかし、非課税の理由が「所得が低いため」であれば、独立生計要件を満たさないとして不許可になる可能性が高くなります。

非課税世帯が問題となる理由

  • 入管庁は「納税義務を果たしているか」を重視する
  • 課税・納税記録は「安定した収入」を示す根拠となる
  • 非課税が続くと「生活基盤が不安定」と判断されやすい

ただし、次のような「合理的な非課税理由」がある場合には、事情を説明すれば認められることがあります。


3.入管庁が重視する「課税・納税記録」とは

永住申請では、過去5年分(永住要件期間中)の課税証明書・納税証明書を提出します。
このとき、入管庁は次の点を重点的に確認します。

チェック項目審査内容
課税の有無課税されていれば、一定の所得があると判断
所得額安定した収入水準かどうか(目安:年収300万円以上)
納税履歴滞納・未納がないか
世帯構成扶養家族が多い場合の負担バランス

非課税証明書が提出される場合、審査官は「非課税理由」を確認します。
非課税の理由が「低収入」なのか、「扶養・障害・留学・育児」などの一時的な事情なのかが重要です。


4.非課税の理由によって結果が変わる|注意すべき3つのパターン

(1)所得が低く課税対象外となっている場合

不許可となる可能性が高いです。

所得が住民税非課税基準(おおよそ年収100万円程度)を下回る場合、
「独立した生計を営むことが困難」と判断されやすいです。
この場合、配偶者や家族に収入がある場合でも、世帯単位での説明が不可欠です。

(2)扶養控除や配偶者控除により非課税となっている場合

許可の可能性があります。

例えば、申請人が専業主婦(主夫)で配偶者に安定収入がある場合、
「世帯として独立して生活できている」と判断されることがあります。
ただし、配偶者の納税記録・在職証明を提出し、家計の安定性を説明することが重要です。

(3)学生や出産・育児・病気による一時的非課税の場合

事情説明書を添付すれば、考慮される可能性があります。

留学や産休・病気療養などによる一時的な非課税は、やむを得ない事情として考慮されます。
ただし、「その後の収入が回復している」ことを示す資料(在職証明、給与明細など)を添えることが望ましいです。


5.世帯全体の収入で判断されるケースとは?

出入国在留管理庁は「独立生計要件」について、申請人個人ではなく世帯全体の収入を考慮することがあると明言しています。

例えば:

  • 配偶者が正社員で年収400万円以上
  • 申請人本人はパート勤務で非課税

このような場合、世帯として安定した生計を営んでいると認められることが多いです。
ただし、必ず以下の書類を提出しましょう。

提出が推奨される追加資料

  • 配偶者の在職証明書
  • 源泉徴収票
  • 世帯全員分の課税・納税証明書
  • 給与明細(3か月分)
  • 銀行残高証明書(貯蓄額があれば有利)

6.非課税期間がある場合の対策方法

非課税期間があるからといって、必ず不許可になるわけではありません。
**「理由説明」と「補足資料の提出」**が最も重要です。

対策ポイント

  1. 非課税の理由を「事情説明書」で明確に記載
  2. 非課税期間中も生活費を維持していた根拠(貯蓄・仕送り・配偶者収入)を示す
  3. 現在は課税対象になっている(安定収入がある)ことを証明

事情説明書の例文

令和4年度は出産および育児のため休職しており、所得が非課税となっております。
現在は復職し、安定した収入を得ております(在職証明書・給与明細添付)。
生活費については配偶者の収入により世帯として安定した生計を維持しておりました。


7.永住申請時に提出すべき主な書類

書類名提出者注意点
住民税課税証明書・納税証明書(直近5年分)申請人・配偶者非課税の場合は理由を説明
源泉徴収票または確定申告書申請人・配偶者安定収入の証明
在職証明書勤務先発行雇用形態・勤続期間が分かるもの
預金残高証明書任意貯蓄で生活可能な場合に有効
事情説明書任意非課税の理由を具体的に記載

8.よくあるQ&A

Q1. 非課税証明書だけを出しても問題ありませんか?
➡ 不十分です。必ず「非課税理由」を補足する書類(事情説明書や世帯収入の証明)を添えましょう。

Q2. 世帯主が配偶者の場合でも、世帯全体で審査されますか?
➡ はい。入管庁は「実質的な生活維持者」を重視します。申請人本人が非課税でも、配偶者が安定収入を持っていれば許可される場合があります。

Q3. 年金生活者の場合は非課税でも大丈夫ですか?
➡ 年金受給額や貯蓄額が十分であれば、独立生計要件を満たすと判断されることがあります。年金証書・通帳コピーを提出してください。


9.専門家に相談すべきケース

以下のような場合は、行政書士(入管業務専門)への相談を強く推奨します。

  • 過去に非課税期間が複数年ある
  • 収入が不安定・パートタイム勤務
  • 配偶者が海外に在住している
  • 課税証明書に不明点がある

専門家は「非課税理由の整理」と「補足資料の構成」を戦略的に作成し、
不許可リスクを大幅に減らすことができます。

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10.まとめ

ポイント内容
非課税でも申請は可能ただし理由説明が必須
所得が低く非課税の場合独立生計要件を満たさない可能性大
扶養・育児・疾病などの理由事情説明で考慮される可能性あり
世帯収入全体が重要配偶者等の収入も含めて説明する
対策事情説明書+追加証明資料を添付

非課税だからといってあきらめる必要はありません。
重要なのは、**「なぜ非課税だったのか」「現在は安定した収入があるのか」**を、客観的な資料で説明することです。


参考リンク

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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
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 明治大学法科大学院修了
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