無職での配偶者ビザ審査が厳しい理由と通過のポイントを徹底解説
目次
はじめに:無職でも日本人の配偶者ビザは取得できるのか?
結婚をしても「無職」状態にある外国人配偶者の方が、在留資格「日本人の配偶者等」(通称:配偶者ビザ)の申請を行うケースは少なくありません。
しかし、「収入がないとビザは取れないのでは?」と不安を抱える方も多いでしょう。
結論から言うと、無職でも日本人の配偶者ビザを取得できる可能性はあります。
ただし、審査は厳格になりやすく、安定した生活基盤をどのように証明できるかが重要になります。
この記事では、無職の状態での配偶者ビザ申請について、審査のポイント・注意点・対策方法を、入管実務の観点から詳しく解説します。
1.無職の場合は配偶者ビザの審査が厳しくなる理由
日本人の配偶者ビザは「婚姻の真実性」と「生活の安定性」の両方が重視されます。
このうち、無職である場合に特に問題となるのが後者、すなわち**「生計維持能力」**です。
(1)生活能力の証明が求められる
入管庁の公式ガイドラインによると、配偶者ビザの審査では次のような点が確認されます。
「日本で安定的に生活できる経済基盤があるかどうか」
つまり、無職で収入がない場合、「今後どのように生活していくのか」を具体的に説明できなければ、「生計が不安定」と判断され不許可となる可能性が高まります。
(2)「偽装結婚」防止の観点からも厳格に
また、無職状態での申請は、「日本滞在目的が結婚以外にあるのではないか」と疑われるリスクもあります。
このため、婚姻の実態・交際経緯・同居実態などを丁寧に立証することが求められます。
2.審査で重視される「生計維持能力」とは
「生計維持能力」とは、日本で安定して生活できる経済的基盤のことを指します。
具体的には以下の要素が考慮されます。
- 主たる生計維持者(日本人配偶者)の職業と収入
- 世帯全体の預貯金・資産
- 親族からの経済的支援の有無
- 将来の就労予定・雇用内定などの見通し
ポイントは、「申請時点での無職」でも、将来的に生活が維持できる見込みがあるかを示すことです。
3.無職でも配偶者ビザが許可されるケース
以下のような状況では、無職でも許可の可能性があります。
(1)他方の配偶者に安定した収入がある場合
たとえ一方の配偶者が無職であっても、他方の配偶者側に安定した収入(給与所得・自営業収入など)がある場合は問題ありません。
この場合は、他方の配偶者側の源泉徴収票や課税証明書を提出し、生活能力を示します。
(2)十分な預貯金がある場合
日本人・外国人いずれかに預貯金が数百万円以上ある場合は、短期的に生活できる資金力があると判断されやすいです。
残高証明書の提出で裏付けを行います。
(3)就職内定がある場合
「申請時は無職だが、内定先が決まっている」場合も有利です。
内定通知書・採用予定証明書などを添付すれば、将来的な安定性を示せます。
(4)親族からの経済的援助がある場合
親・兄弟などの日本在住親族が支援してくれる場合、「経済支弁書」や「支援者の収入証明書」を添付することで、補完的に証明できます。
4.無職で配偶者ビザが不許可になる主なケース
一方で、以下のような場合は不許可になりやすいです。
- 夫婦ともに無職・収入なし
- 日本人配偶者の収入が不安定(短期アルバイトなど)
- 預貯金がほとんどない
- 将来の生活計画が不明確
- 婚姻期間が短く、交際実態の証明が不十分
これらの場合、「経済的に安定していない」または「婚姻が形式的」と判断されるリスクがあります。
5.無職の場合に提出すべき追加資料・説明書
審査を補強するために、以下の資料を用意しておくと効果的です。
- 他方の配偶者の在職証明書・収入証明書
- 預貯金通帳のコピー・残高証明書
- 経済支弁書(支援者がいる場合)
- 婚姻の経緯を説明する文書(交際履歴、出会い経緯)
- 今後の生活計画書(どのように生活を維持するか)
- 同居証明(賃貸契約書・公共料金明細など)
とくに、「今後の生活設計」を具体的に書いた理由書・説明書を添付することで、入管への印象が大きく変わります。
6.審査を通過するための具体的な対策
(1)他方の配偶者を中心に生活設計を立てる
入管は「夫婦が日本で安定して生活できるか」を重視します。
したがって、無職の配偶者よりも他方の配偶者側の収入・安定性を明確に示すことがポイントです。
(2)資産や支援を証明できる書類を用意
貯金額・支援者・家賃負担など、実際の生活費をどのように賄うかを明示しましょう。
「どこからどのように生活費を得るのか」を数値で説明すると説得力が高まります。
(3)婚姻の実態を丁寧に説明
収入がない場合、「結婚目的以外の在留」ではないことを立証する必要があります。
交際期間・連絡記録・写真などを整理して提出しましょう。
(4)専門家への相談も有効
行政書士(入管取次資格者)に相談すれば、個別の状況に合わせた理由書・補足資料の作成支援を受けられます。
専門的な助言により、無職でも許可率を大幅に高めることが可能です。
7.【Q&A】無職の配偶者ビザに関するよくある質問
Q1:外国人配偶者も日本人配偶者も無職です。許可されますか?
A:非常に厳しいです。ただし、十分な貯金や親族の経済支援がある場合は、可能性があります。
Q2:アルバイトを始めてから申請した方がよいですか?
A:はい。少額でも安定した収入を証明できれば、審査にプラスになります。
Q3:預金残高はいくらあれば安心ですか?
A:一般的に、100万円~300万円程度の預金があれば短期的生活維持力として評価されやすいです。
Q4:無職期間が長いと不利になりますか?
A:はい。無職期間が長い場合は、今後の就労見込みや生活計画を具体的に示す必要があります。
Q5:不許可になった場合は再申請できますか?
A:できます。ただし、不許可理由を分析し、資料を補強した上で再申請することが重要です。
8.まとめ:無職でも「真実の婚姻」と「生活基盤」を示せば許可の可能性あり
無職であっても、配偶者ビザが必ず不許可になるわけではありません。
審査で重視されるのは、**「婚姻の真実性」と「安定した生活の見通し」**の2点です。
- 日本人配偶者に安定した収入がある
- 預貯金や支援が十分にある
- 今後の生活計画が明確
- 婚姻の実態を丁寧に立証している
これらを満たせば、無職でも十分に許可の可能性があります。
逆に、根拠が曖昧なまま申請すると、「経済的不安」や「偽装婚の疑い」として不許可になる恐れがあります。
もし不安がある場合は、入管専門の行政書士に相談し、生活計画書・理由書の作成をサポートしてもらうのが最も確実です。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |