就労ビザ申請の流れ|外国人雇用の完全ガイド

外国人を日本で雇用する際、**就労ビザ(在留資格)**の取得は企業にとって必須の手続きです。正しく手続きを行うことで、法的リスクを回避し、スムーズな雇用関係を構築できます。

本記事では、就労ビザの種類や申請フロー、必要書類、注意点、ケース別の手続き、よくある質問まで網羅し、企業担当者や外国人労働者が迷わず準備できる内容にまとめました。


1. 就労ビザとは

就労ビザとは、外国人が日本で就労するために必要な在留資格のことです。正式には「就労可能な在留資格」と呼ばれ、出入国在留管理庁が許可します。

  • ビザ(査証)=入国時に必要な証明
  • 在留資格=滞在中に働く権利を示す証明

ビザと在留資格は異なる概念です。入国ビザだけでは就労できませんので注意しましょう。


2. 就労ビザの種類と特徴

日本で取得可能な就労ビザには、多くの種類があります。代表的なビザと特徴は以下の通りです。

2.1 技術・人文知識・国際業務(略称:技人国)

  • 対象者:エンジニア、通訳・翻訳、営業、マーケティングなど
  • 要件:大学卒業または相応の実務経験
  • 特徴:最も一般的な就労ビザ。転職時も在留資格の変更が可能

2.2 特定技能

  • 対象者:介護、建設、製造、農業など14分野
  • 要件:技能試験合格・日本語能力試験N4以上
  • 特徴:1号(家族帯同不可)と2号(特定分野で家族帯同可能)に分かれる

2.3 高度専門職

  • 対象者:研究者、ITエンジニア、医師、経営者など
  • 要件:ポイント制で一定条件をクリア
  • 特徴:永住申請の優遇措置あり、在留期間が長く設定される

2.4 企業内転勤

  • 対象者:海外関連会社から日本本社・支社に転勤する社員
  • 要件:海外勤務経験、一定の職位
  • 特徴:海外拠点との連携を目的としたビザ

2.5 技能実習

  • 対象者:技能・技術習得を目的とした実習生
  • 要件:実習計画に基づいた受入れ、監理団体の許可
  • 特徴:原則3年間(特定分野は5年まで延長可能)

詳細は出入国在留管理庁の公式サイトをご参照ください。
在留資格一覧表|出入国在留管理庁


3. 就労ビザ申請の流れ

就労ビザは、新規採用と在留資格変更で流れが異なります。

3.1 新規採用の場合

  1. 在留資格認定証明書交付申請
    • 企業が外国人のために出入国在留管理庁に申請
  2. 在留資格認定証明書の取得
    • 通常、申請から1〜2ヶ月で交付
  3. ビザ申請(在外日本大使館・領事館)
    • 外国人本人が母国の大使館で申請
  4. ビザ発給
    • 通常1〜2週間で発給
  5. 入国・在留カードの受け取り
    • 日本入国後、在留カードが交付

3.2 在留資格変更の場合(例:留学→技人国)

  1. 在留資格変更許可申請
    • 外国人本人が出入国在留管理庁に申請
  2. 許可取得
    • 通常1〜2ヶ月
  3. 新資格で就労開始
    • 許可後、新資格での就労が可能

ポイント:許可前に就労すると不法就労となり、企業・本人ともに罰則対象になります。


4. 必要書類と準備のポイント

4.1 外国人労働者側

  • 履歴書・職務経歴書
  • 卒業証明書・成績証明書
  • 資格証明書(日本語能力試験、技術資格など)
  • パスポートのコピー
  • 証明写真(4cm×3cm、3ヶ月以内撮影)

4.2 企業側

  • 法人登記簿謄本
  • 決算書類(直近2期分)
  • 雇用契約書
  • 給与明細書・源泉徴収票
  • 事業計画書(新設企業の場合)

注意点
書類に不備があると審査が長引くため、提出前に必ずチェックしましょう。


5. 申請後の手続きと注意点

5.1 審査期間と混雑時期

  • 技術・人文知識・国際業務は平均38日程度
  • 1〜3月は申請集中で延長の可能性あり

5.2 在留資格の更新

  • 在留期限の3ヶ月前から申請可能
  • 更新には雇用契約の継続や給与の証明が必要

5.3 資格外活動許可

  • 許可された業務以外の就労には資格外活動許可が必要
  • 無許可就労は不法就労となり、企業にも罰則

6. ケース別:申請の注意点

6.1 転職の場合

  • 就労ビザ保持者が転職する場合は、在留資格変更が必要
  • 新しい職務内容が現行の在留資格と合致しているか確認

6.2 留学生が就職する場合

  • 留学ビザ→技人国に変更
  • 日本語能力や学歴の証明が重要

6.3 外国人取締役の招聘

  • 経営管理ビザが必要
  • 海外本社からの出向者も同様

企業ごとに適切なビザ種類を選択し、提出書類を準備することが成功の鍵です。


7. よくある質問(Q&A)

Q1: 就労ビザの申請は誰が行うの?
A1: 企業が代理で申請するのが一般的です。

Q2: 就労ビザ取得にかかる費用は?
A2: 手数料や書類取得費用で数万円程度です。

Q3: 許可前に働くことはできる?
A3: 許可前の就労は不法就労となるため不可です。

Q4: 家族帯同は可能ですか?
A4: ビザの種類によります。特定技能1号は不可、2号や技人国は条件付きで可能です。


8. まとめ

就労ビザ申請は、企業と外国人双方の準備がカギです。

  • 適切なビザ選択
  • 必要書類の準備
  • 申請後の注意点の把握

これにより、スムーズで法令遵守の外国人雇用が可能になります。

最新情報や詳細は、出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。

出入国在留管理庁 公式サイト

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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
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