ポルトガル人との国際結婚はどうすれば良いですか?


1.婚姻手続は日本とポルトガルの両国でする必要がありますか?

配偶者ビザは、日本国法及びポルトガル婚姻法の両国の法律に基づく有効な婚姻関係でなければ許可は下りません。
したがって、日本人とポルトガル人が国際結婚をするためには、日本民法及びポルトガル婚姻法の両方の手続を経る必要があります。


(1)ポルトガル婚姻法の概要

  • 婚姻年齢:16歳以上(男女同一)
  • 16歳以上18歳未満:両親の同意がない場合は婚姻できません
  • 再婚禁止期間:女性300日・男性180日

(2)日本民法の概要(2022年4月1日改正後)

  • 婚姻年齢:男女とも18歳以上
  • 再婚禁止期間:廃止済み

(3)同性婚に関する取扱い

ポルトガルでは同性婚が法制化されていますが、日本では同性婚が法的に認められていません
そのため、ポルトガルで同性婚をしたカップルであっても、日本では婚姻として認められず、配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)は取得できません


(4)どちらの国で先に婚姻手続を行うべきか

これは居住地によって異なります。

  • ポルトガル人が日本在住の場合:
     日本で先に婚姻手続を行うほうが手間がかかりません。
  • 日本人がポルトガル在住の場合:
     ポルトガルで先に婚姻手続を行う方がスムーズです。

2.先に日本で結婚する場合の手続き

以下は、日本で婚姻手続を先に行う場合の流れです。


(1)手順1 ポルトガル人の婚姻要件具備証明書と出生証明書の取得

まず、駐日ポルトガル大使館から以下の書類を取得します(取得まで約10日)。

必要書類:

  • ポルトガル人のIDカード
  • 出生証明書(6か月以内のもの)

参考:
Embassy of Portugal in Japan(駐日ポルトガル大使館)


(2)手順2 日本の市区町村で婚姻届

上記書類を取得後、日本の市区町村役場で婚姻届を提出します。

日本人の必要書類:

  • 婚姻届
  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート等)
  • 戸籍謄本
  • 証人2人の署名

ポルトガル人の必要書類:

  • 婚姻要件具備証明書(翻訳・アポスティーユ認証付き)
  • 出生証明書(翻訳・アポスティーユ認証付き)
  • パスポート
  • 在留カード(あれば)
  • 離婚歴がある場合:離婚証明書(翻訳・アポスティーユ認証付き)

(3)手順3 ポルトガルの婚姻手続

日本の婚姻手続完了後、ポルトガルでも婚姻登録を行います。
以下①②の手続を完了することで、ポルトガル婚姻証明書が発行されます。


① 婚姻届受理証明書の取得とアポスティーユ認証

  • 日本の市区町村で婚姻届受理証明書を取得。
  • 外務省でアポスティーユ認証を受ける。
    (アポスティーユとは、日本国外務省が書類の真正性を認証する制度です。)

参考:
外務省|アポスティーユ認証について


② 駐日ポルトガル大使館で婚姻登録

外務省の認証を受けた婚姻届受理証明書を駐日ポルトガル大使館に提出。
大使館で婚姻登録書にサインすることで、ポルトガルでも有効な婚姻が成立します。


3.先にポルトガルで結婚する場合の手続き

ポルトガルで婚姻手続を先に行う場合は、次の流れとなります。


(1)手順1 日本人の必要書類の取得とアポスティーユ認証

  • 戸籍謄本を在ポルトガル日本国大使館または日本の法務局で取得。
  • 外務省でアポスティーユ認証を取得。

(2)手順2 ポルトガル戸籍登録保存所に必要書類提出

以下の書類を提出して婚姻許可申請を行います。
受理されると、婚姻許可の決裁書が発行されます。

必要書類:

  • パスポート
  • ポルトガル滞在許可証(必要に応じて)
  • 戸籍謄本(アポスティーユ・翻訳付き)
  • 婚姻要件具備証明書(アポスティーユ・翻訳付き)

※一部戸籍登録保存所では、離婚や死亡記載のある除籍謄本を求められる場合もあります。


(3)手順3 ポルトガル婚姻手続と婚姻証明書の取得

婚姻許可決裁書の有効期間内(6か月)に婚姻日時を決定し、
戸籍登録保存所長立会いのもと宣誓による婚姻手続を行います。
完了後、婚姻証明書が発行されます。

  • 民事婚・カトリック方式の選択が可能
  • 証人の出頭は原則不要(身分証明で本人確認ができる場合)
  • ポルトガル語を理解できない場合、通訳人の立会いが必要

(4)手順4 ポルトガル外務省での認証

婚姻証明書取得後、ポルトガル外務省で認証を受けます。


(5)手順5 日本の婚姻手続

認証済みの婚姻証明書をもって、日本の大使館または市区町村で婚姻届を提出します。

必要書類:

  1. 婚姻届書(本籍により2通または3通)
  2. 戸籍謄本(2通)
  3. 婚姻証明書(原本・日本語訳文付き・アポスティーユ認証付き)
  4. 外国人の国籍証明書類(パスポート等)
  5. 婚姻当事者双方の身分証の写し(各1通)

Q&A

Q1:ポルトガル人と日本人が日本で婚姻届を出しただけで、配偶者ビザの申請はできますか?
A:日本での婚姻届を出しただけでは、ポルトガル法上の婚姻登録が完了していないため不十分です。必ずポルトガル側でも婚姻登録を行ってください。

Q2:同性婚の場合、どの国で結婚しても配偶者ビザは取得できますか?
A:日本では同性婚が法的に認められていないため、配偶者ビザの取得はできません

Q3:どちらの国で結婚する方が早いですか?
A:居住地によって異なります。日本在住のポルトガル人は日本で、ポルトガル在住の日本人はポルトガルで婚姻手続を先に行うのが効率的です。


まとめ

日本とポルトガルの婚姻手続は、両国の法律に基づく婚姻関係を成立させることが配偶者ビザの前提条件です。
提出書類や認証(アポスティーユ)手続も多岐にわたるため、入管手続に精通した専門家に相談することで、スムーズな婚姻・ビザ申請が可能になります。

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 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
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運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

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 明治大学法科大学院修了
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