永住申請で源泉徴収票を提出すれば課税証明書は不要?提出書類の考え方と注意点【完全ガイド】

はじめに

永住申請において多くの申請者が迷うのが「源泉徴収票と課税(所得)証明書の関係」です。
「会社からもらった源泉徴収票を提出すれば課税証明書はいらないのでは?」と考える方も少なくありません。

しかし、結論から言えば、源泉徴収票の提出だけでは永住申請に必要な「課税証明書」の代替にはなりません
この記事では、行政書士としての実務経験に基づき、永住申請における源泉徴収票と課税証明書の役割、提出が求められるケース、提出を省略できない理由について詳しく解説します。


1.永住申請における基本提出書類

(1)課税証明書(課税所得証明書)

永住申請では、**過去5年分の課税証明書(市区町村発行)**が必須とされています。
これは「独立生計要件(安定した収入があるか)」を証明するための基礎資料となるため、最も重要な書類のひとつです。

  • 発行先:居住地の市区町村役場
  • 記載内容:前年の所得額、課税額、扶養家族など

(2)納税証明書

加えて、税務署から発行される**納税証明書(その1・その2)**も必要です。
これにより「税金を滞納していないこと」を証明します。

(3)源泉徴収票

会社員であれば、毎年年末に勤務先から交付されるのが源泉徴収票です。
これは会社がその人の給与所得を基に作成するもので、所得や天引きされた税額が記載されています。

しかし、これはあくまで勤務先の証明であり、市区町村が課税・納税状況を確認したものではありません。そのため、入管が必要とする「課税証明書」の代わりにはならないのです。


2.源泉徴収票を提出しても課税証明書は不要にならない理由

(1)提出先と発行主体の違い

  • 源泉徴収票:会社が発行
  • 課税証明書:市区町村が発行

入管は、市区町村の公的証明を重視しており、会社発行の書類のみでは「公的な所得証明」として認めません。

(2)税務上の確定との関係

源泉徴収票はあくまで年末調整ベースの資料であり、住民税の確定課税額とは完全に一致しない場合があります。
一方、課税証明書は住民税の課税決定に基づくため、入管が求める「確定後の正しい収入情報」となるのです。

(3)例外的に提出が補足資料になるケース

ただし、1月〜4月の時期に永住申請する場合は、直近年度の課税証明書がまだ発行されていないことがあります。
この場合、最新の収入状況を補うために源泉徴収票を併せて提出するよう求められるケースがあります。
それでも課税証明書を完全に省略できるわけではなく、補足的な位置づけに過ぎません。


3.永住申請での提出パターン

(1)標準的なケース(会社員)

  • 過去5年分の課税証明書
  • 過去5年分の納税証明書
  • 源泉徴収票(必要に応じて補足)

(2)自営業者・フリーランス

  • 確定申告書控え
  • 課税証明書
  • 納税証明書
    ※源泉徴収票は存在しないので不要

(3)申請時期が1月〜4月の場合

  • 過去分の課税証明書
  • 直近分は未発行 → 代わりに源泉徴収票を提出
  • 後日、補足資料として直近分の課税証明書を追加提出する場合あり

4.よくある質問(Q&A)

Q1.源泉徴収票だけを提出すればよいですか?

A1.いいえ。必ず課税証明書を提出する必要があります。源泉徴収票は補足であって代替ではありません。

Q2.課税証明書と納税証明書は両方必要ですか?

A2.はい。課税証明書は「収入の証明」、納税証明書は「滞納がない証明」と役割が異なるため両方必要です。

Q3.1月に申請する場合、最新年度の課税証明書がないのですが?

A3.その場合、源泉徴収票を補足資料として提出し、課税証明書が発行されたら追加提出を求められることがあります。

Q4.確定申告をしている場合は?

A4.自営業者や副業がある場合は、確定申告書控えを提出し、さらに課税証明書・納税証明書を添える必要があります。


5.不提出や不備があった場合のリスク

  • 永住申請の審査が長期化する
  • 補正通知(追加書類の提出要請)が届く
  • 最悪の場合、不許可につながる可能性

課税証明書や納税証明書は、入管が「収入の安定性」と「納税の誠実性」を確認するための最重要資料です。不備なく揃えることが、許可率を高める最大のポイントです。


6.まとめ

  • 永住申請では、源泉徴収票の提出だけで課税証明書を省略することはできない
  • 源泉徴収票はあくまで補足資料であり、公的証明書である課税証明書が必須。
  • 特に1〜4月の申請では源泉徴収票を提出するケースもあるが、課税証明書の追加提出が必要になる場合が多い。

永住申請は一度不許可になると再申請に時間と労力がかかります。確実に書類を揃えて提出することが、最も重要な戦略です。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法