タイ人配偶者の帰化申請に必要な要件と準備|配偶者特別帰化(簡易帰化)も解説【完全ガイド】


1. タイ人配偶者の帰化申請とは

帰化申請とは、外国人が日本国籍を取得するための法務局への申請手続きです。
タイ人配偶者が帰化を希望する場合、日本人と婚姻関係にあることを前提に「配偶者特例(簡易帰化)」が認められ、通常の外国人よりも要件が緩和されます。

ポイント:配偶者がタイ人であっても、帰化審査は他の国籍者と同様に厳格に行われます。婚姻の実態や日本での生活基盤の安定性が特に重視されます。


2. 帰化申請の一般的な要件

通常の外国人が帰化を申請する際には、以下の条件を満たす必要があります(国籍法第5条)。

  • 住所要件:引き続き5年以上日本に住んでいること
  • 能力要件:18歳以上で本国法により行為能力を有すること
  • 素行要件:素行が善良であること(犯罪歴・交通違反・税金の滞納などがないこと)
  • 生計要件:生活に困らず安定した収入があること
  • 重国籍回避要件:日本国籍取得時に原則としてタイ国籍を離脱する意思があること
  • 思想要件:暴力的破壊活動団体に属していないこと

3. 日本人と結婚したタイ人が利用できる「簡易帰化(配偶者特例)」

日本人と婚姻している外国人には「簡易帰化」が認められます。
タイ人配偶者の場合も、この特例の対象となります。

簡易帰化の主な緩和要件

  • 住所要件:通常は5年以上の在日歴が必要ですが、日本人の配偶者は「引き続き3年以上日本に住所を有し、かつ婚姻から3年以上経過していればよい」
  • 能力要件:18歳以上であれば同様
  • 生計要件:夫婦の収入を合算して判断されるため、専業主婦(夫)でも可
  • 国籍離脱:タイ及び日本は二重国籍を原則認めていないため、日本に帰化する場合はタイ国籍を離脱する必要があります

4. 帰化申請に必要な書類一覧(タイ人配偶者の場合)

日本側で準備する書類

  • 帰化許可申請書
  • 履歴書
  • 日本人配偶者の戸籍謄本
  • 住民票(世帯全員記載)
  • 夫婦の身分関係を示す書類(婚姻届受理証明書など)
  • 納税証明書(住民税・所得税・固定資産税等)
  • 在職証明書・収入証明書

タイ側で準備する書類

  • タイの出生証明書(英訳・日本語訳付き)
  • タイの戸籍謄本(タビアンバーン)
  • 独身証明書(婚姻時に提出済みであれば省略される場合あり)
  • パスポート写し

その他必要な書類

  • 写真(5cm×5cm、申請者本人)
  • 履歴書に記載した学歴・職歴の証明
  • 婚姻の実態を示す資料(写真・LINE履歴・送金記録など)

書類は日本語訳が必須で、公証・外務省認証・在日タイ大使館の認証が必要な場合もあります。


5. タイ人配偶者の帰化申請手続きの流れ

  1. 事前相談(法務局)
    → 書類リストと申請の可否の確認
  2. 必要書類の収集(日本・タイ双方)
  3. 帰化許可申請書の作成
  4. 法務局への申請提出
  5. 法務局担当官による面接
    • 婚姻の実態や夫婦生活について質問される
  6. 審査(1年程度)
  7. 法務大臣の帰化許可(官報告示)
  8. 市区町村役場で日本国籍取得届を提出

6. 審査で重視されるポイント

  • 婚姻の実態:形式的結婚ではなく、同居や生活の実態があるか
  • 素行の良好性:交通違反、税金未納、借金トラブルなどは不利
  • 安定した生計:夫婦で安定収入があるか(夫のみ稼ぎでも可)
  • 日本語能力:日常会話や簡単な読み書きができるか

7. 帰化申請と配偶者ビザ・永住ビザの違い

在留資格特徴永住・国籍取得の可否
配偶者ビザ(日本人の配偶者等)日本人と結婚して在留可能。更新制。永住・帰化申請の前提となる
永住ビザ在留期間の制限なし。就労自由。国籍は外国籍のまま
帰化(日本国籍取得)国籍が日本に変わる。パスポートも日本のものになる完全に日本人として扱われる

8. タイ人配偶者の帰化に関するQ&A

Q1:帰化申請にはどれくらい時間がかかりますか?
A:平均で1年~1年半程度かかります。

Q2:帰化する前に永住ビザを取る必要はありますか?
A:不要です。配偶者ビザから直接帰化申請できます。

Q3:日本語試験はありますか?
A:形式的な試験はありませんが、面接で日常会話ができる程度の日本語力が求められます。

Q4:タイ国籍を放棄しないで日本国籍を持てますか?
A:タイは二重国籍を認めていないため、帰化許可後にタイ国籍を離脱する必要があります。


9. まとめ

日本人と結婚したタイ人配偶者が帰化を希望する場合、「簡易帰化(配偶者特例)」により、通常よりも要件が緩和されます。
ただし、婚姻の実態や安定した生活基盤、日本語能力が審査で重要視されるため、事前準備をしっかり行うことが成功の鍵となります。

帰化申請は専門知識が求められる複雑な手続きです。経験豊富な入管専門の行政書士に相談することで、申請の不備やリスクを最小化できます。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法