語学講師の仕事ができる就労ビザは何ですか?

外国人語学講師の採用に最も多く用いられる就労ビザは、**「技術・人文知識・国際業務」**の在留資格です。このビザの取得要件や、雇用主様が知っておくべき手続きについて解説します。

1.語学講師に該当する在留資格の種類

語学講師の業務は、「外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務」に該当するため、「技術・人文知識・国際業務」の中でも、主に**「国際業務」**が適用されます。

雇用先主な在留資格該当する分野
民間企業(語学学校、英会話スクールなど)技術・人文知識・国際業務国際業務
学校法人(大学、小・中・高校など)教育

【重要】母国語以外の指導(例:フィリピンの方が英語を教えるケース) 母国語ではない言語を教える場合、入管審査で「国際業務」ではなく**「人文知識」**と判断される可能性があります。この場合、大学で英文学などを専攻したことや、関連業務での高い専門性が問われます。


2.ビザ取得のための許可要件(6つのポイント)

「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するためには、以下の6つの要件を満たすことが求められます。

① 学歴または実務経験要件

以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 大学(国内外問わず)を卒業していること
    • 専攻分野は問われません。(例:工学や芸術の学士でも可能)
  • 日本の専門学校を卒業し、「専門士」の称号を取得していること
  • 語学講師として3年以上の実務経験があること
    • 「国際業務」に該当する場合、実務経験は3年で足ります。

② 業務内容と学歴・実務経験との関連性

従事する語学指導業務が、申請者の学歴や実務経験と関連していることが必要です。

  • 学歴との関連性: 大卒であれば専攻は問われませんが、実務経験で申請する場合は、その経験が指導する言語の講師としての職歴であることを証明する必要があります。

③ 公私の機関との契約

貴社と申請人との間で、継続的な雇用契約(正社員、契約社員など)が結ばれている必要があります。雇用期間は1年以上の継続が見込まれることが原則です。

④ 会社の継続性・安定性(経営状態)

貴社に、外国人講師に対し継続的な支払い能力があることが求められます。決算書などを提出し、経営の安定性を証明する必要があります。

⑤ 日本人と同等以上の報酬

外国人講師の報酬は、同じ仕事をする日本人従業員と同等以上であることが必須です。外国籍であることを理由に報酬に差をつけることは認められません。

⑥ 素行善良

申請人に犯罪歴や重大な交通違反、過去のオーバーステイ、オーバーワークなどの問題がないことが求められます。


3.ビザ申請に必要な書類(企業のカテゴリー別)

必要書類は、貴社(雇用主側)の規模や性質によって、出入国在留管理庁が定める以下の「カテゴリー」に分けて準備します。

カテゴリー企業規模の例
カテゴリー1上場企業、独立行政法人など
カテゴリー2在留申請オンラインシステムの承認を受けた機関など
カテゴリー3源泉徴収票等の法定調書合計表を提出した団体・個人
カテゴリー4上記1~3に該当しない団体・個人

【申請に必要な主な書類】

提出側書類名(抜粋)目的
外国人講師側卒業証明書、職歴を証する文書講師の能力(学歴・実務経験)を証明
雇用主側商業・法人登記簿謄本、損益計算書の写し会社の経営体力と継続性を証明
雇用主側活動の内容、期間、地位および報酬を証する文書(雇用契約書など)雇用条件を証明

【重要】講師側の書類について 卒業証明書などは母校への問い合わせが必要な場合があり、取得に時間がかかることがあります。申請をスムーズに進めるため、早めに準備するよう講師本人に促すことが大切です。


4.語学講師の在留資格で特に注意したい点

(1)転職の場合

前職も語学学校講師であれば、同じ「国際業務」の制限内で働くため、原則として在留資格変更許可申請は不要です。ただし、入国管理局への届出は必要です。

(2)「教育」ビザとの関係

学校法人の講師を採用する場合に必要な「教育」ビザと、民間の語学学校に必要な「国際業務」ビザは、原則として活動範囲が異なります。資格外活動にあたる場合は、入国管理局の許可が必要となるため、採用前に必ず確認してください。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法