帰化申請に必要な預金通帳コピーの範囲と注意点【完全ガイド】


はじめに

帰化申請を検討している方の多くが気になるのが、「預金通帳のコピーはどこまで必要か?」という点です。
法務局からは申請人や同居家族全員分の通帳コピー提出を求められるのが一般的ですが、その範囲や提出方法については明確な基準が公開されていません。

この記事では、帰化申請における預金通帳コピーの範囲と注意点を詳しく解説します。実務経験に基づいた具体的なアドバイスを交えながら、審査をスムーズに進めるためのポイントを整理しました。


1.帰化申請における「預金通帳コピー」の位置づけ

帰化申請では、**安定した生計を維持できるかどうか(生計要件)**が重視されます。
そのため、収入証明や源泉徴収票に加え、実際の生活資金や資産状況を確認するために預金通帳コピーの提出が必要になります。

法務局が重視するのは「いくら貯金があるか」だけではなく、収入と支出のバランスが健全であるかどうかです。


2.提出が必要となる預金通帳の範囲

(1)申請人本人の通帳

本人名義の銀行口座は、すべて対象となります。給与振込口座、貯蓄用口座、ネット銀行口座を含め、申請者が利用している口座は漏れなく提出が必要です。

(2)同居家族の通帳

帰化申請では「世帯全体の生計」を確認するため、同居家族の口座も提出対象になります。
配偶者や扶養している子どもがアルバイト収入を得ている場合も、通帳コピーの提出を求められることがあります。

(3)残高が少額・休眠口座も提出対象か

残高がわずかしかない口座や、ほとんど利用していない口座でも、存在する以上は提出するのが原則です。
法務局に「隠している」と思われるのを防ぐためにも、全て正直に開示することが大切です。


3.コピーの対象期間とページ範囲

(1)直近1年分が基本

多くのケースでは、過去1年分の通帳コピーが提出対象になります。給与振込や生活費の流れが確認できる範囲が必要です。

(2)残高が少ない場合の追加提出

預金残高が少ない場合、法務局から「さらに過去に遡ってコピーを提出してください」と指示されることがあります。
例えば残高が常に数万円しかない場合、安定した生計を立証できるように2~3年分を追加提出することもあります。

(3)複数口座がある場合の注意点

複数口座がある場合、全ての口座を網羅する必要があります。一部だけを提出すると「資産隠し」と疑われる可能性があるため要注意です。


4.預金通帳コピーを求められる理由

(1)生計要件の立証

帰化申請における最重要ポイントは「安定した生活基盤」です。貯金通帳の入出金履歴から、日常的に安定した収入があるかを確認します。

(2)安定収入の確認

給与が毎月きちんと振り込まれているか、給与明細と一致しているかなど、収入の安定性を確認します。

(3)資産状況の裏付け

不動産や株式などの資産を持っている場合も、生活費のベースが預金から出ているかを確認するため、通帳コピーは不可欠な裏付け資料になります。


5.コピーを提出する際の具体的注意点

(1)余白・印字不鮮明に注意

コピーが見えにくいと再提出を求められます。拡大コピー・白黒不可・カラー推奨です。

(2)ネットバンクの場合

紙の通帳がないネット銀行は、取引明細をPDF出力して提出します。取引履歴が長期間必要な場合は、銀行に依頼して取り寄せることも可能です。

(3)大きな入出金がある場合の説明

100万円単位の振込や送金がある場合、資金の出所や使途の説明を求められることがあります。給与・ボーナス・仕送りなど、理由を明確にしておくことが重要です。


6.預金額は帰化許可にどの程度影響するか?

「帰化申請にはいくら貯金が必要か?」という質問をよく受けます。
実際には、一定額以上の貯金が必須という基準はありません

重視されるのは、

  • 毎月の収入が安定しているか
  • 借金過多でないか
  • 家族を扶養できる水準の収入があるか

です。
したがって、残高が少なくても、安定収入と健全な生活実態が証明できれば帰化許可の可能性は十分あります。


7.提出しなくても良い場合・例外的運用

  • 扶養されている未成年の子ども → 通帳がなければ提出不要
  • 長期間利用していない口座 → 法務局の担当官に確認し、残高ゼロ証明で代替可能な場合あり

ただし、ケースバイケースの判断になるため、事前に法務局または専門家に確認することが望ましいです。


8.よくある質問(Q&A)

Q1:通帳の一部だけコピーして提出しても大丈夫ですか?
→ 原則不可です。必ず連続したページでコピーしてください。

Q2:ネット銀行の取引履歴はモノクロ印刷でも良いですか?
→ 読みやすければモノクロでも可ですが、見づらい場合は再提出になります。カラー印刷が無難です。

Q3:口座が多すぎる場合はどうすれば良いですか?
→ 全て提出が基本ですが、3年以上利用実態のない口座は「残高ゼロ証明書」で代替できる場合があります。

Q4:貯金がゼロでも帰化できますか?
→ はい。重要なのは「安定した収入」であり、残高ゼロが即不許可にはつながりません。


9.専門家に依頼するメリット

帰化申請は膨大な書類準備が必要で、預金通帳コピーの範囲ひとつ取っても判断に迷うケースが多いです。
行政書士など専門家に依頼すれば、法務局との折衝や資料整理を代行してもらえるため、審査がスムーズになります。


まとめ

  • 帰化申請では、申請人本人と同居家族全員分の預金通帳コピーが必要
  • 提出範囲は直近1年分が基本だが、状況により数年分提出を求められることもある
  • 貯金額そのものより「収入の安定性」「健全な生活実態」が重視される
  • 不鮮明なコピーや未提出口座は審査の遅延につながるため注意
  • 専門家に相談することで安心して申請を進められる

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法