日本人の配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の許可要件【完全ガイド】


1. 日本人の配偶者ビザとは?

日本人の配偶者ビザとは、正式には 在留資格「日本人の配偶者等」 を指します。

この在留資格は、次の人が対象となります。

  • 日本人と婚姻している外国人配偶者
  • 日本人の実子
  • 特別養子縁組による日本人の養子

一般的に「配偶者ビザ」と呼ばれるのは、日本人と結婚した外国人が取得するケースです。
このビザを取得することで、日本で生活し、就労制限なく働くことが可能になります。


2. 配偶者ビザの許可要件の全体像

配偶者ビザが許可されるためには、主に以下を証明する必要があります。

  1. 日本人との婚姻の真実性
  2. 婚姻の有効性(日本法・外国法上での適法性)
  3. 夫婦としての生活実態(同居・交流の実態)
  4. 生計要件(生活を維持できる安定した収入)
  5. 素行要件(犯罪歴や在留違反の有無)

3. 【要件1】日本人との婚姻の真実性

配偶者ビザ審査で最も重視されるのが「結婚が真実であるか」です。

入管は「偽装結婚」を厳しく取り締まっており、以下の点を審査します。

  • 出会いの経緯(紹介、SNS、留学中の出会い等)
  • 交際の期間と頻度
  • 結婚に至る経緯
  • 写真や通信履歴など交際の証拠
  • 婚姻後の同居実態

特に「短期間の交際で結婚」「年齢差が極端に大きい」場合は、偽装結婚の疑いを持たれる可能性が高く、詳細な説明が求められます。


4. 【要件2】婚姻の有効性

結婚が 日本法・外国法の双方で有効に成立していること が必要です。

  • 日本人と外国人が日本で結婚した場合:日本の婚姻届受理証明書で確認
  • 外国で結婚した場合:現地法で有効に成立し、日本の在外公館に届け出ているか確認

婚姻が形式的に成立していない場合、配偶者ビザは認められません。


5. 【要件3】夫婦としての生活実態

「結婚している」としても、別居状態や生活実態が伴っていなければ許可は難しくなります。

  • 同居しているか
  • 経済的に扶養関係があるか
  • 交流(写真、連絡記録)が確認できるか

単なる書類上の結婚ではなく、夫婦としての実態 があることを証明する必要があります。


6. 【要件4】生計要件(収入・資産の安定性)

生活に困窮せず安定して暮らせることも重要です。

  • 日本人配偶者の収入(会社員なら源泉徴収票、自営業なら確定申告書)
  • 外国人配偶者の収入(就労している場合)
  • 貯金や資産の有無

年収の目安は 250万円前後以上 が望ましいとされていますが、世帯収入や貯金額も考慮されます。


7. 【要件5】素行要件

外国人配偶者が過去に犯罪歴や入管法違反がある場合、ビザが不許可になる可能性があります。

  • 過去のオーバーステイ歴
  • 偽装結婚歴
  • 犯罪歴

軽微な交通違反程度であれば問題にならないケースもありますが、重大な違反は不利に働きます。


8. 配偶者ビザ審査で不許可になりやすいケース

  • 交際期間が短く、出会いの経緯が曖昧
  • 年齢差が極端に大きいのに説明不足
  • 日本人配偶者に安定した収入がない
  • 婚姻後も別居している
  • 書類に不備や矛盾がある

不許可リスクを避けるには、申請書や理由書に十分な説明を添えることが重要です。


9. 配偶者ビザに必要な書類

主な提出書類は以下の通りです。

  • 婚姻届受理証明書・戸籍謄本
  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 日本人配偶者の住民票・課税証明書
  • 外国人配偶者のパスポート・在留カード
  • 写真(夫婦一緒のもの)
  • 経緯説明書(出会いから結婚まで)

詳しくは 出入国在留管理庁公式サイト を確認してください。


10. 配偶者ビザ申請の流れ

  1. 必要書類の準備
  2. 入管への申請(在留資格認定証明書交付申請 or 在留資格変更申請)
  3. 審査(1〜3か月程度)
  4. 許可 → 在留カード交付

11. 配偶者ビザ更新の際の注意点

初回の在留期間は1年とされることが多く、更新の際にも「婚姻の継続性・生活実態」が審査されます。

  • 同居が継続しているか
  • 安定した収入があるか
  • 税金や社会保険を滞納していないか

更新時も、初回と同じレベルの審査が行われる点に注意してください。


12. よくあるQ&A

Q1. 収入が少なくても許可されますか?
A. 必ずしも高収入である必要はありません。世帯収入や貯金額も考慮されます。

Q2. 別居中でも配偶者ビザを取得できますか?
A. 原則として困難です。特別な事情(単身赴任・学業など)がない限り、同居している必要があります。

Q3. 離婚したら配偶者ビザはどうなりますか?
A. 離婚後は配偶者ビザを維持できず、在留資格変更が必要です。


13. まとめ

日本人の配偶者ビザの許可要件は、単に結婚しただけでは不十分であり、真実の婚姻関係・生活の安定性・法令順守 が重視されます。

  • 婚姻の真実性と生活実態の証明
  • 安定した収入や資産
  • 過去の在留状況や素行の良好性

これらを満たすことで、配偶者ビザの取得・更新がスムーズになります。


関連記事

参考リンク

無料相談

まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。
 
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法