外国人従業員が退職後に在留資格を維持するための条件と注意点【完全ガイド】


1.外国人従業員が退職すると在留資格はどうなる?

日本で働く外国人従業員は、**就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ、特定技能ビザなど)**を基盤に在留しています。
しかし「在留資格」は、活動内容(職務内容や雇用契約)に基づいて許可されているため、退職するとその資格を維持できなくなる場合があります。

ポイント

  • 退職=在留資格が自動的に消滅するわけではない
  • ただし「活動実態がなくなる」と、資格外活動状態になる可能性がある
  • 一定期間内に再就職や資格変更を行わなければ、不法滞在のリスク

2.在留資格維持のための条件

(1)在留資格ごとの取り扱い

  • 技術・人文知識・国際業務ビザ
     → 職務に従事していない状態が長期化すると、更新や次回入管審査で不利
  • 特定技能ビザ
     → 雇用契約終了時に「支援機関」と連携し、再就職先が見つからなければ資格喪失
  • 高度専門職ビザ
     → 就労継続が前提のため、退職後は迅速な再就職が必要
  • 家族滞在・日本人の配偶者等ビザ
     → 配偶者の収入や生活基盤があれば、退職しても直ちに影響はない

(2)「3か月ルール」とは?

入管法第22条の4に基づき、在留資格に基づく活動を3か月以上行わない場合、在留資格取り消し対象となります。
退職後はこの「3か月ルール」を意識し、必ず次の活動(再就職や資格変更)を準備することが重要です。


3.退職後に必要な届出義務

外国人従業員本人および会社は、退職後に入管や労働機関への届出を行う必要があります。

  • 入管への届出
     退職日から14日以内に「契約機関に関する届出」を提出(オンライン可)
  • ハローワークへの届出
     雇用保険資格喪失届を提出
  • 年金事務所への届出
     社会保険資格喪失手続き

届出を怠ると、将来のビザ更新や永住申請で不利になる可能性があります。

参考:出入国在留管理庁|所属機関による届出手続


4.在留資格を維持するための具体的な方法

(1)再就職活動を行う場合

退職後、就労系の在留資格を持つ外国人は、最大3か月間の就職活動が認められるケースがあります。

  • 在留カード更新前なら「在留期間内に再就職」することで資格維持可能
  • 離職票や求職活動の記録を残しておくことが重要

(2)配偶者ビザ・家族滞在への変更

結婚している外国人や日本人の配偶者がいる場合、**在留資格「日本人の配偶者等」や「家族滞在」**に変更することで就労資格を維持できます。

(3)定住者ビザ・永住ビザの可能性

  • 日本での生活基盤が長期に及ぶ場合、「定住者ビザ」へ変更可能
  • 収入や生活基盤が安定していれば「永住ビザ」申請も視野に入ります

5.在留資格を失うリスクと注意点

  • 不法滞在リスク:再就職活動をせず放置すると資格取消の可能性
  • 更新不許可の可能性:活動実態のない期間が長いと、更新審査でマイナス評価
  • 永住申請に不利:退職後の収入途絶があると「独立生計要件」を満たせない

6.外国人従業員が退職後に取るべき行動ステップ

  1. 退職後14日以内に入管へ届出
  2. ハローワークで離職票を受け取り、求職活動を開始
  3. 再就職活動または在留資格変更を検討
  4. 就労が見込めない場合は「短期滞在」や「特定活動(就職活動)」への変更申請

7.会社側が知っておくべきサポート内容

企業も外国人従業員の退職に伴い、適切なサポートが求められます。

  • 退職証明書の発行
  • 社会保険・雇用保険手続きの迅速な対応
  • 入管への届出サポート

適切なサポートを行うことで、企業の信頼性やコンプライアンス評価も向上します。


8.まとめ

  • 外国人従業員が退職しても、すぐに在留資格を失うわけではない
  • ただし「3か月ルール」に注意し、再就職や資格変更を行う必要がある
  • 入管・ハローワークへの届出を怠ると、将来の在留資格更新や永住申請に悪影響
  • 会社も届出義務とサポートを適切に行うことが重要

9.よくあるQ&A

Q1. 退職したらすぐに帰国しなければなりませんか?
A. いいえ。在留期間が残っていれば、一定期間は再就職活動が可能です。ただし3か月以上無職だと資格取消のリスクがあります。

Q2. 在留カードはそのまま使えますか?
A. 有効期限内であれば使えますが、退職届出をしないと不利益が生じます。

Q3. 再就職が決まらない場合はどうなりますか?
A. 他の在留資格(配偶者ビザなど)への切替を検討してください。

Q4. 会社が退職届を入管に出さなかった場合は?
A. 本人の届出義務もあるため、外国人本人が必ず入管に提出してください。


関連記事:

無料相談

まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。
 
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法