企業内転勤ビザから永住申請は可能?要件と注意点【完全ガイド】
目次
1.企業内転勤ビザとは?特徴と位置づけ
企業内転勤ビザ(在留資格「企業内転勤」) は、外国の本社や支社に所属する社員が、日本の支店や子会社で業務を行う場合に必要となる在留資格です。
- 職務内容は「技術・人文知識・国際業務」と同様の業務に限定
- 在籍はあくまで外国法人で、日本赴任は一時的な位置づけ
- 家族帯同も可能だが、将来の居住安定性とは直結しない
詳細は 出入国在留管理庁:在留資格「企業内転勤」 をご参照ください。
2.企業内転勤ビザから永住申請は可能か?
結論として、企業内転勤ビザのままでも永住申請は可能です。
しかし、実務では次の理由から、審査で「居住要件を満たしていない」と判断されるケースが多いです。
- 赴任が一時的であり、生活の本拠が海外に残っている
- 日本での居住期間が途切れがちになりやすい
- 給与や社会保険の拠点が日本でない場合がある
そのため、形式上は可能だが、現実的には在留資格を変更してから永住申請する方が有利となります。
3.永住申請に必要な3つの基本要件
永住許可には大きく分けて3つの要件があります。
(1)素行要件
- 税金・年金・社会保険の未納がないこと
- 犯罪歴や重大な交通違反がないこと
(2)独立生計要件
- 日本で安定して生活できる収入があること
- 目安として単身者で年収300万円〜400万円以上
(3)居住要件
- 原則として日本に10年以上在留していること
- このうち5年以上は就労可能なビザであること
- 日本で生活基盤を築いていると認められること
日本人配偶者や高度専門職の場合は緩和措置あり。
4.企業内転勤ビザ保持者が直面する「居住要件」の壁
(1)「一時的赴任」という性格
企業内転勤ビザは「海外に籍を置きつつ日本で勤務する」ため、**日本に永住する意思が弱いのでは?**と見られやすいです。
(2)在留期間の中断
- 転勤の終了に伴い帰国するケースが多い
- 日本滞在が10年継続になりにくい
(3)社会保険・納税の実態
- 日本法人から給与が支払われない場合、社会保険に加入できない
- 海外給与中心だと、日本での課税実績が不十分になりやすい
これらの要因から、「居住要件が充足していない」と判断されやすいのです。
5.キャリア戦略としての在留資格変更
永住を見据えるのであれば、以下のような戦略が現実的です。
- 短期戦略:企業内転勤ビザから「技術・人文知識・国際業務」へ変更
- 中期戦略:条件を満たすなら「高度専門職ビザ」取得で在留要件を短縮
- 長期戦略:日本での住宅購入や家族帯同により生活基盤を強化し、永住申請へ
高度専門職ビザは最短1年で永住申請可能なため、キャリア形成に有利です。
6.よくある質問(Q&A)
Q1:企業内転勤ビザのまま永住申請できますか?
➡ 形式上は可能ですが、居住要件を満たせないケースが多いため、在留資格変更を経てからの申請が現実的です。
Q2:日本での給与がなくても申請できますか?
➡ 難しいです。納税・社会保険加入実績が審査の基本であり、日本での給与・課税がないと要件不充足とされやすいです。
Q3:企業内転勤ビザで滞在していた期間も永住申請の10年要件に含まれますか?
➡ 含まれます。ただし「一時的赴任」という性格上、日本での定住意思を示す資料が重要です。
Q4:永住申請が不許可になった場合は?
➡ 不許可理由を確認し、社会保険加入や在留資格変更を行ったうえで再申請することが一般的です。
7.まとめ:企業内転勤ビザから永住権を目指すために
- 企業内転勤ビザから永住申請は可能だが、居住要件を満たすのが難しい
- 「赴任の一時性」「社会保険・納税の不足」が主な障害となる
- 永住を目指すなら、「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」への変更を早めに検討するのが得策
- キャリア戦略と連動させたビザ設計が重要
永住を本気で目指すなら、専門家に相談しながら自分に最適なルートを選びましょう。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |