留学生の進学・転学と在留資格への影響|専門学校から大学編入・学校変更手続き完全ガイド

はじめに

日本で学ぶ留学生にとって、進学や転学はキャリア形成に大きな意味を持ちます。例えば、専門学校から大学に編入して学問を深めたり、より適した学校に転学したりするケースは少なくありません。
しかし、在留資格「留学」を持つ学生が進学・転学する場合、入管(出入国在留管理庁)での適切な手続きを怠ると、最悪の場合は「不法滞在」や「在留資格取消」のリスクに繋がります。

本記事では、進学や転学に伴う在留資格への影響・必要な入管手続き・注意点を徹底解説します。


1.留学生が進学・転学する場合の基本ルール

在留資格「留学」は、特定の学校で勉学することを前提に与えられます。そのため、進学・転学には以下のルールがあります。

  • 進学(編入):学習目的の継続性が認められれば、在留資格「留学」を維持可能。
  • 転学:新しい学校が入管に認可された教育機関であれば可能。ただし、入管への「在籍機関変更届」が必須。
  • 目的外の活動(就労など):資格外活動許可が必要。

2.専門学校から大学編入のケース

専門学校で学んだ知識を活かし、大学へ編入するケースは多く見られます。

ポイント

  • 資格変更は不要:在留資格は引き続き「留学」で維持可能。
  • 入管への届出が必要:編入後14日以内に「在留カード記載事項変更届」を提出。
  • 在留期間更新:専門学校での在留期限が近い場合は、大学の入学許可書を基に更新申請を行う。

注意点

  • 編入先の大学が「在留資格認定を受けた教育機関」であること。
  • 卒業と入学の間に長期間の空白があると、不許可リスクが高まる。

3.大学から別大学への転学

大学間で転学する場合も「留学」資格は維持されます。

  • 転学理由が重要:専攻変更や教育内容の違いなど、学業継続性を合理的に説明できることが必要。
  • 休学を伴う転学:休学期間が長いと在留資格が取り消される場合があるため注意。

4.語学学校から専門学校・大学への進学

語学学校を卒業し、専門学校や大学へ進学するケースも一般的です。

  • 進学目的が明確であれば、「留学」資格で継続可能。
  • 入管は「日本語能力(JLPT N2以上など)」を重視する。
  • 語学学校の出席率が低いと不許可の可能性が高い。

5.学校変更の際に必要な入管手続き

在留カード記載事項変更届(進学・編入時)

  • 提出期限:14日以内
  • 提出先:管轄の入管
  • 提出物:新学校の入学許可書、在留カード、パスポート

在籍機関変更届(転学時)

  • 提出期限:14日以内
  • 旧学校の退学証明、新学校の入学許可書を添付

6.在留資格変更と在留資格更新の違い

  • 変更:活動内容が変わる場合(例:留学 → 就労)。
  • 更新:同じ在留資格で期間を延長(例:専門学校卒業後 → 大学進学)。

進学・転学では多くの場合「更新」で対応可能です。


7.手続きの期限と不許可リスク

  • 14日ルール:退学・転学・入学などの際は14日以内に届出が必須。
  • 在留期限切れ:1日でもオーバーすれば不法滞在。
  • 出席率・成績:学習態度が悪いと更新が不許可になる。

8.実際の申請書類と流れ

必要書類例

  • 在留カード
  • パスポート
  • 入学許可書
  • 成績証明書・出席証明書
  • 財政能力を証明する書類(銀行残高証明、仕送り証明)

流れ

  1. 新学校の入学許可取得
  2. 旧学校から退学証明を受領
  3. 14日以内に入管で「在籍機関変更届」提出
  4. 在留期間が迫っていれば更新申請

9.よくある失敗例と回避策

  • 出席率不足で不許可 → 90%以上を目安に出席管理。
  • 手続き遅れで資格外滞在 → 退学・入学後すぐに届け出る。
  • 財政証明不足 → 銀行残高100万円以上が望ましい。

10.Q&A:留学生の進学・転学に関するよくある質問

Q1. 専門学校を辞めて、半年後に大学に入学することは可能ですか?
A. 空白期間が長いと「学習目的の一貫性」が否定されるため不許可リスクがあります。直ちに進学先を確定させることが重要です。

Q2. 休学しても在留資格は維持できますか?
A. 正当な理由があれば可能ですが、長期の休学は資格取消対象になり得ます。

Q3. 日本語学校から転学する場合、JLPTは必須ですか?
A. 厳密には必須ではありませんが、入管は日本語能力を重視しており、N2以上を持っていると有利です。


11.まとめ

  • 留学生が進学・転学する際は、在留資格「留学」を継続できるかどうかが最大のポイント。
  • 14日以内の入管手続き(在籍機関変更届・在留カード変更届)が必須。
  • 出席率・成績・財政証明が審査の鍵。
  • 専門学校から大学編入、語学学校から専門学校進学も可能だが、学習目的の一貫性が求められる。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
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代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法