永住者・定住者・日本人又は永住者の配偶者等ビザの雇用上の特徴と注意点【完全ガイド】

はじめに

外国人を雇用する際、企業が必ず確認すべきポイントは「在留資格の種類」と「就労可能な活動範囲」です。なかでも、永住者・定住者・日本人又は永住者の配偶者等といったビザは、いわゆる就労制限がない在留資格に該当します。

これらのビザを持つ外国人は、原則として日本人と同様に自由な職種・業種で働くことが可能ですが、雇用にあたっては注意すべき点も存在します。この記事では、企業が知っておくべき特徴とリスク管理のポイントを詳しく解説します。

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1.永住者ビザの特徴と雇用上のポイント

永住者とは?

「永住者ビザ」は、日本に無期限で在留できる資格で、就労制限が一切ありません。つまり、アルバイトから正社員、専門職から単純労働まで、日本人と同じ条件で働ける点が大きな特徴です。

雇用上のメリット

  • 職種制限なし:飲食・製造・介護・事務・専門職すべて可能。
  • 契約期間の柔軟性:雇用契約は有期・無期を問わない。
  • 更新手続き不要:在留資格更新のために雇用を中断するリスクがない。

注意点

  • 永住者でも**在留カードの有効期限(7年または在留特別永住者は5年)**があるため、雇用時には必ず確認が必要。
  • 過去に犯罪歴や税金未納がある場合、永住資格の取消しリスクがあるため、長期雇用を前提とする企業は注意。

2.定住者ビザの特徴と雇用上のポイント

定住者とは?

「定住者ビザ」は、個別の事情を考慮して法務大臣が認める資格です。たとえば、日系人や日本人の子として日本に暮らす人などが対象です。こちらも就労制限なしの在留資格にあたります。

雇用上のメリット

  • 就労制限なし:職種に縛られず採用可能。
  • 多様な人材確保:日本語能力が高い日系人など、定着率が比較的高い人材も多い。

注意点

  • 在留期間は1年・3年・5年など更新制のため、更新不許可のリスクを考慮する必要あり。
  • 更新には安定した収入・生活基盤が条件となるため、雇用が途切れると更新に影響を与える可能性がある。

3.日本人又は永住者の配偶者等ビザの特徴と雇用上のポイント

配偶者等ビザとは?

「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」は、日本人または永住者の配偶者・子供に与えられるビザです。これもまた、就労制限がなく自由に働ける資格です。

雇用上のメリット

  • フルタイム・アルバイト両方OK:コンビニ・工場・専門職など幅広い雇用が可能。
  • 柔軟な雇用形態:雇用契約期間や労働時間の制限なし。

注意点

  • 配偶者と離婚・死別した場合、在留資格を失う可能性が高いため、長期雇用では注意が必要。
  • 在留カードの更新時に「実態ある婚姻関係」が問われるため、勤務が安定していても資格を失うリスクがある。

4.企業が雇用時に注意すべき共通ポイント

① 在留カードの確認義務

企業には、外国人雇用状況届出制度に基づき、雇用時と離職時にハローワークへ届け出る義務があります。雇用する前に必ず在留カードを確認しましょう。

参考:外国人雇用状況の届出とは?企業が必ず知っておくべき義務と手続き【完全ガイド】

② 雇用契約の透明性

就労制限がないからといって、労働基準法を軽視してよいわけではありません。労働条件通知書を必ず交付し、日本人と同等の労働条件を守る必要があります。

③ 税務・社会保険の取り扱い

永住者・定住者・配偶者等は**「居住者」として課税・社会保険加入義務**があります。企業は、源泉徴収や社会保険手続きを怠らないことが重要です。


5.よくあるQ&A

Q1. 永住者・定住者・配偶者等ビザを持つ人はアルバイトできますか?
A. はい。就労制限がないため、コンビニや飲食店などでのアルバイトも可能です。

Q2. 雇用する際に入管への届出は必要ですか?
A. いいえ。入管への直接届出は不要ですが、ハローワークへの「外国人雇用状況届出」は必須です。

Q3. 配偶者等ビザの従業員が離婚したらどうなりますか?
A. 在留資格を失う可能性があります。ただし、事情によっては「定住者」へ在留資格変更が認められるケースもあります。

Q4. 永住者を雇った場合、就労ビザの更新サポートは必要ですか?
A. 不要です。永住者は在留資格の更新が不要であり、企業側のサポートも基本的に必要ありません。


まとめ

  • 永住者・定住者・配偶者等ビザは就労制限がなく、自由に働ける在留資格
  • 雇用上の最大のメリットは「職種制限がない」点であり、日本人とほぼ同じように採用できる。
  • ただし、配偶者等は離婚で資格喪失リスクがあり、定住者は更新制である点に注意。
  • 企業は必ず在留カード確認・雇用状況届出・労務管理を徹底する必要がある。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法