日本の士業資格を持たない外国人が法律・会計分野で働く方法|技人国・高度専門職ビザ徹底解説

はじめに

日本で法律・会計分野における専門職として働きたい外国人にとって、日本の士業資格(弁護士・公認会計士など)を取得していない場合、どのような在留資格で活動できるのかは重要なポイントです。近年、日本では外国人専門人材の受け入れが拡大しており、法律・会計分野でも資格がなくても働けるケースがあります。

本記事では、資格を持たない外国人が日本で合法的に法律・会計分野で働くための方法として、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザ高度専門職ビザを中心に解説します。


1. 日本で法律・会計分野の仕事をする場合の在留資格

日本で働く外国人が法律・会計分野で活動する場合、一般的には以下の在留資格が考えられます。

在留資格主な特徴備考
技術・人文知識・国際業務(技人国)大学で専門分野を学び、法律・会計業務の補助業務を行える士業資格がなくても申請可能
高度専門職(高度人材)年収や職務内容に応じて永住申請を優遇技人国より自由度が高い
法律会計業務ビザ弁護士、公認会計士など特定資格保持者向け資格必須のため非該当者は対象外

2. 技術・人文知識・国際業務ビザで法律・会計分野に従事する条件

2-1. ビザの概要

技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザは、学歴や専門知識を活かして日本企業で就業する外国人向けのビザです。法律・会計分野で働く場合、士業資格がなくても補助業務やコンサルティング業務として活動できます。

2-2. 申請要件

  1. 学歴・職務経験
    • 法学、商学、経済学などの学士以上の学位
    • 会計や法務関連の実務経験があると有利
  2. 勤務先
    • 日本国内の企業や事務所で契約社員・正社員として勤務
    • 仕事内容が専門性のある法律・会計関連業務であること
  3. 契約内容
    • 就労契約書に具体的な職務内容が明記されていること
    • 単なる事務作業や翻訳作業のみでは認められない場合あり

参考:出入国在留管理庁|在留資格「技術・人文知識・国際業務」


3. 高度専門職ビザを活用するメリット

3-1. 高度専門職ビザとは

高度専門職ビザは、年収や学歴、職務経験に基づきポイント制で審査されるビザです。法律・会計分野に従事する外国人の場合、以下のメリットがあります。

  • 永住権申請が短縮:通常10年→3年で申請可能
  • 家族帯同の範囲が広い:配偶者や子供も柔軟に呼べる
  • 副業・兼業が認められるケースあり

3-2. 申請のポイント

  1. ポイント制による評価
    • 学歴、職務経験、年収、資格などで加点
    • 日本国内での就労が前提
  2. 業務内容の専門性
    • 単なる事務作業ではなく、分析・助言・企画・管理等の業務であること
  3. 企業側の条件
    • 安定した給与の支払い
    • 法務・会計分野で一定の専門性を担保

参考:出入国在留管理庁|在留資格「高度専門職」


4. 士業資格なしでも可能な法律・会計分野の業務例

分野具体例
法律契約書レビュー補助、法務リサーチ、社内コンプライアンス支援
会計会計データ入力、財務分析補助、税務申告サポート(税理士指導下)
コンサル海外向けリーガルアドバイザリー、財務コンサルティング補助

注意点:資格を必要とする業務(訴訟代理、税理士独占業務など)には従事できません。


5. 技人国・高度専門職ビザの申請手順

5-1. 技人国ビザ申請の流れ

  1. 内定先の決定
  2. 在留資格認定証明書(COE)申請
  3. 日本大使館・領事館でビザ取得
  4. 入国後、在留カード交付

5-2. 高度専門職ビザ申請の流れ

  1. ポイント計算による自己評価
  2. 企業からの推薦状・雇用契約書準備
  3. 入管へ在留資格認定証明書申請
  4. 日本大使館・領事館でビザ取得
  5. 入国後、在留カード交付

6. 注意すべきリスクと対策

  • 資格独占業務に従事しないこと
  • 虚偽申請の禁止:職務内容を実際と異なる表現で申請すると不許可や強制退去のリスク
  • 契約形態の適正化:派遣や業務委託では審査が厳しくなることがある

7. Q&A

Q1. 技人国ビザで弁護士補助は可能ですか?
A1. 弁護士業務そのもの(訴訟代理など)は不可ですが、契約書レビュー補助やリサーチ業務は可能です。

Q2. 高度専門職ビザはどのくらいの年収が目安ですか?
A2. ポイント制で判断され、一般的には年収400万円以上で加点されますが、職務内容や学歴によって変動します。

Q3. 資格なしで税務申告サポートはできますか?
A3. 税理士の指導下で補助業務として可能です。独占業務(署名や代理申告)はできません。


8. まとめ

  • 日本の士業資格を持たない外国人でも、技人国ビザ・高度専門職ビザを活用することで法律・会計分野での就労が可能
  • 補助業務やコンサルティング業務に従事する形でビザ申請が認められる
  • 高度専門職ビザは永住申請の優遇や家族帯同の自由度が高い
  • 在留資格取得には、学歴・職務経験・契約内容の専門性が重要

この記事を読むことで、士業資格なしの外国人でも日本で法律・会計分野の仕事を始める具体的な方法と注意点が分かります。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法