法律会計業務ビザとは?取得できる11の資格と必要条件・申請手続き完全ガイド


はじめに

日本で弁護士や公認会計士をはじめとする「士業」に従事したい外国人が取得すべき在留資格が法律・会計業務ビザです。
このビザは、法律上の独占業務を行うことができる士業に限定して認められるため、他の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザなど)とは異なる特徴があります。

本記事では、法律会計業務ビザの対象資格(全11種類)・取得条件・必要書類・審査のポイント・注意点を徹底解説します。また、独立開業する場合の扱い他のビザとの違いも解説するので、これから申請を検討している方や企業担当者の方に役立つ情報を網羅しました。


法律会計業務ビザとは?

「法律会計業務ビザ」とは、入管法別表第一の「専門的・技術的分野」に定められた在留資格で、法律・会計に関する業務を独占的に行える資格者に与えられるものです。

つまり、単なる法律事務や会計補助業務ではなく、法律に基づく士業資格を有し、登録を受けている者に限られます。


対象となる11の資格

法律会計業務ビザを取得できるのは、次の11士業資格を有し、かつ各士業団体に登録している外国人です。

  1. 弁護士
  2. 司法書士
  3. 行政書士
  4. 弁理士
  5. 公認会計士
  6. 税理士
  7. 社会保険労務士
  8. 土地家屋調査士
  9. 海事代理士
  10. 外国法事務弁護士
  11. 外国公認会計士

ポイント

  • 登録必須:資格を持っていても、弁護士会・行政書士会などの団体に正式に登録していなければ活動できません。
  • 独立・雇用どちらも可能:法律事務所や会計事務所に雇用されるケースだけでなく、自ら開業して業務を行う場合も対象となります。
  • 法人設立も対象:弁護士法人や会計法人を立ち上げて経営する場合でも、経営管理ビザではなく法律会計業務ビザが適用されます。

在留期間

在留期間は次のいずれかが付与されます。

  • 5年
  • 3年
  • 1年
  • 3か月

安定した収入や活動の継続性があると判断されれば、より長期の期間が付与される傾向があります。


取得条件

1. 資格要件

上記11資格のいずれかを有し、各士業団体に登録済みであること。

2. 活動要件

法律・会計に関する独占業務を行うこと
(例:訴訟代理、登記申請、特許申請代理、会計監査、税務代理など)

3. 経済的基盤

生活を維持できるだけの収入や所属機関の安定性が必要。


必要書類

申請に必要な書類の一例は以下の通りです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真(縦4cm×横3cm)
  • 資格証明書(弁護士登録証、公認会計士登録証、各士業会の登録証など)
  • 所属機関の登記事項証明書・会社案内
  • 雇用契約書または業務委託契約書
  • 収入証明書(給与明細、源泉徴収票など)
  • 住民票・パスポート写し

申請の流れ

  1. 資格・登録確認
    → 日本で必要な資格と各士業会での登録を済ませる。
  2. 在留資格認定証明書交付申請
    → 所属先または本人が地方出入国在留管理局へ提出。
  3. ビザ申請
    → 本国の日本大使館・領事館で査証を取得。
  4. 入国・在留カード交付
    → 日本入国時に在留カードを受け取る。

他のビザとの違い

  • 技術・人文知識・国際業務ビザ
    → 資格がなくてもコンサルティングや事務系業務に従事可能。ただし、独占業務は不可。
  • 経営管理ビザ
    → 会社を設立して経営する場合のビザ。ただし弁護士法人など士業法人を設立する場合は、経営管理ビザではなく法律会計業務ビザが適用される。
  • 高度専門職ビザ
    → ポイント制で優遇されるビザ。法律・会計分野でも高収入や実績を持つ場合に有利。

審査のポイント

  • 有効な士業資格を持っているか
  • 各士業会への登録が確認できるか
  • 所属機関が適法かつ安定しているか
  • 生活できる収入があるか
  • 過去の在留状況に問題がないか

不許可になりやすいケース

  • 資格を持っていても団体に未登録
  • 所属事務所が実態のない会社と判断される
  • 契約内容や収入が不明確
  • 入管法違反歴がある

永住申請との関係

法律会計業務ビザで安定して在留を続けると、将来的には永住申請が可能です。
一般的には 10年以上の在留歴 が必要ですが、日本人配偶者等がいる場合などは短縮されます。


Q&A よくある質問

Q1. 弁護士法人を経営する場合、経営管理ビザが必要ですか?

A. いいえ。弁護士法人・会計法人・行政書士法人など士業法人を経営する場合は、法律会計業務ビザが適用されます。

Q2. 資格は持っているが、日本で登録していない場合は?

A. 登録をしていなければ業務を行えず、ビザも認められません。必ず各士業会に登録が必要です。

Q3. 資格を持たない補助者やスタッフはどうなりますか?

A. 補助業務を行うだけの場合は「法律会計業務ビザ」ではなく、技術・人文知識・国際業務ビザでの雇用になります。


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参考リンク


まとめ

法律会計業務ビザは、11種類の士業資格を持ち、各士業団体に登録している外国人が日本で独占業務を行うために必要な在留資格です。

  • 弁護士や公認会計士だけでなく、司法書士・行政書士・弁理士・税理士なども対象
  • 開業・法人経営も可能(経営管理ビザではなく法律会計業務ビザ)
  • 取得には「資格+登録」が必須条件
  • 資格を持たない補助者は対象外

専門資格を活かして日本で活躍する外国人にとって、法律会計業務ビザは最も直接的で安定した就労ビザといえるでしょう。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法