日本人の外国籍配偶者が帰化するための条件とは?簡易帰化の許可要件を徹底解説

はじめに

日本に長く住む外国人にとって、**「日本国籍を取得して帰化する」**ことは大きなライフイベントです。特に日本人と結婚した外国籍配偶者は、一般的な帰化よりも要件が緩和される「簡易帰化」の対象となります。

本記事では、**日本人の外国籍配偶者が帰化するための許可要件(簡易帰化)**について、法律的な根拠や実務上の注意点をわかりやすく解説します。さらに、実際の申請手続きの流れや審査で重視されるポイント、よくある質問(Q&A)も盛り込んでいます。


帰化とは?

「帰化」とは、外国人が日本国籍を取得し、日本人としての法的地位を得ることをいいます。日本の国籍法では、帰化には次の2種類があります。

  • 普通帰化:原則として「引き続き5年以上日本に住所を有すること」などの厳格な条件が課される。
  • 簡易帰化:日本人と結婚している場合など、特定の立場にある人に対して帰化条件が一部緩和される。

特に日本人配偶者の場合は、居住年数や生計要件が軽減されるため、一般の外国人よりも帰化申請のハードルが下がります。


日本人配偶者に適用される「簡易帰化」とは?

国籍法第8条では、特定の身分関係にある外国人について「簡易帰化」の規定を設けています。日本人配偶者はその典型例です。

日本人配偶者の簡易帰化条件(国籍法第8条)

日本人の配偶者は、次の要件を満たすことで帰化申請が可能です。

  1. 日本人の配偶者であること
    • 婚姻が法律上有効であること(事実婚は対象外)。
    • 内縁関係ではなく、正式に婚姻届が受理されている必要がある。
  2. 日本に住所を有する期間要件が短縮される
    • 日本人と婚姻して3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に住所を有する場合
    • または、日本人の配偶者として引き続き3年以上日本に住所を有する場合

通常の「普通帰化」は5年以上の居住が必要ですが、日本人配偶者の場合は実質1年〜3年の在住で申請可能となります。


簡易帰化の主な許可要件

1. 素行要件

法務局が最も重視するのは、素行の善良性です。

  • 犯罪歴がないこと
  • 税金(所得税、住民税)を滞納していないこと
  • 社会保険料(国民健康保険料、年金保険料)をきちんと納めていること

過去に交通違反や軽微な罰金がある場合でも、頻発していなければ大きな問題にはなりませんが、継続的な違反や滞納は不許可の原因になります。

2. 生計要件

  • 自身または配偶者の収入で安定した生活ができること
  • 生活保護を受給していないこと

日本人配偶者が安定した収入を得ている場合、申請者本人に職業がなくても許可されることが多いですが、世帯全体として生活が安定しているかが審査対象です。

3. 日本語能力

  • 日常生活に必要な日本語(読み書き・会話)ができること
  • 小学校高学年レベルの読み書きが求められる

特に帰化申請書類はすべて日本語で作成する必要があるため、最低限の日本語能力は必須です。

4. 婚姻の実態

  • 形式的な婚姻ではなく、実態のある夫婦生活を送っていることが必要です。
  • 入管手続きと同様に、偽装結婚は厳しくチェックされます。

法務局は、夫婦での面接や生活状況の確認を通じて、婚姻の真実性を確認します。


帰化申請の流れ

  1. 事前相談(法務局)
    • まずは住所地を管轄する法務局に予約をして相談。
    • 帰化要件の確認を受ける。
  2. 必要書類の収集
    • 婚姻関係書類(戸籍謄本、婚姻証明書など)
    • 在留カード・パスポート
    • 収入・税金関係資料
    • 居住状況を示す書類
  3. 申請書類の作成・提出
    • 帰化許可申請書を作成し、法務局に提出。
  4. 面接調査
    • 夫婦揃って呼ばれる場合が多い。
    • 生活実態・婚姻の状況・将来の生活について質問される。
  5. 審査期間
    • 簡易帰化の場合でも、おおむね1年程度
  6. 帰化許可・官報告示
    • 許可されると、官報に告示され、日本国籍を取得。

帰化許可後は在留カードが不要になり、戸籍に記載されるようになります。


日本人配偶者の帰化で注意すべきポイント

  • 税金・保険料の未納がある場合は必ず解消してから申請すること
  • 婚姻生活が短い場合は「夫婦の実態」をより詳細に証明する必要がある
  • 日本語が苦手な場合は、申請前に学習を進めておくこと
  • 配偶者との離婚が近い場合、帰化審査に大きな影響が出る

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参考リンク


Q&A:日本人配偶者の帰化に関するよくある質問

Q1. 婚姻してすぐに帰化申請できますか?
A. いいえ。原則として「婚姻して3年以上かつ1年以上日本に居住」または「婚姻して3年以上日本に居住」の要件を満たす必要があります。

Q2. 日本語が苦手でも帰化できますか?
A. 日本語能力は重要な審査ポイントです。会話ができても、読み書きができないと不許可になる可能性があります。

Q3. 夫婦で別居している場合でも申請できますか?
A. 別居状態が続いていると、実態ある婚姻とは認められず不許可の可能性が高くなります。

Q4. 日本人配偶者が無職でも帰化できますか?
A. 無職でも申請は可能ですが、世帯全体で安定した生計が立てられている必要があります。


まとめ

日本人の外国籍配偶者は、簡易帰化によって通常より短い居住年数で帰化申請が可能です。ただし、税金・保険料の納付、日本語能力、夫婦生活の実態など、審査で重視される要素を満たしていなければ不許可となります。

「帰化申請は要件が緩和されるから簡単」というわけではなく、法務局は非常に厳格に審査する点を理解しておきましょう。

専門家(行政書士)に相談することで、書類不備や不許可リスクを減らすことができます。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法