【完全ガイド】日本人の配偶者の簡易帰化:要件と必要書類


はじめに

日本人と結婚した外国人が日本国籍を取得する方法として、「簡易帰化」という制度があります。
通常の帰化申請よりも条件が緩和されており、一定の要件を満たせば在留期間や生計能力などのハードルが低くなるのが特徴です。

この記事では、日本人配偶者の簡易帰化の要件・必要書類・申請手続きの流れ・審査のポイントを、最新の法務省運用や実務経験を踏まえて徹底解説します。


日本人の配偶者の簡易帰化とは?

「帰化」とは、外国籍の人が日本国籍を取得する手続きのことです。
その中でも簡易帰化は、通常の帰化よりも条件が緩くなる制度で、主に日本人との婚姻関係や血縁関係がある場合に適用されます。

簡易帰化の対象となる人

法務省が定める国籍法第6条・第7条に基づき、日本人配偶者の場合は以下の条件に当てはまると簡易帰化の対象となります。

  • 日本人と婚姻している外国人で、引き続き3年以上日本に住所を有し、現に日本に住所を有する人
    または
  • 日本人と婚姻している外国人で、婚姻から3年以上経過し、引き続き1年以上日本に住所を有する人

つまり、日本に住んでからの期間や婚姻期間が比較的短くても申請可能です。


日本人の配偶者の簡易帰化のメリット

通常の帰化と比べて、以下のような緩和措置があります。

  1. 在留期間要件が短縮
    • 通常帰化:引き続き5年以上日本に住所を有すること
    • 簡易帰化:最短1年で申請可能(婚姻期間条件あり)
  2. 生計要件の緩和
    • 日本人配偶者の収入や資産で家計が安定していれば申請可能
  3. 国語能力要件も柔軟
    • 小学校3年生程度の日本語能力が目安(読解・作文・会話)
  4. 親族関係による追加緩和
    • 日本人配偶者の子や養子も条件が緩和される場合あり

簡易帰化の要件(日本人の配偶者の場合)

1. 婚姻関係が継続していること

  • 法的に有効な婚姻であること(重婚でないこと)
  • 同居し、実態ある婚姻生活を送っていること
  • 偽装結婚でないこと(法務局は生活状況を厳しく確認)

2. 在留期間・婚姻期間の要件

次のいずれかを満たすこと

  • 婚姻から3年以上かつ日本で1年以上継続して住所を有する
  • 婚姻から3年未満でも、日本に3年以上継続して住所を有する

3. 素行が善良であること

  • 犯罪歴がないこと(交通違反も評価対象)
  • 納税義務を履行していること(所得税・住民税など)
  • 社会的信用を失う行為をしていないこと

4. 生計が安定していること

  • 日本人配偶者の収入で生活が成り立つ場合も可
  • 生活保護を受給していないことが望ましい

必要書類一覧

日本人配偶者の簡易帰化申請では、法務局によって若干異なりますが、主な必要書類は以下の通りです。

本人(外国籍配偶者)に関する書類

  • 帰化許可申請書
  • 履歴書
  • 生計の概要書
  • 親族の概要書
  • 外国のパスポート・在留カード
  • 出生証明書(本国発行)
  • 婚姻証明書(本国発行)

日本人の配偶者に関する書類

  • 戸籍謄本
  • 住民票(世帯全員記載)
  • 収入証明(源泉徴収票・確定申告書)
  • 納税証明書(市区町村・税務署発行)

夫婦共通

  • 住居の賃貸契約書または不動産登記簿
  • 光熱費の領収書(同居実態証明用)
  • 写真(証明写真規格)

手続きの流れ

  1. 事前相談(法務局)
    • 帰化申請は必ず管轄法務局での面談から始まります
  2. 必要書類の収集
    • 国内外から取り寄せるため数カ月かかることも
  3. 申請書類作成
    • 帰化理由書など、法務局の指示に従って作成
  4. 正式申請
    • 法務局窓口で提出(予約制)
  5. 審査
    • 面接調査や追加書類提出依頼
    • 6〜12カ月程度かかる
  6. 帰化許可官報公告
    • 官報掲載後、日本国籍を取得
  7. 戸籍編製・国籍取得届

審査で見られるポイント

  • 婚姻生活の実態(同居・交流状況)
  • 納税状況(市県民税・所得税の滞納はNG)
  • 日本語能力(面接時の会話力)
  • 犯罪歴・交通違反歴
  • 家計の安定性

よくある質問(Q&A)

Q1. 婚姻から1年しか経っていませんが、申請できますか?
A1. 日本に3年以上住んでいる場合は可能です。婚姻期間と住所期間の両方で緩和条件があります。

Q2. 無職ですが申請できますか?
A2. 日本人配偶者の収入で生活が安定していれば可能です。ただし生活保護受給中は難しい場合があります。

Q3. 日本語能力試験(JLPT)の合格証は必要ですか?
A3. 必須ではありませんが、小学校3年程度の日本語力を面接で確認されます。証明書があれば有利です。


関連記事

参考リンク


まとめ

日本人配偶者の簡易帰化は、通常帰化よりも条件が緩く、在留期間や生計要件が柔軟に適用されます。
しかし、審査では婚姻の実態や生活の安定性、日本語能力、納税状況などが細かくチェックされるため、事前の準備が重要です。

帰化は人生の大きな節目となる手続きです。法務局への事前相談や、行政書士など専門家への依頼によって、スムーズな申請を目指しましょう。

無料相談

まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。
 
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法