不法就労防止のための注意点|研修ビザでできること・できないこと
**研修ビザ(在留資格「研修」)**は、日本で技能や知識を習得するために入国する外国人が取得する在留資格です。しかし、研修ビザは原則として「労働を目的とする活動」が認められていないため、不法就労防止のための適切な管理と運用が不可欠です。この記事では、研修ビザで認められる活動・認められない活動、そして不法就労防止のための実務上の注意点について詳しく解説します。
目次
研修ビザの基本概要
研修ビザは、外国人が日本の企業や団体で技能・知識の研修を受けることを目的とした在留資格です。法務省入管庁によると、研修ビザの対象となるのは以下のケースです。
- 海外の業務に関連した技能習得のための研修
- 海外の企業や組織の職員が、日本の親会社・関連会社での研修を受ける場合
- 将来的に母国で業務に従事することを前提に、日本で一定の技能や知識を学ぶ場合
研修ビザでできること・できないこと
研修ビザで「できること」
- 研修先での座学・実習による技能習得
- 日本企業や教育機関での短期的な研修参加
- 技能習得に必要な範囲での実技訓練
研修ビザで「できないこと」
- 研修以外の報酬を得る就労活動(アルバイト・パート・フルタイム労働)
- 資格外活動許可を受けていない労働
- 実際には労働力として利用される研修(「名ばかり研修」)
注意点
研修ビザは、あくまで「技能習得を目的とした滞在」であるため、研修が「生産活動(労働)」にあたると判断される場合、不法就労と見なされる恐れがあります。
不法就労防止のための実務ポイント
研修ビザを適切に運用するためには、受入機関(企業・団体)と本人双方がルールを理解し、遵守することが重要です。
1. 研修計画書の適正管理
- 事前に明確な研修計画書を作成し、内容を入管に申請
- 実際の研修内容が計画と乖離しないように定期的なモニタリングを実施
2. 「労働」と見なされないように注意
- 生産ラインや販売業務など、研修目的と関係ない業務への従事は禁止
- 実技訓練は技能習得を伴う教育的性格を有する必要があります
3. 資格外活動許可の要否確認
- 原則として研修ビザでの就労は不可ですが、一時的な活動であっても資格外活動許可が必要なケースがあるため要確認
- 違反すると受入企業にも罰則が課せられるリスクがあります
4. 在留カード・在留期限の確認
- 研修生の在留カードに記載された在留資格・期限を確認し、期限切れによる不法滞在を防止
- 更新や変更が必要な場合は余裕を持って申請する
不法就労防止に関する罰則
入管法違反により不法就労が発覚した場合、以下のような罰則が科される可能性があります。
- 外国人本人:退去強制、5年間の再入国禁止
- 受入機関:3年以下の懲役または300万円以下の罰金(入管法第73条の2)
- 企業イメージの毀損や監査リスクの増加
実務でよくある質問(FAQ)
Q1. 研修中に研修生に対して手当や報酬を支払っても良いですか?
→ 研修手当(生活費補助)としての支給は可能ですが、労働の対価としての給与は違法と見なされます。
Q2. 研修後に日本で就労ビザに変更できますか?
→ 研修終了後に、**就労可能な在留資格(技術・人文知識・国際業務など)**への変更は可能ですが、要件を満たす必要があります。詳しくは以下の記事をご参照ください。
→ 研修ビザと技術・人文知識・国際業務ビザとは?就労ビザへの変更条件を徹底解説
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まとめ
研修ビザは技能や知識の習得を目的とする在留資格であり、就労ビザとは異なり労働は原則禁止されています。不法就労を防止するためには、研修計画の適正管理、労働と研修の区別、資格外活動許可の要否確認などの実務管理が重要です。
受入企業は法令遵守と研修生管理を徹底し、適切な外国人材受入れ体制を構築することが求められます。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |