帰化申請における居住要件とは?引越し・一時帰国が審査に与える影響も解説

はじめに

日本への帰化を目指す外国籍の方にとって、最も重要かつ誤解されやすいのが「居住要件」です。特に引越し一時帰国・出国が要件を満たしているかにどのような影響を与えるのかは、多くの申請者が不安に思うポイントです。

本記事では、帰化申請における「居住要件」の基本と、住所変更(引越し)や短期の出国が審査に及ぼす影響について詳しく解説します。


帰化申請における「居住要件」とは?

1. 基本的な要件

帰化申請には「引き続き5年以上日本に住所を有すること」という居住要件があります(国籍法第5条第1項第1号)。

これは単に5年間住んでいればよいというわけではなく、「継続的に日本に生活の本拠を置いていたか」が厳密に審査されます。

2. 例外がある場合

以下のようなケースでは居住期間が短くても認められることがあります:

  • 日本人の配偶者 → 3年の婚姻+1年以上の日本在住で要件緩和
  • 永住者・特別永住者 → 在日歴や安定性に応じて柔軟な対応

参考:法務省|帰化許可申請


居住要件と「引越し(住所変更)」の関係

引越し自体は問題にならないが…

国内での住所変更(引越し)は、基本的に居住要件には影響しません。重要なのは、「住民票の異動が正しく行われているか」「生活の拠点が日本国内に継続してあるか」です。

注意点:

  • 頻繁な引越しがあると「生活の安定性」に疑念を持たれることがある
  • 未届けの転居は「居住実態なし」と判断される可能性も

引越し時の提出書類への影響

  • 帰化申請では「過去5年分の住所履歴」の提出が求められます
  • 引越しの都度、正確な転出・転入届けを行っていないと、整合性に欠け、調査対象になることがあります

居住要件と「一時帰国・出国」の影響

どこまでが「継続居住」と見なされるか?

法務局では「年間3か月未満の出国」であれば、通常は継続居住と見なされる傾向にあります。ですが、一度に90日を超える出国頻繁な短期出国の繰り返しがあると、要件未達と判断されるリスクがあります。

出国の内容影響の可能性
数日の一時帰国原則問題なし
年間30~60日の出国調査対象になる可能性あり
長期の海外滞在(90日超)居住の継続性を否定される恐れ

減点要素になりうるケース

  • 出国理由が「海外転職」「家族と居住」などの場合は生活拠点が日本にないと判断されやすい
  • 一時帰国が頻繁でも、「仕事や病気など合理的理由」があれば説明資料で補足可能

関連情報:【要注意】帰化申請中に出国しても大丈夫?認められるケースとリスクを徹底解説


帰化申請で「居住要件」を証明するための書類

居住要件を裏付けるために、以下のような書類を求められます:

  • 住民票(過去5年間の履歴付き)
  • 出入国記録(出入国在留管理庁発行)
  • 納税証明書(市県民税、住民税)
  • 勤務証明書・給与明細(就労実績の確認)

ポイント:

出国がある場合は、その理由や期間を明記した説明書を任意で添付することも推奨されます。


不安な場合は専門家に相談を

居住要件を正しく判断するには、出国履歴や住民票履歴を総合的に精査する必要があります。少しでも不安がある方は、行政書士など帰化申請に詳しい専門家への相談が安心です。

参考記事:【帰化申請】行政書士に依頼する7つのメリットとは?自力申請との違いを徹底解説


まとめ|帰化申請の居住要件は「継続性」がカギ

帰化申請における居住要件では、「形式的な住所の有無」ではなく、「実質的に日本を生活拠点としていたか」が審査の中心となります。

  • 国内での引越しは影響しにくいが、住民票の届け出ミスはNG
  • 年間3か月以内の短期出国なら原則問題なし
  • 長期出国や頻繁な海外滞在は、審査にマイナスとなる可能性あり

しっかりと記録を残し、説明責任を果たす姿勢が大切です。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法