高度人材ポイント制 徹底ガイド|メリット・計算方法・申請の流れを解説
「日本で働き続けたい」「永住権を取得したい」と考えている外国籍の方、そして外国人材の採用を検討されている企業様にとって、「高度人材ポイント制」は非常に重要な制度です。本記事では、この高度人材ポイント制の仕組み、具体的なメリット、そして気になるポイントの計算方法まで、2025年最新の情報に基づいて詳しく解説します。
目次
高度人材ポイント制とは?なぜ注目されるのか
高度人材ポイント制とは、学歴、職歴、年収、研究実績などの項目に応じてポイントを付与し、その合計点が一定基準(70点)を超えた外国人を「高度人材」として優遇する制度です。日本政府が世界から優秀な人材を呼び込むために2012年に導入しました。
なぜ今、高度人材が求められるのか?
少子高齢化が進む日本において、経済成長を維持するためには、イノベーションを創出し、新たな産業をけん引する高度な知識・技術を持つ人材が不可欠です。高度人材ポイント制は、そうした優秀な外国人が日本で活躍しやすい環境を整備することで、日本の国際競争力強化に貢献することを目的としています。
高度人材の区分とそれぞれの対象者
高度人材ポイント制には、以下の3つの区分があります。
- 高度専門職1号イ(高度学術活動):研究者、大学教授など、学術研究分野での活動を行う方
- 高度専門職1号ロ(高度専門・技術活動):ITエンジニア、コンサルタントなど、専門的な技術や知識を要する業務に従事する方
- 高度専門職1号ハ(高度経営・管理活動):企業経営者、役員など、事業の経営・管理を行う方
ご自身の専門分野や職種によって、どの区分に該当するかが異なりますので、後述のポイント計算時に確認が必要です。
高度人材になるメリット:永住権への最短ルート!
高度人材として認定されると、通常の在留資格では得られない、様々な優遇措置を受けることができます。特に注目すべきは、永住権取得までの期間が大幅に短縮される点です。
1. 永住許可要件の大幅緩和
通常、永住権を申請するには日本に10年以上継続して在留している必要があります。しかし、高度人材として認定された場合、以下の期間に短縮されます。
- 70点以上80点未満の場合: 3年の在留で永住権申請が可能
- 80点以上の場合: 1年の在留で永住権申請が可能
これは、他の在留資格では考えられないほどの優遇措置であり、日本での長期的なキャリアを考えている方にとっては非常に大きなメリットです。
2. 複合的な在留活動の許可
通常の在留資格では、許可された活動範囲内でしか働くことができません。しかし、高度人材は複数の分野にまたがる活動を複合的に行うことが可能です。例えば、「高度専門職1号ロ」のITエンジニアが、関連事業の経営にも携わるといった柔軟な働き方が認められます。
3. 配偶者の就労活動の緩和
高度人材の配偶者も、在留資格「特定活動」を取得することで、就労制限なしに働くことができます(学歴・職歴等の要件あり)。これにより、帯同家族の生活基盤が安定し、安心して日本で暮らすことができます。
4. 親の帯同、家事使用人の雇用
一定の条件を満たせば、高度人材の親の日本への帯同や、家事使用人の雇用も認められます。これにより、育児や介護のサポート体制を整えやすくなり、より働きやすい環境が提供されます。
5. 入国・在留手続の優先処理
高度人材の申請は、他の在留資格よりも優先的に審査されます。これにより、迅速に手続きが進み、日本での生活やビジネスをスムーズに開始できます。
高度人材ポイントの計算方法を徹底解説!
いよいよ、気になるポイント計算方法です。以下の項目ごとにポイントが加算されていきます。合計70点以上で高度人材として認められます。
1. 学歴
学歴 | ポイント |
---|---|
博士号 | 30点 |
修士号 | 20点 |
大学卒業 | 10点 |
複数の専門分野での学位 | +5点 |
2. 職歴
職歴年数 | ポイント |
---|---|
10年以上 | 25点 |
7年以上10年未満 | 20点 |
5年以上7年未満 | 15点 |
3年以上5年未満 | 10点 |
1年以上3年未満 | 5点 |
3. 年収
年収は、高ければ高いほどポイントが高くなります。
年収(日本円) | ポイント |
---|---|
1,000万円以上 | 40点 |
900万円以上1,000万円未満 | 35点 |
800万円以上900万円未満 | 30点 |
700万円以上800万円未満 | 25点 |
600万円以上700万円未満 | 20点 |
500万円以上600万円未満 | 15点 |
400万円以上500万円未満 | 10点 |
300万円以上400万円未満 | 5点 |
【注意点】
- 年収は、原則として申請時点の今後の見込み年収が対象となります。
- 高度専門職1号イ、ロ、ハによって、最低年収の基準が異なります(例:300万円以上など)。
4. 研究実績・資格・その他
特定の分野での実績や資格、日本での活動内容に応じて加算されます。
- 研究実績:特許取得、論文発表、国等の競争的資金獲得など(最大20点)
- 資格:特定の国家資格、国際的な資格など(最大10点)
- 日本語能力:日本語能力試験(JLPT)N1合格、BJTビジネス日本語能力テスト480点以上など(最大15点)
- 大学のランキング:世界大学ランキング上位校卒業(10点)
- 投資家としての実績:一定額以上の投資実績(10点)
- 地域貢献・イノベーション創出:特定の地域での活動、新規事業の立ち上げなど(最大10点)
- 日本の大学卒業:日本の大学・大学院を卒業している場合(10点)
これらのポイントを全て合計し、70点以上を目指しましょう。具体的なポイント表は、出入国在留管理庁のウェブサイトで最新の情報を確認できます。
【重要】ご自身の正確なポイント計算は、以下の出入国在留管理庁のウェブサイトで提供されている「ポイント計算表」をご活用ください。
- 出入国在留管理庁:高度人材ポイント計算表(PDFリンク)
高度人材ビザ(高度専門職)の申請方法
高度人材ビザの申請は、以下のステップで進めます。
- 必要書類の準備:パスポート、履歴書、卒業証明書、職務経歴書、年収証明書、ポイント計算表、活動内容を証明する書類など。
- ポイントの自己計算:前述のポイント計算方法に基づき、ご自身のポイントを正確に計算します。
- 申請書の作成:出入国在留管理庁のウェブサイトから申請書をダウンロードし、必要事項を記入します。
- 申請:居住地を管轄する地方出入国在留管理局へ申請書類を提出します。
- 審査:出入国在留管理庁による審査が行われます。
- 結果通知・在留カードの交付:審査が承認されれば、在留カードが交付されます。
まとめ:高度人材ポイント制を活用し、日本での可能性を広げよう!
高度人材ポイント制は、日本でキャリアを築き、永住権を目指す外国人にとって非常に有利な制度です。自身の能力や経験がどのくらいポイントになるのかを把握し、積極的に活用することで、日本での可能性を大きく広げることができます。
もし、ご自身のポイント計算や申請手続きに不安がある場合は、専門家である行政書士や弁護士に相談することをおすすめします。彼らは最新の情報を持ち、個別の状況に合わせた的確なアドバイスを提供してくれます。
外部リンク
- 出入国在留管理庁公式サイト:最新の高度人材ポイント制に関する情報や、各種申請書がダウンロードできます。 https://www.moj.go.jp/isa/
関連記事
無料相談
まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。 |
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |