1,定住者ビザとはどんなビザですか?

(1)概要

 定住者ビザとは、在留資格「定住者」のことです。定住者ビザについて、出入国管理及び難民認定法は、「法務大臣が申請人の特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して日本での居住を認める」と規定しています。このように法は、定住者ビザについて抽象的に定めています。申請人の特別な理由は、申請人個々人によって異なるため、許可要件も個々人によって異なる部分があります。

(2)種類

 定住者ビザは、法務大臣の告示によって定められた定住者告示と定住者告示に該当しない告示外定住者に大別されます。このうち、定住者告示は1号~8号において具体的な内容が定められています。この法務大臣の告示によって定められた定住者は、各号によって、その活動内容と許可要件は異なってきます。

2,定住者告示とは何ですか?

 上記1(2)で検討したように、定住者告示は1~8号によってその活動内容と許可要件は異なってきます。以下では、各々について検討していきます。

(1)1号

 告示1号では、下記の表にある国に一時滞在している難民に、定住者の在留資格該当性を認めています。さらに、下記の要件のいずれかを充足している必要があります。

「在留資格該当性(下記の表にある国に一時滞在している難民)」

インドインドネシアカンボジアシンガポールスリランカ
タイ大韓民国中華人民共和国ネパールパキスタン
バングラデシュ東ティモールフィリピンブータンブルネイ
ベトナムマレーシアミャンマーモルディブモンゴル
ラオス    

 

「許可要件」

A:日本社会への適応能力があり、生活を営むための職に就ける(その方の配偶者・子供・両親・未婚の兄弟姉妹を含む)
B:上記Aに該当する定住者が、日本に入国する直前まで滞在していた国にいる親(親族間での相互扶助が可能である場合のみ)

(2)2号

 2号は削除されています。

(3)3号(日系2世・3世)

 告示3号では、日系2世と3世に定住者の在留資格該当性を認めています。さらに、許可要件として素行善良であることを充足する必要があります。

 日系2世とは、元日本人の親(日系1世)が日本国籍を離脱した後に生まれた子供のことです。日系2世の親である元日本人は、日本人の実子として生まれ、日本国籍を離脱した元日本人である必要があります。外国籍から帰化した日本人が日本国籍を離脱した元日本人は含まれません。

 日系3世、元日本人(日系1世)の孫のことです。日系1世が国籍を離脱する前に生まれた日系2世の子供である日系3世が該当します。日系3世の親である日系2世が、日系1世が日系国籍を離脱する前に生まれた場合でも、日系2世の子供である場合は在留資格該当性が認められます。

(4)4号(日系3世)

 告示4号では、日系3世に定住者の在留資格該当性を認めています。さらに、許可要件として素行善良であることを充足する必要があります。

 4号の日系3世は、日系1世が国籍を離脱した後に生まれた日系2世の子どもである日系3世が該当します。この点が3号の日系3世と異なります。日系3世の親である日系2世が、日系1世が日系国籍を離脱した後に生まれた場合でも、日系2世の子供である場合は在留資格該当性が認められます。

(5)5号(定住者などの配偶者)

 告示5号では、定住者などの配偶者に、定住者の在留資格該当性を認めています。

「5号定住者の在留資格該当性」

A:日本人の配偶者などの在留資格をもって在留している方で、日本人の子供として生まれた方の生まれた方の配偶者
B:1年以上の在留期間がある定住者ビザ(3号・4号以外)を持って在留している方の配偶者(当該在留期間中に離婚をした場合は除く)
C:3号・4号の定住者ビザを持つ方の配偶者で、素行が善良な方

(6)6号(定住者の子供)

 告示6号では、定住者などの未成年かつ未婚の子供に、定住者の在留資格該当性を認めています。

「6号定住者の在留資格該当性」

A:日本人・永住者・特別永住者の扶養を受けて生活する、未成年で未婚の子供
B:1年以上の在留期間がある定住者ビザ(3号・4号とその配偶者を除く)をもって在留している方の扶養を受けて生活する、未成年で未婚の子供
C:1年以上の在留期間がある定住者ビザ(3号・4号またはその配偶者)をもって在留している方の扶養を受けて生活する、未成年で未婚の子供、かつ素行が善良な方
D:日本人・永住者・特別永住者・1年以上の在留期間がある定住者ビザをもって在留している方の配偶者で、日本人の配偶者または永住者の配偶者で在留している方の扶養を受けて生活する、未成年で未婚の子供(言葉が重いですが、いわゆる連れ子の方です。)

(7)7号(日本人・永住者・定住者の養子)

 告示7号は、以下のいずれかの者の扶養を受けて生活する6歳未満の養子に、定住者の在留資格該当性を認めています。

「7号定住者の在留資格該当性」

・日本人の養子
・永住者の養子
・1年以上の在留期間がある定住者ビザ外国人の養子
・特別永住者の養子

(8)8号(中国残留邦人)

 告示8号では、中国残留邦人に定住者の在留資格該当性を認めています。

「8号の在留資格該当性」

A:昭和20年9月2日以前から引き続き中国に居住し、日本国民として日本に本籍を有していた方
B:上記Aを両親として昭和20年9月3日以降に中国で生まれ、引き続き中国に居住している方
C:「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律」の第1条第1号もしくは第2号、または第2条第1号もしくは第2号に該当する方
D:「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律」で規定する中国残留邦人で永住帰国により日本に在留する方と以下の該当するその親族の方 ・配偶者 ・18歳未満の実施 ・障害がある実子 ・実子で永住帰国後の早期の自立と生活の安定のため、必要な扶養をうけるために、日本で生活をともにするのが最適だと申し出があった方 ・上記に規定する方の配偶者
E:6歳に達する前から上記A~Cに該当する方と同居し扶養を受けている、または6歳に達する前から婚姻もしくは就職するまでの間で同居し扶養を受けていた方の養子・配偶者の婚姻前の子供

3,告示外定住とは何ですか?

 上記の定住者告示に該当しない場合でも、定住者として在留資格が付与される場合もあります。このような場合を告示外定住といいます。定住者告示と比較して告示外定住の場合は、定住者ビザの取得は難しくなります。告示外定住が以下のような場合に取得することができます。

「告示外定住の該当例」

・離婚、死別定住者(日本人・永住者・永住者・特別永住者と死別又は離婚した外国人)
・日本人の実子扶養定住(日本国籍の子供を扶養している外国人)
・連れ子定住者(日本人と国際結婚した外国人の連れ子)

「告示外定住の許可要件」

・独立の生計を営むのに足りる十分な資産や技能がある
・3年以上の婚姻実績がある
・実子の親権者である
・これまでの期間で当該実子を監護・養育していた
・日本国籍の実子が未成年かつ未婚である
・連れ子が未成年かつ未婚である

4,日系3世の定住者ビザ申請の必要書類は何ですか?

 定住者ビザ申請をする際に必要となる書類は、告示定住者か告示外定住者か否か、によって異なってきます。また、告示定住の場合でも1号~8号によって、証明すべき事項が異なるため、必要書類も異なってきます。以下では、日系3世が告示定住3号、4号申請する場合の必要書類について検討します。

「日系3世の定住者申請の必要書類」

・在留資格認定証明書交付申請書 1通
・写真 1葉
・返信用封筒
 定型封筒に宛先を明記し、404円分の切手を貼付したものを用意してください。
①市区町村の役場で発行してもらう書類
・祖父母の戸籍謄本または除籍謄本
・祖父母の両親の婚姻届受理証明書
・出生届受理証明書
・祖父母と両親の死亡届受理証明書
・同居者の住民票
②職業・収入を証明する書類
・預貯金通帳残高証明書
・雇用予定証明書または採用内定通知書
・住民税の課税証明書および納税証明書(直近1年分)
③その他
・身元保証書
・犯罪経歴証明書
・祖父母と両親の結婚証明書(外国の機関で発行されたもの)
・両親と申請人の出生証明書(外国の機関で発行されたもの)
・申請人の認知に係る証明書(外国の機関で発行されたもの)
・祖父母と両親が実在していることを証明する公的な資料(旅券や運転免許証など)
・申請人が本人であることを証明する公的な資料(身分証明書や運転免許証など)
・日本語能力を証明するもの(日本語能力試験のN2の合格証明書など)

5,まとめ

 定住者ビザとは、在留資格「定住者」)のことです。定住者ビザについて、出入国管理及び難民認定法は、「法務大臣が申請人の特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して日本での居住を認める」と規定しています。定住者ビザは、法務大臣の告示によって定められた定住者告示と定住者告示に該当しない告示外定住者に大別されます。そして、法務大臣の告示によって定められた定住者は、1~8号によって、その内容と許可要件は異なってきます。

 
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
 特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

無料相談

 弊所では無料相談を実施しています。まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。