1,外国会社が日本支店を設立する場合も登記が必要ですか?

 外国会社の日本支店は、日本で法人設立登記を行っていない場合は、日本の会社ではありません。日本の会社でない場合でも、外国会社が日本支店を開設し営業するためには、登記が必要となります。

 外国会社の日本進出は、以下のいずれかの形態をとります。

①日本法人の設立
②日本支店の設立
③駐在員事務所の設置

 上記のうち、①日本法人の設立、②日本支店の設立の形態をとる場合は、登記を得る必要があります。

2,外国会社の日本支店登記の手順はどうなりますか?

手順1 日本支店の支店代表者の決定

 外国会社が日本支店の登記をするためには、定款を作成する必要があり、支店代表は定款の記載事項になります。したがって、まずは、日本支店の代表者を決定する必要があります。外国会社の日本支店の代表者は、最低でも1人は日本に住所を有している必要があります。代表者が複数人の場合は、最低1人日本に住所を有していれば要件を充たします。

「日本支店代表者の権限」

 外国会社の日本支店代表者は、日本での外国会社の営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。日本での登記申請権限も、支店代表者が有することになります。外国会社が、日本支店代表者の権限を制限している場合でも、第三者に権限の制限を主張することは認められません。日本支店代表者が外国会社の代表者として行った行為は、外国会社の本社に権利義務が帰属します。

「日本支店代表者に必要な在留資格」

 日本支店の開設に当たり、本国から外国人を日本に派遣する場合は、日本支店の代表者が、何らかの就労可能な在留資格をもっていない場合は、在留資格を取得する必要があります。この場合に、日本支店の代表者が取得する必要のある就労ビザは、在留資格「企業内転勤」または「経営・管理」となります。

手順2 法務局において同一商号の調査

 他の会社が既に登記した商号と同一の商号、かつ同一の本店所在場所であるときは、その商号を登記することができません。法務省のオンライン登記情報サービスで、商号調査をすることができます。

手順3 日本支店の事業所の確保

 日本支店の事業所を確保する必要があります。この日本支店の物件は、事業所として使用可能な物件である必要があります。この事業所は、特に経営管理の在留資格との関係で大きな影響が出ます。ビザ取得可能な事業所を確保する必要があります。

 経営管理ビザを取得するためには、許可要件の1つとして、事業所の独立性が要求されます。よって、日本支店登記可能な事業所であっても、バーチャルオフィスやレンタルオフィスでは、事業所の独立性が認められないとして、経営管理ビザを取得することができない可能性もあります。また、自宅兼事務所の場合も、事業所の独立性が認められないとして、経営管理ビザを取得できない可能性が大きいと考えます。

手順4 宣誓供述書の作成

 外国会社日本支店の登記申請には、以下の①~③の証明書類が必要になります。日本支店の登記申請時には、証明書に代わるものとして、宣誓供述書(登記に必要な事項を記載)を作成し、提出します。

①日本支店の代表者の資格証明書類
②定款
③外国にある本店の存在がわかる書類

手順5 宣誓供述書の認証

 作成した宣誓供述書に認証を取得します。認証は、外国本国の公証人又は駐日外国大使館の認証権限者の前で宣誓し署名することによって取得することができます。宣誓供述書への宣誓・署名は、外国会社本国の代表者又は日本支店代表者が行うことになります。宣誓供述書の作成・認証には、定款、議事録、会社案内、任命書等が必要になります。

手順6 日本支店設置登記申請

 日本支店事業所の所在地を管轄する法務局へ、認証された宣誓供述書を添付して、日本支店設置登記申請を行います。申請権者は、日本支店代表者になります。このとき、日本支店の代表者印の届出も行います。登記は、1~2週間で完了します。登記完了後、登記簿謄本の取得が可能になります。外国会社の日本支店での営業は、登記完了後に可能となります。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
 特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

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