1,永住者の配偶者ビザとはどんなビザですか?

 永住者の配偶者等ビザとは、永住者又は特別永住者と結婚した外国人や、永住者の子供として日本で出生しあ外国人を対象としている在留資格になります。永住者の配偶者ビザは、就労に制限がないなど、活動制限がなく自由な活動が認められています。このように、永住者の配偶者ビザは家族滞在ビザと比較して自由な活動が認められています。夫婦の一方が永住者と求められた場合は、その配偶者や子供は永住者の配偶者等となるため、家族滞在ビザから永住者の配偶者ビザへ変更することが好ましいといえます。

 永住者の配偶者ビザの審査では、法律上有効な婚姻関係にあることが要求されます。そして、本国法では有効であっても、日本の法律上は有効と認められない婚姻関係の場合は許可が下りません。例えば、日本国民法は重婚を認めていません。よって、本国法が重婚を認めている場合でも、重婚関係にある場合はビザを取得することができません。また、日本国民法は女性のみ再婚禁止期間(100日)を定めていますが、この再婚禁止期間が経過していない場合は、ビザ申請には待婚期間を経過する必要があります。

2,永住者の配偶者等ビザの在留期間はどれくらいですか?

 永住者の配偶者ビザでは、5年、3年、1年、6月のいずれかの期間日本に在留することが認められます。この認められる在留期間は、配偶者との婚姻期間や安定性、申請書記載の滞在予定期間などを総合的に考慮し、入管の裁量によって決定されます。よって、希望する在留期間が当然に認められるわけではありません。5年、3年という長期の在留期間が認められるためには、日本で長期間継続的かつ安定的に永住者との婚姻生活を維持している必要があります。

3,永住者の配偶者等ビザには永住者の子供も含まれますか?

 永住者の配偶者等の「等」には、永住者の実子も含まれます。永住者の子供として認められるためには、永住者の子供として日本で出生している必要があります。また子供は永住者の実子であり、嫡出子と認知された非嫡出子に限られます。よって、婚外子であっても父親が認知している場合は、永住者の実子と認められます。しかし、実子であっても母親が外国で出産している場合は、永住者の配偶者等ビザの対象となりません。また養子も対象となりません。普通養子に限られず、特別養子の場合でも永住者の実子とは認められません。

4,永住者の子供の場合の永住者の配偶者等ビザの許可要件は何ですか?

(1)永住者の子供の許可要件

 永住者の子供が、在留資格「永住者の配偶者等」を取得するためには、永住者の子供として日本で出生し、出生後も継続して日本に在留していることが必要です。永住者の子供が未成年の場合は、扶養者の扶養を受けて生活していることが条件となります。永住者の子供が永住者の配偶者ビザの対象となるためには、以下の要件のいずれかを満たしている必要があります。

「許可要件」

・出生時に父親あるいは母が永住者として日本で暮らしていたこと。
・出生以前に父親が死亡したが、その父親の死亡の際に永住者ビザを持っていたこと

 もっとも、永住者の子供として日本で出生した場合でも、出生から30日を経過すると永住者の配偶者等ビザを申請できなくなるので注意が必要です。また、以下のような場合は、永住者の子供であっても、永住者の配偶者ビザを取得することはできません。

「該当しない例」

・日本国外で出生した後に来日した場合
・日本で出生していても、出生後、長期間海外に滞在していた場合
・日本で出生はしているものの、出生時点で両親が永住者でない場合

 上記のような場合で、永住者の子供であっても在留資格「永住者の配偶者等」に該当しない場合は、在留資格「定住者」に該当します。

(2)生計要件

 永住者の配偶者等ビザの許可要件の1つに生計要件というものがあります。この生計要件は、日本で安定継続的に生計を維持できることを要求しています。生計要件を充足するための目安としては、夫婦2人の場合は永住者に年収300万円以上あることが好ましいといえます。また子供がいる場合には、被扶養者1人につき+80万円を上乗せして考える必要があります。つまり、夫婦2人子供1人の3人家族の場合は、年収380万円以上あることが好ましいといえます。この一人80万円の根拠は、生活に最低限必要な金額である国民年金の年間支給額に求められます。

5,子供の場合の永住者の配偶者等ビザ申請の必要書類は何ですか?

 永住者の子供が永住者の配偶者等ビザを申請する際の必要書類は以下の通りです。

「必要書類」

・日本において出生届受理証明書もしくは国籍がある国から発行する親子関係証明書
・国籍証明文書
・在留資格の取得を必要とする事由を証明する文書
・扶養者の住民税についての納税証明書(1年の総収入、課税額、納税額を記載)
・永住者の身元保証書
・住民票(世帯全員について)
・申請人の顔写真(縦4cm×横3cm)
・在留資格認定証明書交付申請書
・身元保証書

6,永住者の配偶者等ビザ申請の手順はどうなりますか?

 永住者の配偶者等ビザ申請の手順は、以下の流れで進むことになります。上記5の必要書類をはじめ、許可要件を充足していることを立証する資料を十分に提出することが重要です。

①必要書類の収集と作成

② 出入国在留管理庁で在留資格取得許可申請

③在留資格の取得

7,永住者の配偶者等ビザを取得すると永住申請が緩和されますか?

 永住者の実子として永住者の配偶者等ビザを取得した場合は、永住申請の許可要件が緩和されます。具体的には、永住申請をするためには原則として「引き続き10年以上」日本に在留している必要があるところ、「引き続き1年以上」日本に居住している場合は、永住申請の居住要件を充足することができます。なお、保有している在留資格で認められた在留年数は3年以上である必要があります。

 永住申請が許可されるためには、上記の居住要件をはじめ以下の要件を全て充足している必要があります。

「永住者の子供の永住許可要件」

・引き続き1年以上日本に在留している
・納税義務等の公的義務を果たしている
・現在の在留資格で最長の在留期間で在留している
・公衆衛生上有害となるおそれがない
・著しく公益を害する行為をするおそれがない
・日本国内において日本人または永住者の身元保証人がいる

8,まとめ

 永住者の配偶者ビザとは、永住者又は特別永住者と結婚した外国人や、永住者の子供として日本で出生した外国人を対象としている在留資格になります。永住者の配偶者ビザでは、5年、3年、1年、6月のいずれかの期間日本に在留することが認められます。 永住者の配偶者等の「等」には、永住者の実子も含まれます。永住者の子供として認められるためには、永住者の子供として日本で出生している必要があります。永住者の子供が、在留資格「永住者の配偶者等」を取得するためには、永住者の子供として日本で出生し、出生後も継続して日本に在留していることが必要です。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法