技術人文知識国際業務ビザ(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)で資格外活動許可を取得できますか?アルバイトや副業しても大丈夫ですか?
目次
1,技術人文知識国際業務ビザでアルバイトや副業できますか?
(1)技術人文知識国際業務ビザで従事できる仕事
技術人文知識国際業務ビザとは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」」のことで就労ビザの1つです。就労系の在留資格では、もっともポピュラーな就労ビザです。技術人文知識国際業務は、それぞれの分野において専門性が要求される業務に従事することが認められます。
具体的には、下記の表に挙げるように、「技術」の分野では理系の業務、「人文知識」では文系の業務に従事することが認められます。「国際業務」の分野では、外国の文化や感受性を基盤とした仕事に従事することが認められます。
技術 | ・システムエンジニア ・開発・設計技術者 ・研究職 など |
人文知識 | ・営業 ・マーケティング ・経営企画 ・財務・経理 など |
国際業務 | ・通訳・翻訳 ・英会話講師 ・貿易実務 ・デザイナー など |
技術人文知識国際業務ビザを取得するためには、各分野の専門知識や技術を体系的に納めていることを証明して、関連性のある業務に従事する必要があります。したがって、専門知識や技術を必要としない単純労働(飲食や小売りの接客、工場のライン工、建設現場作業員など)に、技術人文知識国際業務ビザで従事することは認められません。
(2)アイルバイトや副業の可否
技術人文知識国際業務ビザでは、上記の通り、従事できる業務の範囲が法律上定められています。よって、技術人文知識国際業務ビザで許容されている範囲の業務では、アルバイトや副業を行うことも可能です。例えば、英会話講師を行っている外国人が、翻訳や通訳といったアルバイトや副業を行う場合は、技術人文知識国際業務ビザの範囲に含まれるため、何ら問題はありません。
もっとも、技術人文知識国際業務で許容されていない範囲の業務に、アルバイトや副業で従事することは原則として認められません。このような技術人文知識国際業務ビザの範囲外の仕事に、アルバイトや副業で従事する場合は、「資格外活動許可」を取得する必要があります。
2,資格外活動許可とは何ですか?
技術人文知識国際業務ビザをはじめ就労ビザでは従事できる業務範囲が法律上定められています。また、留学ビザや家族滞在ビザでは、就労そのものが原則として認められていません。このように、活動範囲が定められた在留資格を有している外国人が、認められた活動範囲を超える活動を行うことを希望する場合に取得する許可が、「資格外活動許可」となります。
資格外活動許可には、以下のように「包括許可」と「個別許可」の2種類に分けられます。
包括許可 「1週間のうち28時間以内」という条件付きで、逐一勤務先等の指定がされない、包括的な資格外活動が許容される許可 |
個別許可 予定する資格外活動が、上記の包括許可の時間制限を超える場合や客観的に稼働時間の管理が困難な場合等に取得する許可。活動先の機関名や活動期間等が個別に指定され、指定された範囲内のみでの資格外活動が許容される |
3,どんな場合に資格外活動許可を取得しますか?
(1)資格外活動許可が必要な場合
配偶者ビザといった活動制限のない在留資格を除いて、各在留資格には法律によって認められる活動内容に制限があります。その認められた活動内容範囲外で、収入や報酬を得る事業の運営や業務に従事する場合には「資格外活動許可」を取得する必要があります。技術人文知識国際業務ビザで副業やアルバイトをする場合でも、技術人文知識国際業務ビザで認められていない仕事に従事して報酬や収入を得る場合は、資格外活動許可を取得する必要があります。他方、無報酬のボランティア活動の場合は、資格外活動許可を取得する必要はありません。
(2)資格外活動許可が不要な場合
以下に該当する活動の場合は、報酬が発生する場合でも資格外活動許可を取得する必要はありません。例えば、友人の引っ越し作業を手伝い礼金を受け取った、といった場合は資格外活動許可を取得していない場合でも問題はありません。
・業として行うものではない活動に対する謝金や報酬 ・日常生活で発生する臨時の報酬 ・現在の在留資格の対象範囲となる活動 ・「永住者」「定住者」、もしくはどちらかの配偶者等の在留資格を持つ場合 |
4,技術人文知識国際業務ビザで資格外活動許可を取れますか?
技術人文知識国際業務ビザを持つ外国人が、資格外活動許可を取得するためには以下の要件を充足している必要があります。
(1)会社に所属している場合
外国人が会社に所属している場合で、資格外活動許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
技術人文知識国際業務ビザで資格外活動許可を取得するためには、資格外活動が単純労働に該当しないことが要求されています。よって、例えば飲食業や小売業での接客のアルバイトをすることを目的として、資格外活動許可を取得することは認められません。また、所属する会社から副業の許可が得られていることも条件となります。
・現在の在留資格の対象となる活動を、資格外活動が妨げないこと ・現在の在留資格の対象となる活動を維持・継続していること ・資格外活動が「単純労働」に該当しないこと ・資格外活動が、公序良俗に反する活動や違法性のある活動でないこと ・申請者の在留状況に問題がないこと ・勤務先から副業・アルバイト従事の許可を得られること |
(2)解雇や雇止めされた場合
会社都合による解雇や雇止めをされた場合は、資格外活動許可(包括許可)を取得して週28時間アルバイトすることもできます。この場合は、以下の要件を充足している必要があります。なお、技術人文知識国際業務ビザの在留期限までに就職活動を終えることができなかった場合は、特定活動ビザへ変更するという方法があります。
・就職活動中の生活費を確保するためのアルバイトであること ・就職活動の継続を証明できること ・企業によって解雇・雇止めをされたこと ・資格外活動が、公序良俗に反する活動や違法性のある活動ではないこと ・申請者の在留状況に問題がないこと |
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |