1,短期滞在ビザの身元保証人とは何ですか?

(1)招聘人と身元保証人の違い

 短期滞在ビザは、基本的には日本にいる人や会社が、申請人となる外国人を日本に呼び寄せるという形で申請します。このような方法で短期滞在ビザを申請するため、日本にいる招聘人や身元保証人が必要となってきます。この招聘人と身元保証人には、以下のような違いがあります。

招聘人:申請人である外国人を日本に呼びよせる人
身元保証人:申請人である外国人が日本に滞在している間の滞在費や帰国費用などを保証する人

 なお、身元保証人の要件を満たす場合は、同一人物が招聘人と身元保証人を兼ねることも可能です。必ずしも、各々2名の人物を立てる必要はありません。

(2)身元保証人の保障内容

 より具体的に、身元保証人は申請人である外国人に関する以下の事項について保証することになります。以下の費用などを来日する外国人本人が負担することは、何ら問題はありません。来日した外国人が帰国費用を支払えなくなったなどの場合に、身元保証人は以下の費用を支払う保証をします。

①滞在費の支払  日本滞在に必要な費用(宿泊費や交通費など)の支払い
②帰国費用の支払  航空券や船便の費用
③法令遵守  日本のマナーや法令などを、外国との違いを呼び寄せる外国人に理解させサポートする
       例)不法就労禁止など

2,身元保証書とは何ですか?

 短期滞在ビザ申請の必要書類の1つに身元保証書があります。この身元保証書とは、身元保証人が上記身元保証人の保証内容、例えば帰国費用や滞在費用などについてについて証明する書類です。

 収入の低い外国人を日本に招聘する場合は、滞在費や帰国費用を外国人本人が賄えなくなる可能性もあります。このような場合に、身元保証人が滞在費や帰国費用について保証することを、身元保証書を提出して証明します。

3,日本人が身元保証人となる要件は何ですか?

身元保証人の要件:安定した収入があること
 上記1(2)の通り、身元保証人の保障内容には帰国費用などの金銭的な保障が含まれます。よって、日本人が身元保証人になるための要件としては、安定した収入があることが要求されます。この安定した収入があるか否かは、納税証明書や課税証明書の収入欄で判断されます。身元保証人は納税義務を果たしている人間に依頼することが望ましいです。
 招聘人と身元保証人は、同一人物が兼ねることができます。必ずしも招聘人と身元保証人の2人を用意しなければならないわけではありません。もっとも、招聘人が身元保証人を兼ねる場合は、安定した収入がある人物である必要があります。 招聘人に安定した収入がない場合は、まずは安定した収入がある両親に、身元保証人になってもらうことが一番良い方法です。短期ビザでは、呼び寄せる側と呼ばれる側との関係性があることが必要です。両親の場合は、血縁関係があるので関係性が認められます。 両親に安定した収入がない場合は、安定した収入がある第三者に協力を依頼することになります。もっとも、この場合は関係性が希薄になることは避けられません。

4,外国人が身元保証人になる要件は何ですか?

 短期滞在ビザの身元保証人は、日本に住む外国人もなることができます。もっとも、日本人が身元保証人となる場合とは異なり、注意すべき点があります。以下で外国人が身元保証人となる場合の要件について検討します。

(1)安定した収入があること(就労可能な在留資格を持っていること)

 外国人が身元保証人となる場合は、日本人の場合と同様に安定した収入があることが要件となります。よって、安定した収入を日本で得るためには、就労系の在留資格を身元保証人が有していることが必要となります。

 例えば「家族滞在」の在留資格を持つ外国人は、原則として就労が認められていません。家族滞在ビザは、扶養を受けることが前提のビザとなっています。よって、家族滞在ビザを有している外国人が身元保証人となることは、ふさわしいとは言えません。

(2)就労していること

 就労系の在留資格を持っている場合でも、実際に就労していることが必要です。転職期間中などで、実際に就労していない場合は、安定した収入があるとは認められません。生計を維持していることが必要です。

(3)3年以上の在留資格を有していること

 3年以上の在留期間を認められたビザを有していない場合は、身元保証人となることはできません。外国人が短期滞在ビザの身元保証人となるためには、3年以上の在留資格を持っていることが要件です。

5,身元保証人の責任は法的責任ですか?

 身元保証人が、上記1(2)の保障を怠った場合に、法的責任が発生するのかが問題となります。つまり、身元保証人は上記の費用の支払いを法的に強制されるのかが問題となります。

 この点、身元保証人の責任は、道義的な責任に留まります。よって、身元保証人が上記の保障を怠ったとしても、法的に支払いを強制される、刑罰を科されるといったことはありません。

 道義的責任とは、道徳や人としての良識に基づいて果たすべき責任です。よって、上記の費用の支払いやマナーを理解させることについて社会人として約束します、という内容の責任です。もっとも、このように法的責任ではないからといって、この道義的責任を怠った場合に全く不利益がないわけではありません。この道義的責任を怠った場合は、信用を失い以降の申請において身元保証人となれないなど、不利益に働く可能性があることは否めません。もちろん、虚偽の申請に加担するなどの違法行為をした場合は、法的な責任を問われます。

6,どうやって身元保証書を書けばよいですか?

 身元保証書は、外務省のホームページからダウンロードすることができます。以下では、申請件数の多い「親族・知人訪問」目的を例に、身元保証書の記載項目について検討します。

①作成年月日

 書類の作成年月日を記載します。書類の有効期間は作成日から3か月以内です。

②申請先の日本国大使館・領事館名

 申請先の日本国大使館・領事館の正式名称を必ず記載してください。各国の日本国大使館・領事館の正式名称は、外務省のホームページの「在外公館」に掲載されています。

③来日親族・知人の国籍

 来日する申請人(外国人)の国籍を記載してください。

④来日親族・知人の職業

 無職の場合でも空欄には絶対にしないで下さい。この場合は「無職」を記載してください。

⑤来日親族・知人の氏名、性別、人数

 申請人(外国人)のパスポートに記載されている通り(アルファベットの場合はアルファベット)に氏名を記載してください。申請人(外国人)が2人以上いる場合は、代表者の名前で記載し、ほかの申請人の人数を数字で記載してください。なお、申請人が2人以上の場合は、申請人名簿も必要です。性別のチェックを入れてください。

⑥来日親族・知人の生年月日

 パスポートの記載を正確に記入してください。

⑦身元保証人の住所

 住民票の記載通りに記入してください。

⑧身元保証人の職業

 身元保証人の職業を記載してください。なお、無職の場合は身元保証人になれません。

⑨身元保証人の署名と捺印

 署名は自筆である必要があります。身元保証人本人が署名してください。捺印は認印でも問題ありません。ただし、ゴム印は使用しないで下さい。

⑩身元保証人の生年月日、年齢、電話番号、FAX番号

 FAXがない場合は、空欄でも問題ありません。

⑪申請人(外国人)との関係

知人訪問の例:婚約者、交際相手、友人等

親族訪問の例:配偶者、父親、母親、妹、弟、長男、祖父など

⑫会社等の法人や団体が招聘する場合

 親族訪問の場合は、空欄でも問題ありません。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」  
同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  
明治大学法科大学院修了  
「専門分野」  
入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法