1,婚姻手続は日本とスペインの両国でする必要がありますか?
配偶者ビザは、日本国法及びスペイン婚姻法の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とスペイン人が国際結婚をする為には、日本国民法及びスペイン婚姻法のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。
スペインの婚姻年齢はスペイン婚姻法によって定められています。スペイン婚姻法は男女ともに18歳以上と婚姻年齢を定めています。裁判所の許可を得た場合は、16歳から婚姻することが可能となっています。日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。また、日本の民法は女性のみ再婚禁止期間(100日)を定めていますが、スペイン婚姻法は再婚禁止期間を定めていません。
スペインでは同性婚が認められています。婚姻の有効性に関しては、本国法で有効であっても、日本国法も適用されます。日本民法は同性婚を認めていません。したがって、日本の配偶者ビザ申請との関係では、同性婚の場合は許可が下りません。
日本の婚姻手続とスペイン婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。スペイン人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。逆に日本人がスペインに在住しているのであれば、先にスペインで婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。
2,先に日本で結婚する場合はどうしますか?
先に日本で婚姻手続を行う場合は以下のような流れになります。
手順1 スペイン人の婚姻要件具備証明書の取得と領事面接 ↓ | まずは、駐日スペイン大使館領事部で婚姻要件具備証明書を取得します。 婚姻要件具備証明書を取得するためには、婚姻当事者が駐日スペイン大使館領事部に出頭し、各々領事面接を受ける必要があります。大使館に必要書類を郵送し、当該書類の審査を経たうえで、15日間の公示期間後に面接となります。 申請時点で日本人が日本に6か月以上居住しているか、又はスペイン人が居住許可を得て日本に居住していることが必要です。 スペイン人が過去2年間に居住した都市の人口が25,000人以上の場合、立会人1人の出頭も必要となります。立会人の身分証明書の提示も必要です。 「婚姻要件具備証明書発行の流れ」 ①スペイン大使館領事部に必要書類の郵送 ↓ ②同領事部の審査 ↓ ③15日間の公示期間 ↓ ④(異議申出がなければ)領事面接のアポイントメント ↓ ⑤領事面接 ↓ ⑥婚姻要件具備証明書の発行 「在留届出」 領事面接の前に、スペイン人は駐日スペイン大使館領事部で在留届出を行う必要があります。 「必要書類」 ・申請書(大使館備え付け) ・パスポート及びDNI(身分証明書、Documento Nacional de Identidad) ・証明写真(4×4) 1枚 「領事面接の必要書類」 ①スペイン人の必要書類 ・申請書 ・過去2年間の住民票(CERTIFICADO DE EMPADRONAMIENTO) ・出生証明書(CERTIFICADO LITERAL DE NACIMIENTO) ・パスポート及びDNI(身分証明書)のコピー ※離婚した場合、離婚の記載がある離婚判決文(sentencia de divorcio)のコピー、又はRegistro Civil発行された、離婚が記載されている出生証明書、もしくは結婚証明書の原本が必要。 ②日本人の必要書類 ・過去2年間の住民票(スペイン語訳文、アポスティーユ付き) ※転居した場合、住民票の除票が必要になります。 ・戸籍謄本(スペイン語訳文、アポスティーユ付き) ・パスポート又は運転免許証のコピー ※離婚、死別の場合、知婚・死亡の記載がある戸籍謄本が必要になります。 |
手順2 日本の婚姻手続 ↓ | 駐日スペイン大使館で必要書類を取得したら、日本の市区町村役場で婚姻届を行います。 「必要書類」 ①日本人の必要書類 ・婚姻届 ・本人確認書類(運転免許証やパスポートなど写真付きもの) ・戸籍謄本 ・証人2名からの署名 ②スペイン人の必要書類 ・婚姻要件具備証明書(翻訳、アポスティーユ認証付き) ・出生証明書(翻訳、アポスティーユ認証付き) ・パスポート ・在留カード ※離婚歴がある場合は離婚判決文、離婚の記載がある出生証明書など(翻訳、アポスティーユ認証付き) |
手順3 スペインの婚姻手続 | 日本の婚姻手続が完了したら、婚姻届受理証明書を取得して、駐日スペイン大使館または総領事館でスペインの婚姻手続を行います。スペインの婚姻手続が終わると、家族手帳(LIBRO DE FAMILIA)が発行されます(必要書類提出後、約1~3か月) スペイン側の婚姻手続は以下の流れになります。 ①婚姻届の受理後、婚姻要件具備証明書と婚姻の記載のある戸籍謄本を取得 ↓ ②婚姻届受理証明書と戸籍謄本にスペイン語訳文を付けて、アポスティーユ認証の取得(日本国外務省) ↓ ③スペイン大使館、総領事館に、①の婚姻届受理証明書と戸籍謄本提出 |
3,先にスペインで結婚する場合はどうしますか?
スペインで婚姻する場合には、婚姻当事者の一方又は双方がスペインに居住していることが必要です。
申請先の機関(教会、市役所、裁判所、戸籍登録所)、地域により婚姻方法が異なる部分があります。以下では、戸籍登録所での婚姻手続について検討します。その他の機関の場合は、当該機関にお問い合わせください。
手順1 日本人の必要書類の取得 ↓ | 在スペイン日本国大使館又は領事館で、日本人の必要書類を取得します。また、以下の公的書類は日本国外務省によるアポスティーユ認証を受ける必要があります。 「取得書類」 ・戸籍謄本 ・再婚の場合は、過去の婚姻・離婚年月日が記された戸籍謄本 ・婚姻要件具備証明書 在スペイン日本国大使館で、戸籍謄本などの公的書類のスペイン語翻訳文について翻訳証明をもらいます(所要2~3週間)。大使館で翻訳自体は行っていません。 スペインの公式翻訳者に依頼する場合は、翻訳証明は必要ありません。 |
手順2 スペイン戸籍登録所に必要書類の提出 ↓ | 日本人の必要書類を取得したら、スペイン戸籍登録所に婚姻当事者2人で出頭して必要書類を提出します 「スペイン人の必要書類」 ・申請書(備え付け) ・出生証明書 ・独身証明書 ・過去2年間の住民票 ・DNI(身分証明書)とそのコピー ※証人1,2名のDNIとそのコピーも必要です。 「日本人の必要書類」 ・戸籍謄本(翻訳、アポスティーユ認証付き) 1通 ※離婚・死別歴がある場合は、その旨の記載が必要です。 ・過去2年間の住民票(翻訳、アポスティーユ認証付き) 1通 ・婚姻要件具備証明書(翻訳、アポスティーユ認証付き) 1通 ・パスポートとそのコピー ・婚姻告知不要証明書 1通 ※在スペイン日本大使館で発行しています。スペインの地域によっては結婚することを事前に第三者に対し告知する必要があります。しかし、日本においては告知の制度はありません。事前告知が不要である旨の証明するものです。 |
手順3 書類審査と面接 ↓ | 手順2の書類を提出すると審査が行われます。書類審査が終わると面接が行われます。 面接は即日行われることもあれば、待つこともあります。 |
手順4 婚姻届出と儀式 ↓ | 戸籍登録所が指定した日時に、婚姻届出と儀式とを行います。婚姻届出と儀式が終わると、スペインでの婚姻手続が完了します。婚姻証明書(Cdrtificado Literal de Matrimonio)は、即日発行されます。 |
手順5 日本の婚姻手続 | 婚姻成立日より3か月以内に、スペインの日本大使館または日本の市町村窓口で日本の婚姻手続を行います。 スペインの婚姻証明書を取得したら、婚姻証明書にはスペイン外務省の認証を得る必要があります。 「 必要書類」 ・婚姻届書(大使館備え付け) ※日本の本籍と婚姻後の本籍が同じ場合は2通、異なる場合は3通 ・戸籍謄(抄)本(日本人につき)2通 ・婚姻証明書(原本)の提示、同和訳分の提出 ※日本人の本籍と婚姻後の本籍が同じ場合は2通、異なる場合は3通 ・スペイン人のパスポートの提示、同翻訳文の提出 ※日本人の本籍と婚姻後の本籍が同じ場合は2通、異なる場合は3通 ・日本人のパスポート及び滞在許可証の提示 |
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |