学生時代に年金の未納がある場合でも永住申請できますか?
目次
1,永住申請の年金に関する要件はどうなっていますか?
(1)年金支払に関する要件
永住申請の許可要件の1つとして、「公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること」が要求されます。年金の支払い状況は、この公的義務を適正に履行しているかという観点から審査の対象となります。
「適正に履行していること」が要求されているので、年金の未納がないことはもちろんのこと、適正な時期に支払っていることが必要です。滞納がある場合は、後から年金を支払ったとしても、適正な時期に履行しているとは認められず不許可になります。
(2)年金支払に関する証明書類
年金を適正な時期に支払っていることの証明は、立証資料を提出して証明していきます。申請人及び申請人の扶養者の年金の納付状況を証明する書類として、下記の①②の書類を提出して証明していきます。
①直近2年間の年金の支払い状況が分かる資料 ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面 ※日本年金機構のホームページから、ねんきんネットに登録することができます。 |
②直近2年以内に国民年金に加入していた時期がある場合 国民年金保険料領収書(写し) |
2,学生時代でも国民年金を支払う必要がありますか?
国民年金は、日本人と外国人を問わず、20歳以上の者に加入を義務付けられています。よって、20歳以上であれ外国人留学生であっても加入が必要となります。
もっとも、学生の場合は学生納付特例制度が定められています。この制度は、学生の年金を収める経済余裕がないことに鑑みて、毎月の年金の支払いを猶予する制度です。よって、学生の場合は国民年金の猶予申請を行うことによって、合法的に支払いが猶予されます。
このように学生の場合は、猶予申請を行うことによって猶予が認められていますが、猶予申請を怠っている場合は年金未納となります。外国人の場合は、この学生納付特例制度を知らないため、猶予申請を行っていないケースが少なくありません。この場合は、当然、年金が未納という状況になります。
就職後の年金支払状況は、年金が給与から天引きされるため問題となることは少ないです。最寄りの年金事務所に相談すれば、自身の年金記録を確認することができます。学生時代の年金の支払状況は確認しておくことが望ましいと考えます。
3,学生時代に年金未納があった場合、永住申請に影響しますか?
(1)未納分の支払期限
年金の未納があった場合にが、支払期限から2年間は後から納付することができます。未納期間が2年経過すると、以後未納分を後から支払うことはできません。この場合は、もう後から支払うことはできないので、未納がある状態で申請するほかありません。
(2)学生時代の年金未納と永住申請
永住申請では、直近2年分の年金の支払い状況を証明する資料の提出が求められています。つまり、年金の支払状況に関し審査対象となるのは直近2年分です。
永住申請が可能となるためには、原則10年日本に在留している必要があります。そしてこの10年在留のうち直近5年間は、就労系の在留資格と持って日本に在留している必要があります。つまり、直近5年間は日本で働いている必要があります。よって、学生時代の年金支払状況は、直近2年の年金支払状況に含まれないことがほとんどです。
以上から、学生時代に年金の未納があっても永住申請することは可能です。学生時代の年金未納は、審査にほとんど影響しないと考えます。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |