カナダ人との国際結婚はどうすれば良いですか?

1,婚姻手続は日本とカナダの両国でする必要がありますか

 配偶者ビザは、日本国法及びカナダ婚姻法の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とカナダ人が国際結婚をする為には、日本国民法及びカナダ婚姻法のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。

 カナダの婚姻年齢は、男女ともに16歳以上と定めています。カナダの成年年齢は18歳以上と定められており、18歳未満で婚姻する場合は父母の同意が必要となります。16歳未満の結婚については、州によって異なりますが、妊娠している場合で医師の診断書がある場合は可能な州、裁判所の許可をもって可能とする州もあります。日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。よって、カナダ法に基づき婚姻した16歳以上のカナダ人であっても、18歳になるまでは日本国民法に基づく婚姻はできません。また、日本の民法は女性のみ再婚禁止期間(100日)を定めていますが、カナダ婚姻法は再婚禁止期間を定めていません。

 カナダではすべての州で同性婚が法制化されています。他方で、日本民法は同性婚を認めていません。よってカナダで婚姻した同性カップルであっても、日本では同性婚が認められていないため、配偶者ビザを取得することはできません。

 日本の婚姻手続とカナダ婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。カナダ人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。日本の婚姻手続を済ませることによって、両国の婚姻手続を済ませたことになります。逆に日本人がカナダに在住しているのであれば、先にカナダで婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。

2,先に日本で結婚する場合はどうしますか?

先に日本で婚姻手続を行う場合は、以下のような流れになります。カナダの場合は、日本で婚姻が有効に成立した場合は、カナダでも有効な婚姻と見なされます。駐日カナダ大使館は結婚報告を受け取っていません。配偶者ビザ申請時の婚姻証明は、戸籍謄本と住民票で行います。

手順1
カナダ国内で必要書類の取得
まずは、カナダ国内でカナダ大使館や日本の市区町村役場で提出する必要のある必要書類を取得します。取得した書類にはアポスティーユ認証(カナダ外務省の認証)を受けてください。
「収集書類」
・出生証明書
・パスポートのコピーの認証
・離婚証明書(離婚している場合)
・配偶者の死亡証明書(死別の場合)
手順2
駐日カナダ大使館で宣誓陳述書の取得
駐日カナダ大使館は婚姻要件具備証明書(独身証明書)を発効していません。その代わり、カナダ人の婚姻を妨げない旨の宣誓書を作成しています。よって、駐日カナダ大使館で「海外での結婚を妨げない証明書」を取得してください。 下記の書類を提出し、大使館で婚姻を妨げない旨の宣誓を行います。この宣誓が終わったら、陳述書が発行されます。
「必要書類」
・申請書(署名は宣誓時)
・出生証明書
・パスポート
・配偶者の死亡証明書の認証コピー(死別)
・離婚証明書の謄本(離婚)
手順3
日本の婚姻手続
駐日カナダ大使館で必要書類を取得したら、日本の市区町村役場で婚姻届を行います。
「必要書類」
・婚姻届
・日本人の戸籍謄本
・日本人の本人確認書類
・カナダ人のパスポート
・カナダ人の在留カード
・宣誓陳述書(カナダ大使館)
・カナダ人の出生証明書(カナダ外務省の認証付き)
・各種証明書の日本語訳

3,先にカナダで結婚する場合はどうしますか?

 カナダで先に婚姻手続を行う場合は、州によって異なる部分もありますが、おおむね以下のような手順となります。在カナダ日本国大使館経由の場合、1か月から2か月後に戸籍に婚姻事実が記載されます。区役所に提出した場合は、受理後1週間前後で記録されます。

手順1
日本人の必要書類の収集
在カナダ日本国大使館または総領事館で、日本人の婚姻要件具備証明書を取得します。大使館で婚姻要件具備証明書を取得した場合は英文で発行されます。日本の法務局で婚姻要件具備証明書を取得した場合は、アポスティーユ認証(日本国外務省の認証)を受けてください。
「必要書類」
・申請書
・戸籍謄本
・パスポート
・出生証明書(元外国人の場合)
手順2
マリッジライセンスの取得
 カナダの役場で婚姻許可証(マリッジライセンス)を取得します。取得に必要な時間は州によって異なります。即日発行される州もあれば、ケベック州のように20日間の公示期間を過ぎないと発行されない州もあります。
 マリッジライセンスの有効期限は3か月です。マリッジライセンスが発行されて3か月以内に結婚式を行う必要があります。
手順3
カナダで結婚式
 カナダでは結婚式が婚姻手続の1つです。マリッジライセンスを取得後、結婚式を挙行します。結婚式の日程や場所を調整した後、マリッジ・コミッショナーと呼ばれる式の主催者を探し予約します。また、マリッジ・コミッショナーのほかに2名の証人が必要です。結婚式の挙行時に宣誓や婚姻証明書にサインを行います。
 結婚式が終了したら、役所に登録されて婚姻手続が完了します。手続き完了後に婚姻証明書が発行されます。
手順4
日本の婚姻手続
 カナダの婚姻手続が完了したら、在カナダ日本国大使館または総領事館、日本の市区町村役場で婚姻手続を行います。
「必要書類」
・婚姻届3通
・日本人の戸籍謄本2部
・日本人のパスポート
・カナダ人のパスポートの原本とコピー(婚姻前より有効なもの)
・カナダ人の出生証明書原本とコピー(パスポートのどちらかを提出)
・カナダ人の婚姻証明書の原本とコピー
・各種証明書の日本語訳
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法