経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)更新申請の必要書類は何ですか?
目次
1,経営管理ビザ更新では、何を審査されますか?
経営管理ビザは、在留期間の更新が認められています。更新許可申請は、在留期限の3か月前から申請することが可能です。更新許可申請では、申請すれば当然に更新が許可されるわけではありません。更新申請では、在留状況に関して問題がないか審査され、更新許可要件を充足していると判断されれば許可されます。経営管理ビザの更新の際には、以下の点について審査されます。
・活動内容が在留資格と相違ないか ・日本に入国する際の基準に適合しているか ・素行に問題がないか ・生計を営むことができる資産、または、技能を持っているか ・雇用条件や労働条件が労働関係法規に適合しているか ・納税義務を履行しているか ・入管法に定められた届出等の義務を履行しているか |
2,経営管理ビザ更新許可申請の必要書類は何ですか?
更新許可申請にあたっては、上記1の審査項目について判断する必要がある書類の提出が求められます。また、申請人は必要書類を提出することによって、自身が更新許可要件を充足していることを証明していく必要があります。以下、経営管理ビザ更新に必要な書類について検討します。
(1)全てのカテゴリーに共通する更新の必要書類
①在留期間更新許可申請書 在留期間更新許可申請書は、地方出入国在留管理官署に用紙があります。また、出入国在留管理庁のホームページから様式をダウンロードすることができます。 |
②証明写真 ・サイズは縦4cm、横3cm ・申請日の前、3か月以内に撮影されたもの ・無帽 、無背景 ・鮮明に撮影されたもの ・裏面に氏名を記載する |
③パスポート及び在留カード パスポート及び在留カードの提示が必要となります。申請者以外の人が書類を提出する場合であっても、提示が必要になります。 |
(2)各カテゴリーごとの更新の必要書類
出入国在留管理庁は、企業規模などに応じて企業をカテゴリー分けしています。申請人が所属する機関のカテゴリーによって、申請に必要な書類は異なってきます。以下では、各カテゴリーごとに必要書類を検討します。
カテゴリー1 | カテゴリー1は、下記のいずれかに該当する機関です。 ・日本の証券取引所に上場している企業 ・保険業を営む相互会社 ・外国の国、または、地方公共団体 ・日本の国・地方公共団体認可の公益法人 ・高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業) ・一定の条件を満たす企業等 |
必要書類 | ・四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し) ・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し) ・補助金交付決定通知書の写しなど、高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業であることを証明する文書 ・認定証等の写しなど、一定の条件を満たす企業等であることを証明する文書 |
カテゴリー2 | カテゴリー2は、下記のいずれかに該当する機関です。 ・前年分の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収額が1,000万円以上ある団体・個人 ・在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関 |
必要書類 | ・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) ・利用申出に係る承認のお知らせメールなど、在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書 |
カテゴリー3 | カテゴリー3は、カテゴリー2を除く前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人に該当する機関です。 |
必要書類 | ・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) ・直近の年度の決算文書の写し ・1年間の総所得及び納税状況が記載された住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書 |
カテゴリー4 | カテゴリー4は、他のカテゴリーに該当しない団体・個人の機関です。 |
必要書類 | ・直近の年度の決算文書の写し ・1年間の総所得及び納税状況が記載された住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書 ・外国法人の源泉聴取に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 |
なお、審査の過程で追加資料を要求されることもあります。この場合は、許可要件を満たしているか判断するために必要という観点から要求されています。期限までに必ず提出してください。また、上記書類以外にも提出したほうが良い書類もあります。審査に有利に働く資料は提出してください。
3,在留期間更新許可申請書の記載項目は何ですか?
在留期間更新許可申請書には、記入する必要がある用紙が下記の3枚あります。以下では各々の記載項目について確認します。
・申請人等作成用1 ・申請人等作成用2 ・所属機関作成用1 |
書類作成にあたって、申請者の署名が必要なところは自書する必要があります。代筆は認められていません。
(1)申請人等作成用1
国籍・地域 | パスポートの国名 |
生年月日 | 西暦で記入 |
氏名 | パスポートの通りに記入 |
性別 | 該当に丸をつける |
出生地 | パスポートに記載されていれば、記載されている地名を記入 |
配偶者の有無 | 該当に丸を付ける |
職業 | 現在の職業を記入 |
本国における居住地 | 申請者の本国での住所を記入 |
住所地 | 日本での住所を記入 住民票などで確認し、正確に書く 電話番号の欄には番号の記入をする |
旅券(パスポート) | パスポートナンバーと有効期限を記入 |
現に有する在留資格、在留期間 | 申請者の現在所持している在留資格を記入 在留カードを確認し、在留期間を記入 |
在留期間の満了日 | 在留期間の満了日を記入 |
在留カード番号 | 在留カードに置かれている番号を記入 |
希望する在留期間 | 希望する在留期間を記入 |
更新の理由 | 更新する理由を記入 |
犯罪を理由とする処分を受けたことの有無 | 犯罪を犯し、処分を受けたことがあるか記入 ※日本国外のものも含む ※交通違反等の処分も含む |
在日親族(父・母・配偶者・子・兄弟姉妹など)及び同居人 | 家族や同居人がいない場合は「無」に丸をつける 家族や同居人がいる場合は「有」に丸をつけ「続柄、氏名、生年月日、国籍・地域、同居の有無、勤務先・通学先名称、在留カード番号若しくは特別永住者証明書番号」を記入 |
(2)申請人等作成用2
勤務先 | 勤務先の名称、所在地、電話番号を記入 |
最終学歴 | 該当するものにチェックを入れ、学校名と卒業年月日を記入 |
専攻・専門分野 | 該当するものにチェックを入れる |
事業の経営又は管理についての実務経験年数 | 実務経験の年数を記入 |
職歴 | なるべく正確に記入する |
代理人 記入欄 | 申請者が書類の申請を行う場合は、空欄にしておいておく 代理人が申請を行う場合は記入が必要 |
(3)所属機関作成用1
経営を行い又は管理に従事する外国人の氏名及び在留カード番号 | 氏名と在留カード番号を記入 |
勤務先 | 名称、法人番号、支店・事業所名、業種、所在地、資本金、法人税納付額、常勤従業員数を記入 雇用保険適用事業所番号(11桁)は、非該当事業所は記入省略 |
職種 | 別紙「職種一覧」より選択し、記入する |
活動内容詳細 | 活動内容の詳細を記入 |
就労予定期間 | 該当する方にチェックを入れる ※申請者が管理者の場合のみ |
給与・報酬(税引き前の支払額) | 金額を記入し、該当する方にチェックを入れる |
職務上の地位(役職名) | 役職名を記入 |
事業所の状況 | 面積を記入し、該当する方にチェックを入れる |
4,経営管理ビザ更新は、どんな手順で進みますか?
経営管理ビザの更新許可申請は、以下のような流れで進んでいきます。更新許可申請は、在留期限の3か月前から申請することができますので、余裕を持って申請してください。
手順1 必要書類の収集と作成 ↓ | 上記2で検討した必要書類を収集し作成します。収集した証明書類と整合するように記載してください。 |
手順2 在留期間更新許可申請 ↓ | 手順1で収集し作成した必要書類を、地方出入国在留管理官署に提出して、在留期間更新許可申請を行います。 |
手順3 審査期間 ↓ | 経営管理ビザの更新許可申請の審査は厳格です。認定証明書交付申請の審査と同程度に厳しいので注意してください。認定証明書交付申請の際に提出した事業計画書と比較して、現状が事業計画書通りに運営されているのか確認されます。 なお、審査に必要な期間は1か月程度です。 |
手順4 結果通知 | 審査の結果はハガキで通知されます。 許可の場合は、通知ハガキと在留カード、パスポートを持って地方出入国在留管理局へ出頭してください。 不許可の場合は、不許可理由を聞き取ることができます。不許可理由を聞取り、再申請への準備をしてください。 |
5,経営管理ビザ更新審査で重要視される点は何ですか?
経営管理ビザ更新申請では、許可不許可について審査されます。そして、経営管理ビザの更新審査では、経営している会社や事業の継続性が認められるか否かについて審査されます。この会社や事業の継続性は、経営管理ビザの更新の許可不許可に大きく影響していきます。
(1)事業の継続性が認められる例
黒字決算 | 黒字決算の場合は、利益があり経営が順調と判断されます。よって、事業の継続性が認められます。 |
欠損金が0 | 前期が黒字決算だったが今期は赤字という場合でも欠損金が0の場合、つまり今期と前期合わせてプラスや0の場合は、事業の継続性ありと判断されます。 |
(2)事業の継続性が否定される例
経営者の長期出国 | 経営者が長期出国している場合は、日本での経営が適切に行われているのか疑義が生じます。また、ビザの必要性についても疑義が生じます。 |
2期にわたる売上総利益がない場合 | 売上総利益とは、売上利益から原価を引いた金額のことです。赤字が2期続く場合は、経営状況の改善が無かったとみなされ、不許可になる可能性が高くなります。 |
債務超過 | 債務超過とは、負債の総額が資産の総額を上回っている状態です。つまり、資産をすべて返済に当てても、返済できない状態です。 |
欠損金がある | 今期は黒字であっても欠損金がある場合、つまり前期の赤字と合わせてマイナスの場合は、事業の継続性に疑義が生じやすくなります。 |
6、経営管理ビザを更新するために必要な点は何ですか?
(1)安定した売り上げの確保
上記5で検討した通り、経営管理ビザの更新審査では事業の継続性が認められるか否かが重視されます。事業の継続性が認められる為には、安定した売り上げを確保する必要があります。2期以上の赤字決算が続いたり、債務超過の状態に陥った場合は、事業の継続性が認められなくなり更新が不許可となる危険性が高まります。直近3期以上黒字が続いている場合は、事業の継続性が認められます。この場合は、更新で認められる経営管理ビザの在留期間は長くなる傾向にあります。
(2)中長期的な事業計画
事業の継続性が重視される経営管理ビザの審査では、中長期的な事業計画を示す必要があります。中長期的な事業計画を作成し、事業の継続性について説得力ある説明をすることが重要です。事業の継続性が認められた場合は、認められる在留期間が長くなっていきます。在留期間3年以上の在留資格を取得すれば、永住申請も可能になります。永住者の在留資格を取得すると、在留期間の更新が不必要になります。つまり、経営管理ビザの更新がなくなるので、赤字の場合でも在留に関する心配がなくなります。また永住者は就労制限がありません。よって、赤字の場合でもビザの心配をすることなく経営を継続することが可能になります。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |