ドイツ人との国際結婚はどうすれば良いですか?

1,婚姻手続は日本とドイツの両国でする必要がありますか?

 配偶者ビザは、日本国法及びドイツ民法典の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とドイツ人が国際結婚をする為には、日本国民法及びドイツ民法典のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。

 ドイツの婚姻年齢はドイツ民法典によって定められています。ドイツ民法典は男女ともに18歳以上と婚姻年齢を定めています。日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。また、日本の民法は女性のみ再婚禁止期間(100日)を定めていますが、ドイツ民法典は再婚禁止期間を廃止しています。

 ドイツでは、「生活パートナーシップ制度」が認められていますが、これは同性カップルに法的権利を認めるために導入された制度です。もっとも、日本の配偶者ビザ申請との関係では、事実婚の場合は許可が下りません。また、日本民法は同性婚を認めていません。よって、本稿では法律婚を前提に検討していくこととします。

 日本の婚姻手続とドイツ婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。ドイツ人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。日本の婚姻手続を済ませることによって、両国の婚姻手続を済ませたことになります。逆に日本人がドイツに在住しているのであれば、先にドイツで婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。

2,先に日本で結婚する場合はどうしますか?

 先に日本で婚姻手続を行う場合は、以下のような流れになります。ドイツの場合は、日本で婚姻が有効に成立した場合は、ドイツでも有効な婚姻と見なされます。しかし、ドイツの婚姻登記簿に登録されるためには、ドイツに届け出る必要があります。

①ドイツ人の婚姻要件具備証明書および出生証明書の取得 ↓ まずは、駐日ドイツ連邦共和国大使館でドイツ人の「婚姻要件具備証明書」と「出生証明書」を取得します。ドイツ書類の場合は、アポスティーユ認証(ドイツ外務省の認証)が必要になります。ドイツ大使館で必要書類を申請する際に、アポスティーユが必要である旨を申し出てください。
 なお、婚姻当事者のどちらかに、ドイツ以外の国での離婚歴がある場合、婚姻要件具備証明書の取得の際に、外国における離婚の承諾申請書の提出を要求されます。また、裁判もしくは調停による離婚成立の場合は、判決文の提出が必要となります。
「収集書類」
・婚姻要件具備証明書
・出生証明書
②日本の婚姻手続 ↓ 駐日ドイツ連邦共和国大使館で必要書類を取得したら、日本の市区町村役場で婚姻届を行います。
「必要書類」
・婚姻届
・日本人の戸籍謄本
・ドイツ人の出生証明書(日本語翻訳文付き)
・ドイツ人の婚姻要件具備証明書(日本語翻訳文付き)
・ドイツ人のパスポート
③駐日ドイツ連邦共和国大使館への届出 日本で婚姻が有効に成立した場合は、ドイツでも有効な婚姻と見なされます。しかし、自動的にドイツの婚姻登記簿に登録されるわけではなく、登録のためには、届けが必要です。 届けは、駐日ドイツ連邦共和国大使館又は領事館で行うことができます。なお、離婚後でも過去の婚姻登録を行うこともできます。日本の公的書類を提出する場合は、日本国外務省によるアポスティーユ認証を受けている必要があります。 また、再婚の場合は離婚に関する証明資料も必要になります。
「必要書類」
・婚姻登記簿登録申請書
・日本人の戸籍謄本(日本国外務省のアポスティーユを受けたもの)
・婚姻当事者2人のパスポート
・ドイツ人の出生証明書 「再婚の場合の必要書類」
・以前の婚姻についての婚姻証明書(Heiratsurkunde)(日本国籍者が日本国内で婚姻した場合は戸籍謄本)
・以前の配偶者の死亡証明書(日本国籍者の場合は戸籍謄本)
・裁判の判決文など、以前の婚姻を解消した証明(日本国籍者の協議離婚の場合は戸籍謄本)、場合によってはドイツの州司法庁による離婚の承認

3,先にドイツで結婚する場合はどうしますか?

 ドイツで先に婚姻手続を行う場合は以下のような流れとなります。

①日本人の必要書類の収集 ↓在独日本国大使館又は領事館で、日本人の必要書類を取得します。また、以下の公的書類は日本国外務省によるアポスティーユ認証を受ける必要があります。
「取得書類」
・戸籍謄本
・再婚の場合は、過去の婚姻、離婚年月日が記された戸籍謄本
・婚姻要件具備証明書
②ドイツの婚姻手続 ↓ドイツ国内の管轄戸籍役場(Standesamt)で婚姻手続を行います。必要書類を提出した後に、その後日時を決めて、婚姻当事者2人一緒に、戸籍役場に出頭します。日本の公的書類には、すべて日本国外務省によるアポスティーユ認証を受けてください。
「必要書類」
・戸籍謄本(ドイツ語翻訳文付き)
・再婚の場合は、過去の婚姻
・離婚年月日が記された戸籍謄本(ドイツ語翻訳文付き)
・婚姻要件具備証明書(ドイツ語翻訳文付き)
・ドイツ人の出生証明書 ・婚姻当事者のパスポート
③日本の婚姻手続 在独日本国大使館又は領事館、日本の市区町村役場で日本の婚姻手続を行います。
「必要書類」
・婚姻届
・日本人の戸籍謄本
・ドイツ人の婚姻証明書(Heiratsukunde)(日本語翻訳文付き)
・ドイツ人のパスポート
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法