年金に未納・滞納がある場合でも配偶者ビザ申請できますか?
1,年金の未納滞納は、配偶者ビザ申請に影響しますか?
配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の許可要件としては、婚姻の信ぴょう性や生計要件、素行善良要件が挙げられます。これらの許可要件は、証明書類を提出して立証していきます。
配偶者ビザ申請に必要とされる書類は、下記の表の通りです。下記の必要書類では、課税証明書や納税証明書の提出が求められていますが、ねんきん定期便のような年金の支払状況に関する資料は要求されていません。課税証明書は年収が記載されているため、生計要件を満たしているか判断するための資料として求められています。年金に関する資料が必要とされていないことは、配偶者ビザの許可要件を満たしているかに関し、年金の支払い状況は考慮されていないと考えられます。このように、年金の支払い状況に関する資料の提出は必要ありませんが、年金を滞納し差し押さえを受けているといった状況では、配偶者ビザ申請に不利益に働く可能性は否めません。この場合には不許可とされているケースもあります。
なお、下記2,3で説明する通り、永住申請や帰化申請では年金の支払い状況は審査対象となります。日本人と結婚し配偶者ビザを取得するする外国人の多くは、永住申請や帰化申請を考えていきます。よって、配偶者ビザ取得後に永住申請や帰化申請を考えている場合は、年金の支払は気を付けていく必要があります。
「配偶者ビザ申請必要書類」 |
1,在留資格認定証明書交付申請書 1通 2,写真(縦4cm×横3cm) 1葉 3,配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通 4,申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通 5,日本での滞在費用を証明する資料 (1)申請人の滞在費用を支弁する方の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通 (2)その他 ア、貯金通帳の写し 適宜 イ、雇用予定証明書又は採用内定通知書(日本の会社発行のもの) 適宜 ウ、上記に準ずるもの 適宜 6,配偶者(日本人)の身元保証書 1通 7,配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通 8,質問書 1通 9,スナップ写真(夫婦で写っており、容姿がはっきり確認できるもの。アプリ加工したものは不可) 2~3葉 10,返信用封筒(定型封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの 1通 11,その他 (1)身元保証人の印鑑 (2)身分を証する文書等 提示 |
2,年金の未納滞納は、永住申請に影響しますか?
日本人の外国籍配偶者が永住申請する場合は、原則して10年以上日本に在留していなければならないとする住居要件が、3年以上の婚姻生活かつ1年以上の日本在留と緩和されています。また、永住申請するためには、在留期間3年以上が付与された在留資格を保有している必要があります。したがって、配偶者ビザで日本に在留している外国人の多くは、在留期間3年のビザが出ると永住申請を考えます。
配偶者ビザを申請した場合に、初めに付与される在留期間は通常1年です。在留期限が到来したら配偶者ビザを更新し、在留状況に問題がない場合は1年→1年→3年と付与される在留期間が延びていきます。このように、配偶者ビザには更新が必要です。しかし、在留資格「永住者」には在留期限がないため更新を必要としていません。このように永住者ビザは非常に強力な在留資格です。
永住申請の審査では、年金の支払い状況が審査の対象となります。下記の表の通り、永住申請には年金の支払い状況に関する資料が、必要書類とされています。年金の支払に未納がないことはもちろんのこと、適切な時期に支払いをしていること、つまり滞納がないことも要求されます。年金の未納滞納があった場合永住申請は不許可となります。永住申請の審査は非常に厳しく、公的な義務を履行しているか否かについては厳格に審査されます。
「永住申請で要求される年金に関する資料」 |
申請人又は申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料 (1)直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料 次のア~ウのうち、ア又はイの資料及びウの資料を提出してください。 ア、「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの) イ、ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面 ウ、国民年金保険料領収書(写し) |
3,年金の未納滞納は帰化申請に影響しますか?
日本人と結婚して日本で生活をはじめ、子供が生まれ、子供は日本国籍となり、日本で家族と共に長年生活している外国人は帰化申請を考えることが少なくありません。この帰化申請でも年金の支払い状況に関し、永住申請の場合と同様に審査の対象となります。年金に関する必要書類や年金の未納滞納があった場合は不許可になってしまう点は永住申請と同様であるため、ここでは割愛します。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |