転職や退職した場合、就労ビザの外国人が行う手続きは何ですか?
目次
1,転職や退職した場合に外国人が行わなければならない手続きは何ですか?
就労ビザで在留している外国人が転職や退職した場合は、必要な手続きがあります。法律上義務付けられている手続きを怠ると、在留期間更新申請や在留資格変更申請の際に不利益に働きます。最悪の場合は、在留資格を喪失することになりかねません。将来、永住申請や帰化申請を考えている場合は、これらの申請の際にも不利益に働きます。したがって、法律上必要とされている手続きには気を付ける必要があります。
(1)契約機関に関する届出
就労ビザを持つ外国人が転職や退職し契約機関が変わった場合は、「契約機関に関する届出」を行う必要があります。「契約機関に関する届出」は必ず行わなければならない手続きです。退職した日から14日以内に行う必要があります。
契約機関に関する届出は、勤務先の名称や住所地が変更した場合、勤務先が廃業した場合、勤務先が変わった場合にも必要となる手続きです。届出は下記の「届出方法」①~③の方法によって届け出ることができます。
「届出方法」 |
①インターネットによる届出 出入国在留管理庁電子届出システムを利用します。 24時間365日行うことが可能です。 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00015.html |
②窓口に持参しお近くの出入国在留管理官署で、在留カードを提示した上で、届出書を提出する方法 届出書は出入国在留管理庁のHPからダウンロードできます。 |
③届出書と在留カードのコピーを郵送 (郵送先) 〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目6番1号四谷タワー14階 東京出入国在留管理局在留管理情報部門届出受付担当 |
(2)失業保険の手続
離職日以前の2年間の間に12か月以上雇用保険に加入していた場合、外国人も失業保険を受け取ることができます。ハローワークで手続してください。
2,転職する場合の注意点は何ですか?
勤務先を退職した場合、直ちに就労ビザが取り消されることはありません。しかし、就労ビザは日本で就労することを目的としたビザです。よって、就労していない状態が3か月以上続いた場合は、就労ビザの取消の対象となります。また、就職活動をしていても、在留期限が到来した場合は、在留期間更新申請はできません。この場合は、出国しなければいけません。
(1)転職期間中のアルバイトの可否
就労ビザは、各就労ビザによって就労が認められている業種や職種が限られています。よって、原則として転職期間中はアルバイトすることはできません。
例外として、退職が会社都合の場合は、「資格外活動許可」を申請することができます。資格外活動許可を取得した場合は週28時以内のアルバイトをすることが認められます。
(2)就労資格証明書
転職した場合は「就労資格証明書」を取得することが好ましいと考えます。就労資格証明書とは、転職した勤務先で行う業務が保有している就労ビザで許容された範囲であり、就労することができることを証明するものです。就労資格証明書を取得した場合は、転職先で就労できることが証明されているので、転職後の在留期間更新申請が容易になります。また、転職先の企業側も不法就労とならないと判断でき、転職がスムーズに進みます。
(3)契約機関に関する届出
「契約機関に関する届出」は退職するときに提出していますが、転職先が決まった場合にも再度届出を行う必要があります。転職の際の届出も、転職後14日以内に行う必要があります。
(4)在留資格変更許可申請
転職先で行う業務が、現在保有の就労ビザで許容される範囲外の場合は、適切な就労ビザに在留資格変更許可申請をする必要があります。ビザの種類を変更せずに、保有している就労ビザで許容されていない業務を行った場合は、不法就労となります。
3,退職後帰国する場合の注意点は何ですか?
外国人が退職後帰国する場合は、日本出国後2年以内であれば、厚生年金の「脱退一時金」を請求することができます。脱退一時金を請求するためには厚生年金に6か月以上加入していたことが条件となります。脱退一時金とは、外国人が帰国した場合は日本で老齢年金を受け取ることができないので、保険料の掛け捨てとならないよう、厚生年金保険の加入期間に応じて支払われる一時金のことです。
この脱退一時金の手続きは、外国人本人が行うもので、企業側が行う手続きではありません。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |