技能ビザ(在留資格「技能」)は、スポーツ指導者でも取れますか?
目次
1,技能ビザとは、どんなビザですか?
技能ビザとは、在留資格「技能」のことで、外国人が産業上特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動を行うことを認めています。日本社会の国際化の進展に対応するため、技能ビザは熟練技能労働者を外国から受入れることを目的としています。スポーツ指導者はこの熟練技能労働者に含まれ、技能ビザの対象となります。
2,技能ビザとの関係でスポーツの定義は何ですか?
技能ビザとの関係では、スポーツとは心身の健全な発達、健康及び体力の保持推進、精神的な充実感の獲得、自立心その他の精神の養成のたに個人または集団で行われる運動競技その他の身体活動と定義されます。スポーツの概念は、競技スポーツと生涯スポーツの二つに分けられますが、技能ビザとの関係では、どちらも含まれます。
3,スポーツ指導者と認められる要件は何ですか?
技能ビザとの関係でスポーツ指導者と認められるためには、外国人は下記の(1)又は(2)のいずれの要件を充足する必要があります。
(1)スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む)を有するもの。
技能ビザを取得するためには、申請人はスポーツの指導に係る技能について従事していた期間が3年以上必要になります。「報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間」とは、報酬(賞金を含む)を得てプロスポーツ選手としてプロスポーツ競技団体に所属していた外国人が該当します。
3年以上の実務経験を有するとみとめられるためには、学校や企業等に雇用され、仕事としてスポーツの指導者として指導を行っていたことが認められる必要があります。指導する生徒が10人以上いるなど、一定以上の規模が認められるスポーツ指導を日々行っているような活動である必要があります。地域の子供を集めてボランティアや趣味などでスポーツ指導を行っていたような場合は、実務経験として考慮することはできません。
(2)スポーツ選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことのある外国人で、当該スポーツの指導に係る技能を要する従事するもの
オリンピックや世界選手権に出場経験のある外国人は、それだけで技能ビザの要件を充足します。「その他の国際的な競技大会」とは、地域または大陸規模の総合大会(ヨーロッパ大会など)や競技別の地域または大陸規模の競技会(チャンピオンズリーグなど)が該当します。もっとも、二国間や特定国間の親善試合は含まれません。
4,技能ビザ(スポーツ指導者)の許可要件は何ですか?
(1)許可要件
スポーツ指導者で技能ビザを取得するためには、以下の許可要件を充足する必要があります。以下の許可要件を満たしていることの立証責任は、申請者側にあります。
「許可要件」 |
①外国人が指導していた種目を日本でも指導すること ②本邦の機関(会社など)と雇用契約を結ぶこと ③会社の経営状態に安定継続性が認められること ④申請人に技能と日本で従事する業務内容との間に関連性が認められること ⑤同種の業務に従事する日本人従業員と同等以上の報酬を受けること ⑥素行が善良であること |
(2)スポーツ指導者の立証方法
外国人がスポーツ指導者として認められるためには、上記3で検討した、①スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験を有すること、②スポーツ選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことのあることを証明する必要があります。
①の証明方法としては、スポーツ選手として活動していた場合は活動状況が分かる書類、企業に雇用されていた場合は職務経歴書(勤務先の印鑑の押印があるもの)や在職証明(勤務先の印鑑の押印があるもの)を提出して立証します。②の場合は出場した大会の選手名簿、出場登録票、メダルや賞状の写しを提出して証明します。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |