永住権取得には、どんなメリットがありますか?

1,永住権取得のメッリトは何でしょうか?

 永住権は、失効や取り消しを受けない限り、生涯日本で生活していくことができます。これ以外にも、永住権取得には、いくつかメリットがあります。以下では、永住権取得のメリットについて検討します。

2,ビザ(在留資格)の更新申請や変更申請に行く必要がなくなる

 永住権を取得すると、ビザの更新申請のために入管に行く必要がなくなります。永住権の取消や失効しない限り、永住権は生涯日本で生活することが認められている在留資格です。

 外国人が日本に在留する場合には、何らかの在留資格を保有している必要があります。永住権以外の在留資格には在留期限が付されています。この期限が到来した場合には、在留期間更新許可申請を行わなければなりません。この更新申請を怠った場合は、保持しているビザは失効し、不法滞在となってしまいます。永住権には在留期限が付されていないので、このような心配はなくなります。

 また、各在留資格には、外国人に認められた活動内容に限界があります。保有する在留資格で認められた活動内容の範囲外の活動を行うようになった場合には、活動内容に該当する在留資格に変更する必要があります。活動制限のない配偶者ビザの場合でも、日本人の配偶者と離婚や死別した場合は、妥当なビザに変更する必要があります。永住権の場合は活動制限がなく、永住者個々人の身分に基づくものであるため変更申請をする必要がなくなります。

3,就労制限がなくなる

 就労ビザの場合は、各在留資格によって認められた職種や業種で就労することが認められます。このように、就労ビザの場合は、当該ビザで認められる活動に制限があります。転職した場合は、届出が必要になります。

 これに対し、永住権の場合は就労制限がありません(違法行為をしない限り)。永住権を取得した場合は、在留資格をまたがる転職をした場合でも、ビザを変更する必要はありません。ビザの種類で許容された活動内容に関わりなく、就労することができます。なお、このような就労制限のない他のビザには、配偶者ビザや定住者ビザがあります。

4,社会的信用が上昇する

 永住権を取得する為には、一般的に日本に「継続して10年以上」在留している必要があります。また、その他にも、生計要件や素行善良要件というものもあります。永住権を取得したということは、10年以上という長期間日本で生活し、収入も安定し、公租公課を支払い、素行面での問題を起こしてこなかった、という事です。永住権を取得したという事は、上記の証明にもなります。

 多くの金融機関は、外国人が住宅ローンを組む場合の条件として「永住許可を受けていること」を求めています。永住者以外の外国人が、日本の金融機関でローンを組む場合は、日本国籍をもつ配偶者を連帯保証人にすることなど、条件が厳しくなるのが一般的です。

5,国籍の変更がない

 永住権は帰化と異なり、国籍の変更はありません。帰化の場合は、母国の国籍は失うことになります。日本の国籍法は二重国籍を認めていません。したがって、帰化によって日本国籍を取得した場合は、母国の国籍を喪失する必要が生じてきます。永住権の場合は、母国の国籍を失うことなく、日本に永続的に生活していくことが認められます。よって、日本と母国の双方で、永続的に生活することができるようになります。帰化した場合は日本人となり、母国の国籍を喪失することになるので、母国では外国人となってしまいます。よって、母国で生活するためには、母国のビザを取得する必要が生じてきます。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法