芸術ビザとは、どんなビザですか?

1,芸術ビザとは、何ですか?

 芸術ビザとは、在留資格「芸術」のことで、就労ビザの1つです。芸術ビザでは、外国人アーティストが収入を伴う芸術上の活動を、日本で行うことが認められます。芸術ビザは、芸術分野の国際交流を促進し、日本でその各分野の向上・発展を促進することを目的としています。

 芸術ビザが認められるためには、芸術活動のみでの収入によって、日本で安定した生計を維持することができること、が必要となります。また、申請人は展覧会での受賞歴や芸術活動の指導者として相当程度の経歴がある者、である必要があります。しかし、芸術上の実績は要求されますが、学歴要件や実務経験数年といった要件は課されていません。したがって、申請においては、申請人の過去の芸術上の実績を証する資料や生計を維持できることの証明が重要となってきます。

 芸術ビザでは、3月、1年、3年、5年の在留期間が付与されます。

2,芸術ビザを取得できる職業は何ですか?

 入管法では芸術ビザの活動に関し「収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動(在留資格「興行」に係るものを除く。)」と規定しています。具体的には、芸術ビザは、下記の芸術上の活動を行う外国人に認められます。

①作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、著述家、写真家等の芸術家など、芸術上の活動について創作活動を行う者

②音楽、美術、文学、写真、演劇、舞踏、映画、その他の芸術上の活動について指導を行う者

注)

・興行の形態で行われる芸術上の活動(芸能等を公衆に見せて収入を得る活動)は芸術ビザに該当しません。この場合は「興行」ビザに該当します。

・収入を伴わない芸術上の活動は「文化活動」ビザに該当します。

・大学その他教育機関において芸術上の「研究の指導又は教育を行う活動」は「教授」ビザ又は「教育」ビザに該当します。

3,芸術ビザの許可要件は何ですか?

 芸術ビザの取得の為には、下記の2つの許可要件を充足する必要があります。

①芸術活動で得られる収入によって、安定した生計を維持できること

 生計要件が求められる趣旨は、公共の負担にならないという点に求められます。具体的に年収何百万円と要求されているわけではありませんが、著しく年収が低い場合(生活保護水準に近い収入)は不許可の危険性が高まります。また、生計要件の審査では、家賃や食費といった生活費のみならず、芸術活動に必要とされる経費も考慮されます。よって生活費のみならず、芸術活動上の経費もまかなえる収入を得ている必要があります。

②過去の芸術活動の実績

 芸術ビザは、許可要件として学歴要件や実務経験要件は要求されていません。しかし、申請人の過去の芸術上の活動に関する実績が要求されます。これまでの芸術活動の経歴に関しては、厳しく審査されます。各芸術分野において受賞歴などがあれば、当然有利に働きます。少なくても、これまでの創作活動の写真や指導実績を証する資料は必要となってきます。

4,芸術ビザ申請の必要書類はなんですか?

在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せ)

 ①在留資格認定証明書交付申請書 1通

 ②証明写真(縦4㎝×横3㎝) 1葉

 ③パスポートのコピー

 ④返信用封筒(簡易書留用) 1通

  返信先住所を明記し、404円分の切手貼付したもの

 ⑤申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料

  A,会社などとの契約に基づいて活動を行う場合  

   活動の内容、期間、地位及び報酬を証明する文書 1通

  B,会社などとの契約に基づかないで活動を行う場合

   申請人が作成する具体的な活動の内容、期間及び行おうとする活動から生じる収入の見込額を記載した文書

 ⑥芸術活動上の業績を明らかにする資料

  A,芸術上の活動歴を詳細に記載した履歴書 1通

  B,次のいずれかで、芸術活動上の業績を明らかにすることのできるもの

  ・関係団体からの推薦状 1通

  ・過去の活動に関する報道 適宜

  ・入賞、入選等の実績 適宜   

  ・過去の作品等の目録 適宜

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法