技術人文知識国際業務ビザは、フリーランスでも取得できますか?
目次
1,フリーランスでも取得できる就労ビザは何でしょうか?
フリーランスの外国人が取得できる就労ビザは、仕事の内容に応じて数種類あります。以下に、フリーランスでも取得の見込みのある就労ビザを挙げておきます。
(1)芸術・興行ビザ
芸術ビザは作曲家や画家、著述家として外国人が日本で活動するために必要とされるビザです。芸術ビザを取得するためには、芸術活動だけで日本での生計を維持するに十分な収入があることが必要とされます。
興行ビザとは俳優や歌手、ダンサー、プロスポーツ選手などが、日本で興行活動を行う為に必要となるビザです。興行とは、不特定多数の客の前で演劇やコンサート、試合をすることです。
上記の芸術や興行分野で活動する場合は、フリーランスとして就労する場合でもビザを取得することが可能です。もちろん企業に雇用される場合もビザを取得できます。
(2)経営管理ビザ
フリーランスとして活動していた外国人が、従業員を雇用し事業の規模が一定以上となった場合は、その活動が「経営者」としての活動に該当すると入管に判断されます。この場合は、経営管理ビザを取得することになります。経営管理ビザを取得する為には、資本金500万円以上または従業員2以上の雇用や事業所の確保などの要件を充足する必要があります。
(3)技術人文知識国際業務ビザ
技術人文知識国際業務ビザは、「本邦の公私の機関との契約」に基づいて、外国人が技術人文知識国際業務に該当する活動を行うために必要とされるビザです。契約には雇用契約にとどまらず、請負契約なども含まれます。したがって、フリーランスの場合も、日本の会社との業務委託契約などに基づいて活動する場合に技術人文知識国際業務ビザを取得することができます。
「技術」とは機械・建設・ITなどの技術者や設計者など、「人文知識」とは経営企画や財務などの管理部門・マーケティングや商品企画などの営業部門など、「国際業務」とは通訳翻訳・国際取引・語学講師などが該当します。
2,技術人文知識国際業務ビザを、フリーランスが申請する場合の注意点は何ですか?
外国人が中長期の在留を目的としてビザを申請する場合、日本で安定して生計を維持できることの証明が必要となります。技人国ビザでは、会社員の場合は、会社から毎月安定して給与が支払われるので、日本人と同等以上の報酬を受けているのであれば問題となることは少ないです。これに対して、フリーランスの場合は、日本で安定して収入を確保しているか、についての証明が重要となってきます。フリーランスの場合は、この点についての入管の審査が厳しくなりますので、以下に注意点を検討していきます。
(1)収入が安定しているか否か
技人国ビザの審査では、日本人と同等以上の報酬を受けているか、安定して生計を維持することができる収入か、が審査されます。これは会社員の場合でもフリーランスの場合でも変わりありません。会社員の場合は、雇用契約によって毎月安定して給与が支払われることが約束されています。これに対して、フリーランスの場合は、業務委託契約などによって受任した都度に仕事の対価として報酬を受けます。したがって、フリーランスの場合は収入が安定していることの証明が難しくなります。収入の安定性を証明する為には、複数の案件を受任していることや複数の取引先と契約していることが、望ましいと思います。
(2)長期契約を締結しているか否か
上記2(1)で検討した通り、安定して生計を維持できることを証明するためには、収入が「継続的」に確保されていることを証明していく必要があります。締結している契約が短期契約の場合は、収入に継続性があることの証明が困難となります。契約期間が1年以上の業務委託契約を結んでいることが、継続性の証明の観点からは望ましいと思います。短期契約の場合は、契約に自動更新条項が盛り込まれているなど、更新の可能性を証明する必要があります。
(3)契約相手が安定した取引先か否か
上記2(1)(2)で検討した収入の安定性や継続性の証明といった観点からは、契約相手である取引先は安定した会社であることも重要です。そして、この取引先とは、契約期間、業務の内容、報酬を明示して、必ず契約書を作成して契約を締結してください。この契約書の写しは、必ず入管に提出して収入の安定性や継続性を証明してください。複数社と契約を締結している場合は、全ての契約書の写しを提出すれば有利に働くと思います。
(4)技術人文知識国際業務に該当する業務内容か否か
会社員でもフリーランスでも、技人国ビザで許容された範囲の業務内容である必要があります。会社員の場合は雇用契約書に業務内容が記載されますが、フリーランスの場合は業務委託契約書に委託業務の内容を明記しておく必要があります。技人国ビザで認められていない業務の場合は不許可になります。会社員として働いていた外国人が同じ職場でフリーランスに転身した場合でも、在留資格変更許可申請をする必要はありませんが、就労資格証明書を取得しておくことで、資格外活動を防止することができます。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |