目次
1,配偶者ビザが不許可になった場合、どうすれば良いでしょうか?
配偶者ビザは、日本人と結婚すれば当然に付与されるものではありません。配偶者ビザの許可要件を充足していない、充足していても立証が不十分であった場合は、当然に不許可となります。配偶者ビザが不許可となった場合は、まず不許可理由を確認し、不許可原因を払拭し、再申請する必要があります。
2,不許可理由を知ることは出来るでしょうか?
行政手続法第8条第1項は、理由の提示を定めています。これは、申請が不許可になった場合は、行政庁は必ずその理由を提示しなければならないというものです。
配偶者ビザ申請が不許可となった場合は、不交付通知書などが送付されてきます。この通知書には、不許可の理由が記載されていますが、不許可となった原因の全てが記載されているわけではありません。
また、配偶者ビザ申請が不許可となった場合は、出入国在留管理局に不許可の理由を聞きに行くことができます。よって、入管に必ず不許可の理由を聞きに行って下さい。また、行政法上、入管には不許可理由の提示義務がありますが、全ての理由を教える義務まではありません。そこで、不許可理由の聞き取りの面談では、必ず全ての不許可理由を確認する必要があります。聞き取った全ての不許可理由のうち一つでも改善できなかった場合は、再申請しても許可は出ません。
3,再申請する場合に気を付ける点は何でしょうか?
(1)婚姻の信ぴょう性
配偶者ビザの許可要件として、法律上婚姻関係にあることはもちろん、婚姻の信ぴょう性が認められることが要求されます。この婚姻の信ぴょう性の立証責任は申請人側にあります。つまり、自分たちの結婚が真摯な婚姻意思に基づく婚姻であることを、申請人が証明しなければなりません。配偶者ビザ申請においては、質問書の提出が必須書類とされています。この質問書には婚姻に至った経緯の質問事項がありますが、出会った経緯、出会いから交際に至るまで、交際から結婚に至るまでを詳細に説明していく必要がります。また、これらの経緯を立証できる写真やメールの交信履歴などを提出することも重要です。この婚姻の信ぴょう性が求められる趣旨は、偽装結婚や悪質なブローカーが介在する国際結婚を防止することに求められます。よって、婚姻の信ぴょう性要件は、配偶者ビザが許可されるか否かにかかわる重要事項で、偽装結婚などとの疑いが生じないように慎重に対応する必要があります。
婚姻の信ぴょう性に関わる不許可理由として、以下の例が挙げられます。
・交際期間が短い場合
・実際に会った回数が少ない場合
・年齢差が大きい場合
・日本人配偶者側が外国人との離婚を繰り返している場合
・出会い系サイトやSNS等で知り合った場合
(2)生計要件
配偶者ビザの許可要件の1つに生計要件があります。生計要件は、申請人夫婦が経済的に安定継続して、日本での生計を維持できることを要求しています。この立証責任も申請人側にありますので、申請人が証明する必要があります。配偶者ビザ申請においては、課税証明書の提出が要求されます。よって、入管は生計要件の判断において、提出された課税証明書に記載された収入に基づいて判断します。個人事業主に方が確定申告をしていない場合、会社経営者が役員報酬をゼロにしていた場合は、課税証明書に収入が反映されません。
収入が低い場合は、預貯金等の資産の有無、親族からの支援が受けられるか、就職活動状況など、多方面から生計を維持できることを立証していく必要がります。当然、これらの事項を裏付ける立証資料を提出する必要があります。
(3)素行善良要件
配偶者ビザの許可要件の1つに素行善良要件があります。つまり前科前歴がないことです。不法就労や不法滞在、オーバーワークやオーバーステイも素行善良要件に消極的に働きます。外国人配偶者の過去の素行や在留状況は重要となってきます。
素行善良要件に関わる不許可理由として、以下の例が挙げられます。
・外国人パブで出会った場合(就労ビザや資格外活動許可では風営関係で働くことは認められません。就労制限のない在留資格でない限り、外国人パブで働くことは出来ません)
・難民申請中である場合
4,不許可理由を払拭できなかった場合は、どうなりますか?
不許可理由を払拭できなかった場合は、何度再申請しても不許可になります。不許可理由のリカバリーを試みて、前回の申請内容と異なる内容の申請をした場合、前回の申請と矛盾が生じてきます。この矛盾に対して合理的な理由を説明できない場合、不許可となります。配偶者ビザが不許可となった場合は、不許可理由を聞取り、不許可理由を払拭してから再申請してください。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |