離婚後再婚した場合に、配偶者ビザはどうなるでしょうか?

1,離婚後再婚した場合の手続はどうなるでしょうか?

 配偶者ビザを保有している外国人が、当該ビザの有効期間内に日本人と離婚し、また日本人と再婚した場合に必要な手続きは、次回の更新時に在留期間更新許可申請を行うことになります。もっとも、保有しているビザは前婚の日本人配偶者との婚姻を前提に審査され許可されています。したがって、必要な手続きは在留期間更新許可申請ですが、日本人配偶者が変わっている以上、審査の実質は在留資格認定申請や変更許可申請と同様に厳格なものとなります。したがって、申請に必要な準備は、認定申請や変更申請を同じ資料を用意し要件を充足していることを疎明していく必要があります

2,再婚禁止期間でも配偶者ビザの更新はできますか?

 民法第733条第1項は再婚禁止期間を定めています。再婚禁止期間とは、女性が離婚した場合は離婚の日から100日経過していないと再婚できない、というものです。その立法趣旨は、父性推定の重複を避けることに求められます。この再婚禁止期間は、外国人女性にも当てはまります。つまり、外国人女性が離婚している場合、離婚から100日経過していないと日本人男性と再婚することは認められません。この再婚禁止期間の間に配偶者ビザの期限が到来した場合、前婚は離婚していることから「日本人の配偶者等」とはならないため、配偶者ビザを更新することは出来ません。なお、再婚禁止期間経過後に配偶者ビザの期限が到来する場合で、再婚している場合は配偶者ビザの更新申請を行うことになります。

3,再婚禁止期間中に配偶者ビザの期限が到来した場合、どうすればよいでしょうか?

 再婚禁止期間中に配偶者ビザの期限が到来した場合は、上記2で述べた通り、配偶者ビザの更新は出来ません。就労ビザの許可要件を満たしている場合には、就労ビザへ変更申請するなど、他の在留資格に変更可能か検討する必要があります。いずれの在留資格にも該当しない場合は、最悪の場合は一旦出国する必要が生じてきます。

 いずれの在留資格の要件も満たしていない場合で、帰国することを避けるための一つの手段として、「短期滞在」への変更申請を行うことが考えられます。短期滞在では最長で90日の在留が認められます。短期滞在は更新申請することが認められています。よって、再婚禁止期間中であっても短期滞在を利用することで、再婚禁止期間を日本で待機することができます。この短期滞在中に再婚禁止期間の100日が経過した場合は、再婚禁止期間経過後に婚姻届を提出すれば「日本人の配偶者等」といて配偶者ビザの在留資格認定証明書交付申請を行うことができます。

 もっとも、短期滞在への変更申請や短期滞在の更新申請が、必ず認められるわけではありません。短期滞在への変更申請の際に、一旦帰国して在留資格認定証明書を取得して呼び寄せることを、入管に強く勧められると思います。短期滞在への変更申請が認められるためには、既に婚約者と同居しているなど婚姻の実態に近い状態であることが必要となってきます。

4,離婚後再婚の予定がない場合は、どうすればよいでしょうか?

 配偶者ビザを保有している外国人が、日本人配偶者と離婚又は死別した場合で、その後配偶者ビザを変更することなく日本に6か月以上在留していた場合は、在留資格が取り消される場合があります。もっとも、必ず取り消されるわけではなく、6か月経過後はいつでも取り消される可能性があるという不安定な状態にとなります。そこで、日本人と離婚した場合で、日本への在留を希望する場合は「定住者」ビザへの変更申請を検討する必要があります。定住者ビザへの変更申請においては、婚姻期間が3年以上あるか否か、日本国籍の子供がいるか否かが重要となってきます。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法