配偶者ビザの生計要件を満たすには、いくらの年収が必要でしょうか?

1,日本人配偶者側の収入は、いくら必要でしょうか?

 配偶者ビザの許可要件の1つとして、生計要件というものがあります。生計要件が要求される趣旨は、外国人配偶者との結婚によって、日本での生活を維持できなくなり、生活保護を受けるという事になれば、国益に沿わないという点に求められます。そして、この生計要件の立証責任は申請者側にあります。したがって、日本人と外国人の夫婦が、安定的継続的に日本での生活を維持できることを証明する必要があります。

 そこで、日本人配偶者の年収がいくら必要か、が問題となりますが「○○万円以上」と明確に要求されているわけではありません。申請人夫婦が、現在の収入で安定継続的に生活を維持できるか否か、が問題となります。例えば、年収200万円程度で日本人の平均年収を下回っている場合、生活状況や資産の有無、就職活動状況などによって、多面的に経済的に安定継続的に生活維持できることを立証していく必要があります。既に土地建物を所有しているのであれば、家賃を必要としないため、年収が低くても生活を維持することが容易になります。また、外国人配偶者側が結婚以前から就労しており、安定した収入がある場合には、日本人配偶者の年収が低くても問題とならないことになります。

2,日本人配偶者側の年収は何で判断されるでしょうか?

 日本人配偶者側の年収は、直近年度の課税証明書をもって判断されます。課税証明書及び納税証明書は、配偶者ビザ申請においては必須書類とされています。よって必ず提出することとなります。

3,収入が低い場合、どのように対処すればよいでしょうか?

 日本人側の収入は課税証明書によって判断されますが、収入が低いという場合には多方面から日本で安定継続的に生計を維持できることの立証を試みる必要があります。例えば、親族からの支援を受けることができるかどうか、預貯金や不動産の有無、失業状態の場合は就職活動状況や就職先の見込み、家賃の支払いの有無などで、生計を維持できることを立証していきます。そして、これらを裏付ける立証資料の提出が必要となります。例えば、親族からの支援を受けられる場合は、支援する旨を記載し記名押印した書類や親族の年収が分かる書類の提出が必要です。

4,個人事業主や会社経営者の場合に注意すべき点はあるでしょうか?

 個人事業主や会社経営者の場合は、以下の点に注意する必要があります。

(1)個人事業主の場合

 上記2の通り、日本人配偶者の年収は課税証明書によって判断されます。個人事業主の場合、確定申告をしていない場合は課税証明書に収入が反映されません。この場合、収入はゼロとみなされ、不許可の危険性が高まります。よって、個人事業主の方は、収入が低くても必ず確定申告を行い、課税証明書に収入を反映させてから申請するようにする必要があります。

(2)会社経営者の場合

 会社経営者の場合、税金対策等で役員報酬を設けていない又は極端に低く設定している場合があります。この場合も課税証明書に収入が反映されず、収入がゼロとみなされてしまいます。よって不許可の危険性が高まります。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法