育成就労法:二国間取決めに基づく送出国による送出機関の認定とは?制度の仕組み・要件・実務を徹底解説

はじめに

日本では深刻な人手不足を背景に、外国人材の受入れ制度が大きく転換しています。
その中核となる制度が、**技能実習制度に代わって創設された「育成就労制度」**です。

この制度では、外国人材の適正な受入れと人権保護を強化するため、さまざまな新しい仕組みが導入されています。その一つが、

「二国間取決めに基づく送出国による送出機関の認定制度」

です。

これは、外国人を送り出す海外の送り出し機関(送出機関)について、送出国政府が適格性を審査し認定する仕組みです。

本記事では、

  • 送出機関とは何か
  • なぜ認定制度が必要なのか
  • 二国間取決めの仕組み
  • 企業・監理支援機関の実務
  • 技能実習制度との違い

などを、入管実務の視点から詳しく解説します。


育成就労制度とは

まず前提として、育成就労制度の概要を確認しましょう。

育成就労制度は、

  • 日本での就労を通じて技能を育成
  • 特定技能への移行を前提
  • 人材確保と人材育成を両立

することを目的とした制度です。

具体的には、外国人が原則3年間の就労を通じて特定技能1号レベルの技能を習得することを目指します。

この制度は、従来の技能実習制度の問題点を改善し、

  • 人権保護
  • 労働者としての位置づけ
  • 転籍制度

などを強化した新制度として設計されています。


送出機関とは

育成就労制度では、外国人が日本で働くために現地で以下のプロセスを経ます。

1 求職登録
2 面接
3 雇用契約
4 来日手続

この際に重要な役割を果たすのが送出機関です。

送出機関の定義

送出機関とは、

育成就労外国人になろうとする者の求職申込みを、日本の監理支援機関へ取り次ぐ機関

を指します。

特に実際に求人を取り次ぐ機関は

取次送出機関

と呼ばれます。


技能実習制度で問題となった送出機関

技能実習制度では、送出機関に関して多くの問題が指摘されてきました。

主な問題は以下です。

①高額な手数料

外国人本人や家族から

  • 数十万円~100万円以上

の費用を徴収するケースがありました。

②借金による来日

費用を支払うために借金を抱え、

  • 途中失踪
  • 違法就労

の原因になるケースもありました。

③不透明な契約

  • 二重契約
  • 虚偽説明

なども問題となりました。


育成就労制度で導入された規制強化

こうした問題を受けて、育成就労制度では

送出機関に対する規制が大幅に強化

されています。

主なポイントは以下です。

①送出機関の要件の厳格化

法令で以下の事項が規定されています。

  • 不当な手数料徴収の禁止
  • 二重契約の禁止
  • 人権侵害の禁止

②費用の上限設定

外国人が送出機関へ支払う費用について

上限設定

が行われます。

③二国間取決めによる認定制度

最大のポイントが

送出国政府による認定制度

です。


二国間取決めによる送出機関認定とは

育成就労制度では、日本政府と送出国政府が

二国間取決め(MOC)

を締結します。

そのうえで、

送出国政府が送出機関を認定

する仕組みです。


なぜ送出国が認定するのか

理由はシンプルです。

日本政府だけでは

海外の企業の適格性を十分に確認できない

ためです。

制度では次のように説明されています。

外国に事業所がある送出機関については、日本側のみで適格性を網羅的に確認することが困難であるため、送出国政府が個別に審査し認定する仕組みを構築する。

つまり

現地政府が責任を持って送り出し機関を管理する

という制度です。


認定された送出機関の公開

認定された送出機関は

外国人育成就労機構のホームページ

で公開されます。

つまり、

企業や監理支援機関は

認定機関のみ利用可能

となります。

これは技能実習制度よりも

透明性が大きく向上

したポイントです。


二国間取決めの目的

二国間取決めの主な目的は以下です。

①人権保護

外国人労働者の搾取防止

②違法ブローカー排除

無許可の送り出し業者を排除

③費用トラブル防止

過剰な手数料を防止

④政府間協力

日本と送出国の制度連携


監理支援機関の実務

監理型育成就労では、

監理支援機関

が外国人受入れをサポートします。

監理支援機関は

  • 許可制
  • 外部監査
  • 定期監査

など厳しい要件があります。

また、送出機関との契約についても

  • 不適切な契約
  • 供応接待
  • 手数料問題

などが禁止されています。


企業(育成就労実施者)の注意点

企業が外国人を受け入れる際には、次の点に注意が必要です。

認定送出機関を利用する

無認定機関の利用はトラブルの原因になります。

契約内容を確認する

  • 手数料
  • 契約内容
  • 雇用条件

の確認が必要です。

費用負担の透明化

送出費用の不透明な請求には注意が必要です。


技能実習制度との違い

項目技能実習育成就労
送出機関管理が不十分送出国認定
費用高額問題あり上限規制
制度監督監理団体監理支援機関
目的国際貢献人材育成・人材確保

最大の違いは

送出機関のガバナンス強化

です。


Q&A

Q1 送出機関は必ず必要ですか?

監理型育成就労では、通常は送出機関を通じて外国人を募集します。

ただし、例外的に

  • 直接採用
  • 日本国内からの変更

などのケースもあり得ます。


Q2 無認定の送出機関を利用するとどうなりますか?

育成就労計画の認定が認められない可能性があります。

また、監理支援機関の監査でも問題になります。


Q3 外国人は送出機関に費用を払う必要がありますか?

一定の費用は認められますが、

上限規制

が導入されています。


Q4 認定送出機関はどこで確認できますか?

外国人育成就労機構のホームページで公開される予定です。


まとめ

育成就労制度では、技能実習制度の課題を踏まえ、

送出機関の適正化

が大きなテーマとなっています。

特に重要なのが

二国間取決めによる送出機関の認定制度

です。

この制度により

  • 高額手数料の防止
  • 悪質ブローカー排除
  • 外国人労働者の人権保護

が期待されています。

企業や監理支援機関にとっても、

  • 認定送出機関の確認
  • 契約内容の透明化
  • 適正な費用管理

が重要になります。

今後、育成就労制度は2027年の開始に向けて具体化していくため、最新の制度情報を常に確認することが必要です。

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参考リンク

 
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

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