研修ビザの研修生は労働者に該当する?|在留資格「研修」と労働法の関係を徹底解説【不法就労リスク対策】


1. 研修ビザ(在留資格「研修」)とは何か

研修ビザ(在留資格「研修」)とは、日本国内の公私の機関において行われる技能・技術・知識等を修得するための活動を目的とする在留資格です。

この在留資格の最大の特徴は、
就労を目的としない在留資格である
という点にあります。

出入国在留管理庁は、研修について次のような趣旨を示しています。

  • 日本での技能等の習得が目的
  • 生産活動や労務提供が主目的ではない
  • 原則として報酬を受ける活動は認められない

つまり、研修ビザは「外国人を働かせる制度」ではなく、教育・指導を前提とした制度です。


2. 【結論】研修ビザの研修生は労働者ではない

結論として、
研修ビザの研修生は、労働基準法上の「労働者」には該当しません。

この点は、実務・行政運用上も一貫しています。

  • 労働契約を締結しない
  • 労働の対価として賃金を受け取らない
  • 使用者の指揮命令下で労務提供を行わない

これらの要素が欠けているため、研修生は「労働者」ではなく、研修を受ける立場の在留外国人として扱われます。


3. なぜ「労働者ではない」と判断されるのか

研修生が労働者に該当しない理由は、以下の3点に集約されます。

① 活動の主目的が「学習・修得」

研修の中心は、技能・知識の修得であり、企業の利益を生む労働ではありません。

② 賃金性が否定される

研修手当や生活費が支給される場合でも、それは労働の対価ではなく補助的給付と評価されます。

③ 使用従属関係が成立しない

研修生は業務命令に従う「従業員」ではなく、研修計画に基づき指導を受ける立場です。


4. 労働基準法上の「労働者」定義との比較

労働基準法第9条では、労働者を次のように定義しています。

職業の種類を問わず、事業または事務所に使用され、賃金を支払われる者

ここから、労働者性の判断要素として重要なのが、

  • 使用関係
  • 賃金の支払い
  • 労務提供の対価性

研修生の場合、これらが原則として成立しないため、労働者に該当しません。


5. 研修と労働を分ける判断基準(実務ポイント)

実務上は、「名目」よりも実態が重視されます。

以下のような状態になると、研修であっても「労働」と判断されるリスクが高まります。

  • 研修生が生産ラインの一員として組み込まれている
  • 研修内容よりも成果・生産量が重視されている
  • 指導より業務命令が中心
  • 欠勤・遅刻に対する懲戒的扱いがある

6. 研修ビザで認められる活動内容の具体例

研修ビザで認められる活動の例は以下のとおりです。

  • 座学研修(講義・資料学習)
  • 現場見学・同行
  • 指導者の作業補助(短時間・限定的)
  • 技能の模擬練習
  • デモンストレーションへの参加

あくまで「学ぶ側」であることが前提


7. 研修ビザで禁止される活動内容

以下の行為は、研修ビザでは認められません。

  • 恒常的な製造作業への従事
  • 日本人従業員と同等の業務担当
  • シフト制勤務
  • 売上・成果ノルマの設定

これらは「労務提供」と評価され、不法就労リスクが高くなります。


8. 研修生への金銭支給はどこまで許される?

研修生に対する賃金の支払いは原則不可です。

ただし、以下は実務上認められるケースがあります。

  • 研修手当
  • 生活補助費
  • 住居・食事の現物支給
  • 交通費の実費支給

金額が高額・時間連動型の場合は「賃金」と判断される可能性あり


9. 最低賃金・残業代・有給休暇は適用される?

研修生は労働者ではないため、

  • 最低賃金法:×適用なし
  • 残業代:×発生しない
  • 年次有給休暇:×対象外

となります。


10. 社会保険・労働保険の取り扱い

研修生は原則として、

  • 雇用保険:対象外
  • 労災保険:対象外
  • 厚生年金・健康保険:対象外

代替として民間保険加入が必須とされるケースが多いです。


11. 研修ビザと技能実習制度の本質的な違い

項目研修ビザ技能実習
労働者性なしあり
賃金原則なし必須
労基法不適用適用
雇用契約不要必要

技能実習生は明確に労働者として保護されます。


12. 研修ビザと特定技能ビザとの違い

特定技能ビザは、即戦力としての労働を前提とする在留資格です。

  • 雇用契約あり
  • 賃金支払いあり
  • 労働法全面適用

研修ビザとは制度趣旨が根本的に異なります。


13. 不法就労と判断される典型的なケース

  • 研修名目で実際は人手不足補填
  • 研修生のみで業務を回している
  • 日本人と同一の勤務表
  • 研修計画が形骸化している

14. 入管・労基署から見られるチェックポイント

  • 研修計画書の内容
  • 実際の業務内容
  • 金銭支給の名目と金額
  • 勤務実態(タイムカード等)

15. 受入機関が注意すべき実務対応

  • 研修計画を具体的に作成
  • 労働と誤解される運用を排除
  • 指導記録を残す
  • 外国人本人への制度説明を徹底

16. Q&A|研修ビザと労働者性

Q. 研修生が現場を手伝うのは違法?
A. 学習目的の補助的範囲であれば可能ですが、恒常的業務は不可です。

Q. 研修生に最低賃金を払う必要は?
A. 労働者ではないため不要です。

Q. 研修後に就労ビザへ変更できますか?
A. 条件を満たせば可能です。


17. まとめ

  • 研修ビザの研修生は労働者ではない
  • 労働法・最低賃金法は原則適用されない
  • 実態が労働になると不法就労リスクあり
  • 技能実習・特定技能との違いを正確に理解することが重要

18. 関連記事・参考リンク

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参考リンク

  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
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